8/24、エコキッズ探検隊 エンジン整備施設見学ツアーが行われ、17組34名の親子が参加しました。今回見学させていただく全日空(ANA)の整備施設といえば、月曜9時から放映されていた、あの有名ドラマの舞台となった場所のひとつ。エコキッズ探検隊のイベントですが、飛行機好き、キム○ク好きなど、さまざまな理由で付き添いの大人たちも興奮気味です。
てんぷら油を再利用した燃料で走るバスに乗って、羽田のANAエンジンメンテナンスビルに到着した一行。滑走路の見える見晴らしのよい会議室でのランチタイムをはさんで、飛行機整備についてのレクチャー受けたら、早速整備施設の見学です。
少し大きめのヘルメットを頭の上で揺らしながら、子供たちが整備施設に足を踏み入れた瞬間、「お~~~!」大きな歓声が上がりました。施設の予想以上の広さや、大人でさえスッポリ飲み込まれてしまいそうなエンジンの巨大さに、私も圧倒されてしまいました。
私たちが見学した整備工場では、エンジンの点検や組み立てなどが行われていました。「点検」といっても、3万~4万点もの部品をすべて分解し洗浄した上で、ひとつひとつをチェックする大掛かりなもの。整備工場の施設を案内される間、人間が溶けてしまうほど強いアルカリ水を使った部品の洗浄装置や、磁気や超音波を使い傷をチェックする機械、蛍光塗料を使って肉眼で最終的に傷を確認する方法など、その精密さに子供も大人も驚きっぱなしでした。傷のチェックの精度は、なんと1/1000インチ(=3/1000ミリ)だそうです!(4枚目の写真は、洗浄前の部品と洗浄後の部品)
細かな傷を修理された部品は、組み立てられ回転のバランスを何度もチェックされ、問題がないことが確認された上でようやく飛行機に搭載されます。一連のプロセスには30日~90日を要するそうです。
「飛行機にかかわる仕事」というと、すぐに思いつくのはパイロットやキャビンアテンダント。しかし、実はANAの社員の4人に1人は整備工場の職員なんです。私たちの安全なフライトは、見えないところで、たくさんの人や技術に支えられているんですね。
整備がすごいのは、よ~くわかった。でも、飛行機って、エコなの? という私たちの疑問に、整備士の石井さんが、ANAの環境に対する取り組みを教えてくれました。
空港に駐機中に機内の空調や照明に使う電力を、機体に搭載されたAPU(補助動力装置)からではなく、地上の電源装置に切り替えることで、43,200リットルの燃料(東京―大阪間の約2900往復分)を削減(2008年度)。
RNAV航法は、航空保安無線施設の電波から自分の位置を割り出し、ロスの少ないルートを計算して飛行する航法。航空保安無線施設から航空保安無線施設へと飛行するこれまでの航法より航路が直線に近く、飛行距離が短くなるため、燃料の節約が可能に。
一般的に、飛行機は降下と水平飛行を繰り返しながら段階的に着陸します。しかし、水平飛行時にはエンジンパワーを上げるため、燃料を多く使っていまいます。ANAでは、飛行機が混んでいない深夜に到着する飛行機は、水平飛行することなく継続的に降下することで燃料削減や騒音の低減をしています。
ANAは、航空業界で初めてCO2削減目標を設定した会社なのだそう。ここでご紹介した以外にも、機体の軽量化や、効率のよいエンジンへの乗せかえ、エンジンの圧縮機部分のほこりの水洗いによって燃費を向上させるなど、さまざまな取り組みで環境負荷を減らす努力をしているそうです。
極東の島国に暮らす私たちにとって、飛行機はなくてはならない交通手段。こういった取り組みをしっかり応援しながら、私たち自身も、環境負荷の少ない移動手段を、賢く選んでいきたいですね。