イベント丸の内プラチナ大学・レポート

【レポート】「続ける、広める、深める」の実践へ

2018年2月24~25日 丸の内プラチナ大学 八幡平分校 開催

地元のみなさんも驚くほどの季節外れの大雪、さらには地吹雪に迎えられ、「丸の内プラチナ大学 八幡平分校」が元気よく開催されました。期日は2月24~25日の2日間。時ならぬ大雪は驚きでもありましたが楽しさの彩りともなり、八幡平市の各種体験ツアーに興趣を添えます。そしてまた、八幡平市民のみなさんとの本気のワークショップ、市長プレゼンも開催され、「分校」の名に恥じない、名実ともに充実したカリキュラムとなったのでした。

1日目は雪の中の八幡平体験・視察ツアー&ワークショップ、2日目は八幡平体験&プレゼンテーションと盛りだくさんの分校の様子をレポートします。

<1日目>
盛岡駅―岩手山焼走り国際交流村 焼走りの湯(馬そり体験)―スマートファーム(バジル)―八幡平市役所「八幡平分校ワークショップ」―北海道倶楽部

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丸の内プラチナ大学を「利用」する

丸の内プラチナ大学を「利用」する

この分校は八幡平市からの要望があって実現したものですが、丸の内プラチナ大学にとっても、初めて継続的な体制が築けた例となりました。丸の内プラチナ大学との連携で中心的役割を果たしている八幡平市役所の関貴之氏(企画財政課 地域戦略係長)は、関係の輪を持ち続け、広げることが狙いだと話しています。

「2016年に丸の内プラチナ大学のみなさんに視察に来ていただいた時に実施したワークショップが、『ヨソモノならではの新しい視点が新鮮』と市民の間でも好評だった。こうした交流を通して、市民が意欲的、積極的になることも望ましい。また、プラチナ大学を間に挟むことで、市民と行政の関係が良くなることも期待できる。ヨソモノがいるおかげで、普段言えないような意見も言いやすい空気になる」(関氏)

あくまでも主役は地域側で、丸の内プラチナ大学を触媒にして、市民参加の拡大や、市民との関係性向上に役立てようという姿勢。良い意味で「丸の内プラチナ大学をうまく活用してやろう」というスタンスが見えてきます。丸の内プラチナ大学にとっても嬉しいアプローチです。

こうした趣旨のため、今回は1日目に市の課題となっている地域資源の体験を交えつつ、市民とのワークショップを開催。2日目はワークショップでの成果を市長にプレゼンするという流れとなっています。丸の内プラチナ大学からの参加者は12名で、うち6名が2016年の八幡平ツアーにも参加しています。

寒立馬が引く馬そり、温泉を活用したバジル

キッカちゃんと阿部氏(右)

八幡平に着いた一行がまず向かったのは「岩手山焼走り国際交流村 焼走りの湯」。ここでは、地域おこし協力隊が、馬そり体験を実施しています。これは夏季には放牧し、観光資源になっている馬を冬季も活用するために発案し、トライアル的に実施しているもの。利益を馬の飼育費用に充当する狙いもあります。

現在、国際交流村から地域おこし協力隊に発注する形で事業化しており、馬が引くスノーチューブ体験が1人920円、馬そり体験が3240円となっています。既に運用しているサービスですが、実施する地域おこし協力隊の阿部文子(あべふみこ)氏は、「価格が適正かどうか、観光資源として魅力のあるものになっているか検証してほしい」と話しています。

実際に順番にスノーチューブ、馬そりを体験させてもらいました。引くのは4歳の寒立馬(かんだちめ。青森県の農用馬。南部駒の系統)のキッカちゃん(メス)。「一番人慣れしていておとなしい子」(阿部氏)で雪の中もがんばって引っ張ります。かわいい。スノーチューブは5連で、実際に乗った受講生からは「水の上のチューブよりもゆっくりなのにアクションがあって楽しい」という声。ただし、一番後ろのチューブは揺れが激しくなるため注意が必要。受講生の1人は振り落とされて歩いて帰ってきたなんてこともありました。

馬そりはかなり好評です。使っているのは英・ランドー社(Landou)製、明治時代に輸入された100年以上前のアンティーク馬車をそりに改良して使っています。現在の乗り物とは違って悪路を走ることも想定されているためでしょうか、体験した人からは「走りが優しい」という感想。単なる遊びではなく、100年の時を体験し味わうことのできるという、奥の深いアクティビティと言えるかもしれません。

