Insight 2050年へのまなざし

2050年を語る 末吉 竹二郎

大手銀行の取締役ニューヨーク支店長などを歴任し、現在は国連環境計画・金融イニシアチブの特別顧問を務めながら、テレビ番組のコメンテーター、講演活動など、持続可能な世界をつくるための活動に尽力する環境アナリスト、末吉竹二郎が考える2050年とは──。

末吉 竹二郎
すえよし たけじろう
1945年生まれ。東京大学経済学部卒業。三菱銀行の取締役 ニューヨーク支店長や日興アセットマネジメント副社長などを経て、国連環境計画・金融イニシアチブのアジア・太平洋地区特別顧問、日本カーボンオフセットの代表理事。日本政府の地球温暖化問題に関する懇談会メンバー。

2050年の都市について考えたとき、個別の建物が少なくなり、集約化された巨大な建物が建てられるでしょう。集約することで効率がものすごく高くなる。人間は建物の中を移動できるようになり、社会施設も含めてすべて一棟の中で、あるいは地域の中にあり、遠くに通勤する必要がない。一方で、残りの場所はオープンスペースでグリーンになり、緑を取り返していく。もっといえば、大丸有に明治神宮の森をつくり、もう一度運河が復活する。150年前の丸の内や八重洲に戻るということです。

そのころには、世界は経済も政治も、非常にグローバル化しているでしょう。日本は、人口の 3割が外国人になっている。外国人という概念も無くなるかもしれません。東京は内なる国際化が非常に進み、完全にコスモポリタンのまちになっている。日本に住む外国人も投票権をもつでしょう。その頃には先進国同士で不戦条約のようなものが結ばれ、大国同士の戦争はなくなる。今の国連がもっと強化されて、戦争などを起こす国家の主権が奪われる。日本の憲法 9 条が元になり、世界憲法が制定されることも十分あり得る。2050年は石油を使えない世界、自然エネルギーの世界になっているでしょう。インフラは大規模供給システムと地域分散型、自給型のシステムが共存する。アパートや住居、オフィスには自家供給のシステムが整うので、まちから電柱が消える。自動車もガソリン車は走らず、電気自動車、もしくは水素自動車が走っている。だからまちが静かになって、空気がきれいになると思います。

おそらくその頃には週休3日は実現している。4日間は都会で働いて、3日は自然のあるところで過ごす。完全に2カ所の生活空間を持つことも普通のことになる。みんなが1か所に集まって働くよりも、IT技術を使ってバーチャルなオフィスが各自の居場所にできる。また、仕事に対する概念も変わるでしょう。月曜、火曜はA社で働く、水・木はB社、金・土・日は自分の田舎でのボランタリーな活動に費やすなどの「マルチキャリアパス」が一般的になる。これは企業にとってもプラスです。複眼的な目、思考、経験をもった人が1つのビジネスを複眼的に進めて議論していく。給料は時給制と成果報酬制かもしれない。全体としては、年齢も男性女性も関係なく、より多くの人が自分の能力、可能性を、いろんな意味で最大化できる社会になってほしい。ひとりひとりが自信を持って生きていける社会。結果としての優劣の差とか、お金儲けする人とかできない人などの差はいつまでたっても残ると思う。でもその差がすべてじゃないんだってことを認める社会になっていてほしいですね。人間は、本当に可能性がある生き物だと思うんです。


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