大河ドラマ「龍馬伝」で香川照之さんが熱演し話題の、三菱の創始者 岩崎彌太郎(1835年~1885年)は、1868年(明治元年)、土佐藩が行っていた海運業を引き継いで三菱を興しました。
三菱は、1890年(明治23年)には、丸の内の土地を政府から一括購入して取得、この地を地震に耐える洋風建築の林立する事務所街にすることを決め、政府のお雇い外国人であった英国人建築家ジョサイア・コンドル(1852~1920)に、丸の内における三菱初の洋風事務所建築である旧三菱一号館(1894年竣工、1968年解体)の設計を任せました。
この三菱一号館が完成した頃、三菱は丸の内を単なる事務所街ではなく、文化的な街に醸成しようと考え、コンドルと相談しつつ丸の内に美術館や劇場を作ろうと計画を試みました。これに応えてコンドルは"Proposed. Art Galleries. Maru no Uchi. Tokio(丸の内美術館案)"を作成します。この計画は実現しませんでしたが、東洋文庫、静嘉堂文庫をはじめとした岩崎家、また三菱にゆかりのある諸施設は、日本、東洋、西洋の美術の名品、また貴重な書籍を蒐集してきました。
そして、一世紀の時を経て、丸の内に三菱一号館美術館が誕生しました。
この三菱一号館美術館開館第二弾となるこの展覧会では、コンドルの作成した「丸の内美術館」計画を紹介するほか、静嘉堂、東洋文庫所蔵の名品、さらには三菱系企業やゆかりの個人が所蔵するオーギュスト・ルノワール、クロード・モネ、山本芳翠、黒田清輝らの作品を併せ、120点余(会期中入れ替え含む)の貴重な蒐集品の数々を展示します。110年前の計画に思いを馳せつつ、古今東西の名品を堪能してみてはいかがでしょうか?