続いて向かったのは、温泉を活用した農業用熱水ハウス。八幡平市は日本初の商用地熱発電所「松川地熱発電所」(1966年運転開始)が建設されるなど、もともと地熱利用が盛んな地。この熱水ハウスは、1981年に95棟が建設され花卉栽培を中心に活用されていましたが、時代が下るにつれて採算が合わなくなり、現在では35棟までの利用に留まっています。そこで2017年、アグリビジネスを手がけるグリーンリバーホールディングス(福岡県)、IoTやクラウド事業を手がけるMOVIMAS(本社・東京)、八幡平市の3者が連携協定を結び、耕作放棄ハウスの再生事業「スマートハウスプロジェクト」を発足。10月から育成したバジルの出荷を始めています。

案内してくれたのは、グリーンリバーグループ・グリーンラボ株式会社の川畑勝臣氏。グリーンラボは再生可能エネルギーと施設園芸のノウハウがあり、MOVIMASの次世代型水耕栽培IoT制御システムを利用して、生産性の高い農業を実現しようとしています。垂直型の栽培装置は、カナダのZipGrow社のものを採用。フェルトの培地に養液を循環させるもので「養液栽培」とも呼ばれています。1ハウスに垂直の培地が495本。この間に鉄製のパイプを配管し、約50度の温水を循環させ温度を保つ仕組み。バジルは比較的手がかからず、卸値も高い作物で、現在東京の大手スーパー、農協との取引があるとのこと。IoTの活用で、ハウス管理はスマホで簡単に行え、2人で3棟の維持管理が可能だそうです。

川畑さん(左)

バジルの出荷は予定通り順調で、運用棟を徐々に増やしていきたい考え。また、バジル以外の葉物野菜や、糖尿病治療用など機能性の高い作物の栽培も検討しています。

非常にシステマティックな農業で、将来性大の印象がありました。受講生たちにとっても養液栽培やバジルは目新しいもので、川畑氏に熱心に質問する姿が見られました。

八幡平分校、開校

この日の後半、八幡平市役所で行われたワークショップが「八幡平分校」の本番です。市関係者、市民の方40名弱が参加。丸の内プラチナ大学の参加者も合わせると約50名の大きなワークショップとなりました。

開催に先立つ挨拶で、田村正彦市長はこのワークショップから生まれるアイデアへの期待を次のように語っています。

「地域にはいろいろな観光資源、地域資源があるにも関わらず、それを活かせてないのが課題。一昨年のプラチナ大学では、それをヨソモノの視点、都会の人の感性で突破するヒントを見つけることができたと感じた。今も八幡平市は地域活性化のためにさまざまな活動を展開しているので、今回はそこにも着目して加速するためのアイデアを出してもらいたい」(田村市長)

田村市長

今進行中の活動として、市の繁華街である大更エリアの活性化や、雪を使った冷蔵倉庫システムの例などを挙げています。一昨年の視察ツアーで出された30余のアイデアは、行政で実現するために今も検討を重ねているそうです。今回のワークショップにかける期待の大きさが伺えます。

田口氏

また、ワークショップの前に、経過報告、提案として4氏からのインプットがありました。エコッツェリア協会プロデューサーの田口真司氏は、丸の内プラチナ大学の経緯と八幡平市を巡る活動の展開、進捗を報告。その中で氏はこれからの地方創生が都市と地方という対立構造や、地方同士のパイの取り合いであってはならないと指摘しています。

「現代は地域間競争でどこが生き残るかを競う時代ではないはず。都市も含め地域地域がつながり、新しい価値を生み出し、それぞれの地域が活性化する体制を作らなければならない。丸の内プラチナ大学はそのためのプラットフォームとして機能させたい」(田口氏)

(左)井利氏、(右)関氏

その後の提案では、丸の内プラチナ大学の受講生の井利氏、桑原氏、八幡平市役所の関氏からの発表がありました。いずれもこれまでのプラチナ大学の成果を踏まえつつ、次のステップに踏み出そうというもの。井利氏は、八幡平市の資源を学びに使い、豊かな人生を送るきっかけを生み出すための「短期リモートワークツアー」を提案。関氏からは松川地熱発電所などの資源を活用した環境学習プログラム+観光ツアーの提案。これは昨年夏にモニタリングツアーを実施しており、ステップアップの手応えを得ているとのこと。遊びと学びをミックスし、小学生の夏休みの自由研究を一挙に片付けるナイスアイデアにもなっています。

