いま、仏像がアツイらしい。昨年春から夏にかけて東京と九州で開催された「国宝 阿修羅展」には165万人が訪れ、同時期に発売された雑誌『BRUTUS』(マガジンハウス)の「仏像特集号」は即完売したという。そして今年は平城遷都1300年を迎え、奈良の諸仏に注目が集まっています。
こうした仏像ブームの中、去る1月26日(火)に、新丸ビル7階にある丸の内ハウス・サロンルームで「京都で見つけたイケメン仏像」なる講座が開催されました。JR 東海「そうだ京都、行こう。」の企画で行われたこの講座は、18時からと19時半からの2部制で、それぞれ定員30名を超える人が参加しました。"イケメン"に惹かれたのか、"仏像"に惹かれたのかは定かではありませんが、参加者の9割は女性。見たところ、20代から40代と思しき女子が多くいらっしゃいました。
講師は、日本美術史・仏教美術史がご専門の花園大学文学部文化遺産学科教授・福島恒徳氏。仏像が"イケメン"たる所以や、時代とともに"イケメン"観が変わっていく様を、仏像の写真を紹介しながら解説してくださいました。
福島先生の解説によると、仏像が"イケメン"なのは、制作当時の人々の理想のプロポーションが仏像に込められているから、ということです。
例えば、飛鳥時代(6世紀半ば~7世紀半ば)は微笑みをたたえた面長の仏像が好まれていましたが、白鳳時代(7世紀半ば~8世紀初頭)には頬っぺたがふっくらした童子風の仏像が多くなり、天平期(奈良時代)には写実性が重視され仏像が人間的になってくる、といった具合です。
ちなみに、冒頭でも紹介した「阿修羅像」は天平期の制作とされています。三面六臂は決して現実のものではありませんが、その表情は実に写実的で、当時の理想の"イケメン"っぷりが窺えます。
ところで、こうした昨今の仏像ブームが、今年に入って少し変わった展開を見せています。それが、女性ファッション誌『an an』(マガジンハウス)で取り上げられた「菩薩男子」の登場です。
同誌によれば、「菩薩男子」の条件は次の5つで、俳優の黄川田将也(きかわだ・まさや)さんや綾野 剛(あやの・ごう)さん、細田よしひこ(ほそだ・よしひこ)が注目の「菩薩男子」として紹介しています。
一、きめ細やかでなめらかな肌質。
二、済んだ瞳と切れ長の目尻。
三、引き締まったしなやかな体。
四、年齢不詳の雰囲気。
五、邪念を感じさせない表情。
うーん、菩薩と関係ない気がしますが......。
ちなみに、"菩薩"と一言で言っても色々な"菩薩"がいらっしゃるのをご存知でしょうか?文殊菩薩に千手観音菩薩、弥勒菩薩に普賢菩薩、地蔵菩薩など。"観音様"って"菩薩"だったんだ、と気付かれた方も多いと思います。他にもいろんな"観音菩薩"がいらっしゃいますので、ご興味を持たれた方は是非調べてみてください。そして、"お地蔵様"も"菩薩"だったんですね。多くの人をお救いくださるという "地蔵菩薩"を民衆が有難がり、あちこちに"お地蔵様"が作られるようになりました。
「仏像面白いかも」と思ったアナタ、是非とも街に繰り出して、お気に入りのマイ仏像を見つけてみてください。
「俺には関係なさそうだな」と思った男性諸氏、女子の食いつきを思い出してください。これからは、仏像について一つや二つ語れるのがモテる秘訣になるかもしれませんよ。
* 写真2枚目:会場の様子
* 写真3枚目:東寺の諸仏の数々。この絵葉書は当日のお土産として振る舞われました。太っ腹!
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