異論なく返ってきそうなのが、「さぬきうどん」。観光で言えば、栗林公園や金比羅神。
そして、隠れた魅力が、「チャリンコ王国」だということ。
今回は、エコッツェリアで丸の内地球環境倶楽部やCSRレポートの企画・運営をつとめる平本が、講演で訪れた香川の自転車事情をお届けします(うどん付き)。
まず、データを見てみましょう。
都道府県別の自転車保有率は、上位に大阪、埼玉、東京、千葉と大都市圏が並ぶ中で、堂々の全国第5位。県庁所在地の高松市では、通勤通学の自転車利用率は27%と、全国平均の2倍だとか。
高松市内のレンタサイクルの利用は、年間約27万台、1カ月当たり2.2万台、1日当たりでは700台強という数字は、驚きです。
もともと、フラットな地形であったとともに、中心市街地がコンパクトなこと、舗装整備率や道路密度の高さ、さらには堅実な県民性もあって、自転車が普及してきたそうです。
レンタサイクルのポートの1つ、高松駅の地下駐輪場で、実際に借りてみました。
エレベーターで降りると、そこは自転車店のように、色も形もユニークなチャリンコが並んでいます。ここは、2,300台も収容可能なんだとか。受付に行って申請書を書き、身分証明書とともに提出すると、「レンタサイクル利用証」が発行され、利用料(24時間まで100円)を支払うと、カギを渡されます。番号に対応した自転車を探して、いざ、高松の街中へ!
高松市のレンタサイクルは、見た目に特徴があります、というのも、みんな青に塗られていること。もともと、違法駐輪や放置自転車を撤去した保管に困り、再利用をしようと始められたこのシステム、色も「瀬戸内海」をイメージにした青にしたとかしないとか。センスに意見はあるけれど、100円というお値段には頭が下がります。
地上へは、エレベーターのほか、階段脇のベルトコンベアという強い味方も! 自転車の重さをカバーしてくれるので、上り階段もすいすい歩けます。
さて、これからどこへ行こうかな......。
地元の方の「名物、朝のチャリンコラッシュを見てください」というコメントを思い出し、近隣のアーケード商店街へ。高松中央商店街は、アーケードが2.7kmも続きます。対向する自転車が少ないのもあり、大通りより商店街を使う人も多いとか。
南向きに走り、大通りで信号待ちをしていると、どんどん、向かいの道に、北向きの自転車が増えてきます。信号が青に変わると...幅は違えど、「ここは中国!?」という感じで、チャリンコ集団が、どわーっと押し寄せてきます。これは結構、見ものですね。
大通りは、歩行者と自転車の通行帯を分けています。2008年に社会実験を行い、通行帯の遵守率が90%と高い結果が出たため、09年度から本格実施しているんです。
まだ始めて1年を経過していないこともあり、ところどころに、通行帯をきちんと守るよう誘導する人が、蛍光カラーのジャンパーを来て立っています。また、商店街エリアでは警備員が立ち、「ヘッドホン使用は罰金ですよ~」と呼びかけているのが印象的でした。
ルールをつくってもきちんと運用しなければ、自転車同士や、自転車と歩行者の接触事故などにつながります。事故削減に向けた強い姿勢が感じられました。
さて、別の視点でチャリンコ事情を見てみましょう。丸亀町商店街に、イカしたチャリンコ駐車場を発見! 再開発のビルにあわせて誕生した、全自動の地下立体駐輪場だとか。モノは、技研製作所が提供する「エコサイクル」で、東京・世田谷区に2001年に導入されてから、じわじわと普及しているもの。倒れやすい自転車をきゅっと挟む仕組みや、出すときに、「びっくりどっきりメカ~♪」などとつい口ずさんでしまう飛び出し方は、一見の価値ありです!
地下の有効利用や、ビルの基礎部分との兼用など、特に都市部での活用に威力を発揮しそうです。この商店街では本来、店頭に乗り付ける自転車を減らし、ゆったりした商店街をつくろうという発想で企画したのだとか。ちゃっと乗り付けて買い物してさっと帰る、に慣れた高松人に、地下駐輪場がどこまで普及かは興味深いところですね。
また、商店街によっては、空き店舗をぶち抜いて、無料駐輪場として開放しているところもあちこちに見受けられました。レンタサイクルのポートだけでなく、こういった「チャリンコステーション」がまちの各地に増えていくのが、利用促進のカギになると感じました。
ちょっとコバラが空いたので、そろそろ、うどん......。これまた地元の方に教えて頂いた「うどん屋五右衛門」、つるんとした喉越しが心地よい。おいしゅうございました。チャリンコもいいけど、うどんもね!
* 写真1枚目: 瀬戸内海の色をした(?) レンタサイクル
* 写真2枚目: 高松駅の地下駐輪場
* 写真3枚目: 高松中央商店街 朝のチャリンコラッシュ
* 写真4枚目: 歩行者と自転車の通行帯
* 写真5枚目: 丸亀町商店街の全自動地下立体駐輪場
* 写真6枚目: うどん屋五右衛門のうどん