桑原氏

桑原氏はオークフィールド八幡平の設計をしたことを縁に東京と八幡平の二地域居住を実践しており、現地で地域活性化に取り組むプレイヤーとしても活躍。交流人口、関係人口を増加させるため、居住者が減少している「柏台市営住宅」「雇用促進住宅」の空き住戸を活用するプランを提案。建築家らしい大胆な建物利用案で、独創性に優れ、ワクワク感も感じさせるアイデアでした。

地元の声がアイデアにリアルさを増す

ワークショップは、(1)医療・健康 (2)教育 (3)別荘 (4)二次交通 (5)環境学習 (6)フリー の6つのテーマに分かれて実施しました。全体ファシリテーションはエコッツェリア協会の田口氏が行いました。途中、一度席をチェンジするワールドカフェ方式を取り、議論を多角化、深化させるよう配慮しています。

途中印象的だったのが、プラチナ大学の受講生たちがテーブルファシリに努めていたことでした。後になってプラチナ大学講師の松田智生氏(三菱総研)が、「良い意味での修羅場を経験できたのでは」と話しているように、不慣れな人を交えたワークショップをリードするのはとても大変なことですが、成果のあるダイアログにするうえでは必須のこと。田口氏が「地元の方のお話を聞くことで、地に足の着いた議論ができ、身のある提案ができるようになる」と指摘するのも、こうした着実な対話があってこそのこと。

議論にも熱が入り、予定をオーバーして全体で1時間半ほどの議論が行われ、最後にここまでの議論をまとめたものをシェアしています。翌日のプレゼンでは、この議論・発表を下敷きに、プラチナ大学の受講生が発表することになります。

(1)医療・健康「生きがいを持って生きる 生涯現役」......オークフィールドで暮らすシニアの方々が参加するテーブルで、八幡平で、生涯現役で暮らすための方策や意義を検討、発案した。

(2)教育「平舘高校観光科新設」......地域の教育課題をフラットに話し合った。高校から始まる外部への人口流出をいかに食い止めるかが課題。その打開策としての観光科新設のプラン。観光科のある高校として認知され、ステイタスが向上すれば高校のプライオリティが上がるばかりか、県外からの学生も期待できる。

(1)医療・健康「生きがいを持って生きる 生涯現役」......オークフィールドで暮らすシニアの方々が参加するテーブルで、八幡平で、生涯現役で暮らすための方策や意義を検討、発案した。

(3)別荘「住宅でいいんじゃない!?」......地域の別荘関連のプレイヤーと語り合う中で、課題と目指すべきソリューションが混乱していることが分かり、「空き別荘をうめること」ではなく「移住者を増やすこと」にクローズアップ。別荘を住宅利用へ転用するプロジェクト。

(4)二次交通「(タイトルなし)」......二次交通含む交通環境の課題を整理し、さまざまな課題にリーチする3つのシェアリングアイデアを提案。一般的なライドシェアのほか、スクールバスなどの既存モービルを低負荷でシェアする。

(5)環境教育「自然を楽しむ!環境教育」......八幡平市の豊かな自然をフィールドに「遊ぶ」「学ぶ」をクロスさせる。地元民がファシリテーターとなり、交流しながら学ぶアイデアも。

(6)フリー「ゼロ→イチ スタートアップ プラットフォームプラン」......八幡平の魅力・課題を整理する中で、必要なのはこれら魅力を活用するためのプレイヤーであり、育成する仕組みであると認識。八幡平の資源を活用するプレイヤーを育成するための0→1の支援を行うプラットフォームを作る。プラチナ大学の発展型とも言える。

ワークショップでまとめられたこれらのアイデアを原案とし、プラチナ大学側で再構成して翌日の市長プレゼンで発表することになります。

2016年のワークショップは、比較的行政に近い人や、市民活動をしている人たちが参加するものでしたが、今回はごく普通の市民の方々も参加。これは行政にとってもプラチナ大学にとってもうれしい結果のひとつです。参加したある市民の方は、「老後の人生を考えようと思っていたので、良い機会と思い参加した」「さすが、視点が面白かった」と感想を話していました。また、別の市民の方は、「地域振興は、何をするかじゃなく、何かをやる人・したい人を集まる仕組みを作ることがまず重要なんだと気付いた」と話しており、プラチナ大学とその発展形に可能性を感じたと話していました。

