シリーズ知恵ブクロウ&生きものハンドブック

農村での暮らしってどんなもの?

都会から離れて、農村で暮らしたい、という人が増えているようです。内閣府の「都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査」を見てみると、それがよくわかります。年代をポイントにしてみると、20代は農村での「定住」に関心が高く、50代は「二地域居住」への関心が高くなっています。また農業への関心の割合も高く、食の安全や健康、生活環境への意識が強まっていることが、背景として考えられるかもしれません。

農村ってどんなところ?

では、農村の暮らしというのは、一体どんなものなのでしょうか。私は東京で10年以上、仕事をし生活をしてきましたが、2年前、山梨県の農村へ移住しました。まだ短い期間ではありますが、ここでの実体験をふまえて、農村での暮らしについて、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。

まず私の暮らす農村についてご紹介します。私は、山梨県北杜市の増富地区の黒森集落で暮らしています。増富地区の面積は約100 km2、人口約500人。数字だけ挙げてもわかりにくいので、「丸の内さえずり館」のある東京都千代田区と比較をしてみましょう。千代田区の面積は約11 km2、人口50,703人。なるほど、すごい差ですね。さらに、黒森集落は約20世帯あり、人口45人(うち子供4人)。少子化の影響で、地域にある小学校と中学校は廃校に。高齢化も進み、人口の半分以上は65歳以上です。「限界集落」という言葉がありますが、まさにその定義通りです。

限界集落の農村でも魅力がいっぱい

とはいえ、限界集落という悲壮的な言葉とは裏腹に、集落の人たちはいきいきと暮らしています。黒森集落は、標高が1000mをこえ、夏はクーラーいらずで快適、冬は厳しい環境にあります。特産品は花豆。標高のある冷涼な場所でないと実をつけず、赤くきれいな花を咲かすのが特徴的です。集落のほとんどの人がつくっていて、甘煮にすると、とてもおいしいです。また高冷地のため、虫も少なく無農薬の農業もでき、寒暖の差によりおいしい野菜が収穫できます。

年間を通じての行事も興味深いです。春には五穀豊穣を願う例大祭を行い、夏は夏祭り、秋は収穫の感謝を込めた里宮参り、冬は道祖神のお飾り。また集落の人たちは、お酒が大好き。こうした行事の後、一緒にお酒を飲み交わすのも、楽しみのひとつです。このように私の暮らす農村には、さまざまな魅力がいっぱいです。みなさんの思い描く農村にも、人や場所、気候、行事といった、さまざまな要素があるはずです。ぜひ魅力的な要素をいっぱい見つけてほしいです。

都会から農村へ。おさえておきたい3ポイント!

都会から、こうした農村で暮らす場合、おさえておきたいポイントが3つあります。自分が都会から農村へ行く場合、どんなシチュエーションを望んでいるのか、整理してみることをおすすめします。図をご覧ください。ポイントは、暮らし、人、仕事です。

1つ目の「暮らし」は、そこで定住したいのか、それとも別荘として都会から通いたいのか、またはステップ・アップ。これは通過点として、ある農村での暮らしを経験し、最終的には別の農村(たとえば実家)に行くパターンです。2つ目の「人」は、たとえば家族で移住するのか、はたまた単身で移住し、後で家族が合流か。独身は一人で農村へ。二世帯は、実家の農村で親と一緒に暮らすのか。3つ目の「仕事」として、都会でしている仕事を農村でも続ける同業種か。異業種は、農業や林業といった農村ならではの仕事にチャレンジ。半農半Xは、農業をやりながら、別の仕事をもつ、という選択肢です。

望む組み合わせは、人それぞれですが、農村での暮らしを具体的にイメージする参考になれば幸いです。農村の暮らしでは、楽しいことも不便なこともいっぱいですが、そこが都会にはない魅力だと思います。ぜひ、楽しい農村暮らしにチャレンジをしてみてください!

渡部 貴志
渡部 貴志(わたなべ たかし)

NPO法人えがおつなげて えがおファーム
鳥取県境港市の田舎出身。東京でサラリーマンをするが、その後、山梨県の農村で地域活性化型の農業を実践中。趣味はお米づくりとスイーツ探訪。
NPO法人えがおつなげて

おすすめ情報