みなさん、標本の作り方をご存知ですか?標本を作るには、特殊な薬品と特殊な器具を使って難しい技術が必要で・・・、私はそう思っていました。この講座に参加するまでは・・・。
丸の内さえずり館で行われたワークショップ「大人のための昆虫標本講座」。この講座では、NPO法人 日本アンリ・ファーブル会 理事講師の木村義志先生を講師に、13名の参加者が標本作りに取り組みました。
手順1:昆虫を採取する
手順2:針で固定する
手順3:干す
→箱にしまってできあがり
あれ、それだけ?という声が聞こえてきそうなほどのシンプルさです。それだけに手先への集中力とセンスが問われます。こわばったカブトムシの脚をゆっくりとストレッチさせてほぐす、薄くて繊細なチョウの羽を破かないように虫ピンで止める、参加者のみなさんは真剣なまなざしで丁寧に作業を進めていきます。
このコツさえ覚えておけば、後はしっかり乾燥させて箱にしまうだけ。一度作り方を習ってしまえば、家庭でも実践できそうです。2時間半のワークショップで、参加者のみなさんは、チョウと甲虫の2体の標本の針留めをそれぞれ完了させました。チョウだけにチョー簡単!
実は、皇居に隣接する大丸有には、トンボやミズスマシといった、たくさんの昆虫が生息しています。こんなに身近で簡単なら、標本づくりは意外と趣味になりえるかも?!
今回の講師を務めてくださった木村先生(写真)にお話を伺いました。
「飼っている虫などが死んだとき、子供たちはよく、お墓をつくって埋めますよね。でも、埋めるのではなく、標本にするというのはどうでしょう。標本を観察すると、生きているときには感じにくい昆虫の筋肉や関節の動き、表面の質感などを感じることができます。そういった体験から、生物への興味をもってくれるとうれしいですね。」
来年は生物多様性年。名古屋にCOP10がやってきます。「生物多様性」という言葉を聞いても具体的なアクションが頭に浮かびにくいですが、こうして標本作りで手の中の小さな命を感じることから、生物多様性についてについて考えてみるのも良いかもしれません。大丸有でも、生物多様性に関連して様々な取り組みが行われる予定です。気になる取り組みを見つけたら、ぜひ参加してみてくださいね!