夜の地方創生in八幡平

その後会場を市内の大更へ移し、懇親会という名の夜の地方創生を行いました。会場となったのは古民家を活用した居酒屋の「北海道倶楽部」。松尾鉱山が閉山するまでは産業人口も多く、街の中心地には居酒屋やスナックなどが立ち並ぶ繁華街が生まれました。大更もそのひとつ。かつては何十軒もの店が並んだこのエリアも、今ではちらほらと数えるほどが残るばかりです。

北海道倶楽部はそんなお店のひとつで、民家の間取りを活かした、アットホームなつくりが特徴的。地域の活性化にも意欲的なお店だとも解説がありました。宴会用に広い座敷に通してもらいましたが、家族がこたつで鍋をつつき合うように食事ができる部屋があるなど、温かい雰囲気が漂います。

そこで市長、副市長にも加わってもらい、酒を酌み交わしながら再び八幡平の課題について、また未来について語り合いました。膝を突き合わせての会話は、ワークショップとは一味ちがう感触を受講生たちに残したに違いありません。

北海道倶楽部

<2日目>
雪遊び体験(八幡平ベース)/松川地熱発電所見学―八幡平市役所・ワークショップ結果プレゼンテーション―鷲の尾見学―道の駅にしね

地域資源を遊び尽くす?

2日目は再び八幡平の資源を味わうプログラムからスタートしています。今回は雪遊び体験、松川地熱発電所の見学のコースに分かれて実施。およそ半数ずつの受講生が分かれて体験しました。

雪遊び体験の面々は、宿泊場所のオークフィールド八幡平から、八幡平温泉郷の入口にある「八幡平ベース」(後述)までをクロスカントリースキーで旅するコース。普通のスキーとは異なるため、慣れるまでに若干時間が要りましたが、さすがプラチナ受講生、みるみるうちに上達し、真っ白な雪原へと漕ぎ出していきました。

八幡平ベース

八幡平ベースとは、2016年の講義にも登場した岩手県産業創造アドバイザーの大滝克美氏の手による、言ってみれば"大人の秘密基地"。使われなくなった路線バスのターミナル・待合所を安く借り受け、大人の遊びができるイベントスペースにしようとしています。今はまだ水回りなどが完全に整っていませんが、薪割りイベントや、薪ストーブを使った料理体験などを実施し、市内でも好評だったとか。市外からの誘客はもちろんですが、市民も楽しめる大人の遊び場として、これからの活動が楽しみなところ。雪遊び体験のメンバーは、平原から森を超えて、1時間ほどでここにたどり着き、薪ストーブの暖かさにホッと一息をつくのでした。

松川地熱発電所(写真提供:丸の内プラチナ受講生、小関氏)

松川地熱発電所の見学チームは、ハードSFの世界のような発電所とともに、夢のように美しい染色工房「夢蒸染」も見学しています。夢蒸染は、地熱蒸気を使った特殊な染色方法(地熱染め)で染める類まれな工房。布を染料につけて蒸気にさらすと、普通は濁って定着しますが、松川地熱から出る蒸気には脱色効果を持つ硫黄がわずかに含まれているために、余計な色が抜け落ち、鮮やかに発色するのだそうです。

市長プレゼンから見えた今後の分校スタイル

午後はいよいよ市長プレゼン。前日のワークショップの成果を土台に、プラチナ大学受講生がブラッシュアップしての発表となりました。受講生は百戦錬磨のビジネスマン揃い。いつもなら、プレゼンの相手が市長だろうが元大臣だろうが余裕しゃくしゃくといった風情なのですが、今回はなぜかソワソワと忙し気な様子や、最後までブラッシュアップの手を止めない、やる気に満ちた姿勢が見られます。「いや、だって市民のみなさんと話し合ったものなんだから、ちゃんとやらないといけないじゃないですか......」。いつもと違う理由を問うと、そんな答えが返ってきます。普段は手抜きをしているというわけではないですが、市民のみなさんとのセッションが、受講生たちに良い意味での緊張感とプレッシャーを与えたようです。こんなところにも、地元のみなさんとのセッションの好影響が見られたのでした。

プレゼンに先立ち、講師の松田氏は「これからの地方創生は『風の人、水の人、地の人』だと思う」と話しています。

松田氏

「風の人とは、地方に新しいモノを運んでくる人で、ヨソモノのような人。水の人とは、地方の人とより深く関わり、作物を育てるように水を与える人のこと。地の人とは、その地で花を咲かせる地元の人。風や水の力を利用して、地には豊かな花を咲かせ、やがて風、水の人も地の人となる。これからはそんな地方創生が必要ではないか」(松田氏)

プラチナ大学の受講生たちはいわば風の人。そこからスピンアウトし、地域のために活動を始めた人は、水の人。その何人かは、すでに地の人になりつつあるのかもしれません。

この日は市長、一般市民参加者らおよそ30名を前に受講生がプレゼンしました。その内容は先述の(1)~(6)をブラッシュアップ、ボリュームアップしたものにつき、ここでは割愛します。しかし、市長は「面白い」「いろいろな問題を見直す良いきっかけになった」と話しています。実は、発案されたもののうち少なからずは、すでに一度市でも検討されたことがあったものでした。例えば高校での観光科新設は、かつて何度か県教委に陳情したことがありました。しかし「誰が教えるんだ、教える人間がいないんじゃダメだと冷たい返答」だったそうです。「県に頼っているだけではどうにもならない」と、現在はスキーの専門教育からガイドへの養成を通してアプローチする方法を模索しているそうです。

ことほど左様に、これまでもさまざまな取り組み、試行錯誤を重ねてきた八幡平市ですが、改めてプラチナ大学から新たなインプットを受けて、さらにまたさまざまな施策を展開したいと市長は話しています。市の既存のプランとミックスさせる形で展開させていきたい考えで、いくつかは具体的に盛り込みたい旨であることも明かしました。

プラチナ大学の"親子鷹"。父子で参加した受講生も

また、最後にはプラチナ大学への「宿題」として、市の第三セクターが運営する公共温泉施設「森乃湯」を挙げています。市では6つの公共温泉施設を運営していますが、森乃湯は開設40年が経ち、老朽化もあって年間5000~6000万円程度の赤字が出ているために整理したいのが本音。しかしながらさまざまな思いも込められた場所だけに、簡単に閉鎖してしまうのも寂しい限り。「プラチナ大学で利用するならぜひ活用してほしい」と田村市長。

松田氏はこの発言を受けて「丸の内プラチナ温泉が建設されますかね?」と冗談めかして話していますが、リモートオフィスの拠点や、CCRCのフィールドとして活用できないかとまんざらでもない様子で考えているようです。そして、最後に総括として「今回の成果は、風、水、地の人が良い形で混じり合った化学反応だったのでは」と話しています。

「受講生たちだけでなく、地域のみなさんが加わってくれたことで、地域づくりそのものの活動になってきたように思う。新しい人の流れができて、そこに新しい活動が生まれるモデルになるだろう。今後もこの分校を続け、アイデアを実現し、広域連携ができる場にしていきたい」(松田氏)

田村市長も来年以降の八幡平分校の開催に意欲を見せています。

「やはり外部の新しい視点、発想は何者にも代えがたい。我々が考え付きもしないアイデアが出るのが本当にうれしい。また、市民への影響も素晴らしいものがあると思う。来年は、もっと市民の参加を促したい。可能なら、若い人――例えば商工会の青年部のみなさんのような方々にもっと参加してほしい」(田村市長)

「留め置かまし プラチナ魂」

このようにして八幡平分校はひとまず終了となりましたが、この成果を講師の松田氏は2つの意味で「地に足の着いたものになってきた」と評価しています。ひとつは、プラチナ大自体が定着してきたこと。もうひとつは、受講生一人ひとりが、地元により深く入り込み、実態に即した提案ができるようになっていること。

「丸の内プラチナ大学がスピンアウトする例はこれまでにもあったが、今回初めて継続的な体制が作られた。これは今後も続けていきたいし、続けることで新しい展開も生まれるだろう。また、一般市民の生の声を聞いて受講生たちのレベルも一段と上がったのではないか。1日目のワークショップではいきなりテーブルファシリテーターをするという修羅場を経験したことも良かった。今後のプラチナ大学拡大に期待を感じる成果となったのでは」(松田氏)

これまでの視察ツアーでは、旅の終わりにそこはかとない寂しさを感じるのが常でした。しかし、八幡平分校の終わりにそれを感じることはありません。なぜなら、またきっと会えるから。「続けること、広めること、深めること」。講師の松田氏がいつも言うその言葉がしみじみと感じられるラストとなったのでした。そして松田氏が最後の一句。

「身はたとひ 雪の大地に朽ちぬとも 留め置かまし プラチナ魂」

次の丸の内プラチナ大学八幡平分校の開催に、八幡平市民のみなさんも、プラチナ大受講生も、どうかご期待ください。


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