総合人材サービスを展開するパソナグループは、本部オフィスの移転に伴い、オフィスの一部に様々な植物を植えた「アーバンファーム」をオープンしました。これは以前の本社ビルの地下にあった「パソナオーツー」を発展させたもので、オフィスのあらゆる場所に野菜が植わり、一階には90㎡の水田まであるのです。
今回はこの「アーバンファーム」を見学し、アーバンファームとパソナの農業分野での取り組みについてお話をうかがってきました。
まずは、施設の見学から。1階と2階の施設は誰でも見学が可能で、毎日たくさんの方が見学に来られるそうです。まず、受付の正面には花畑があります。この花畑には季節の花が植えられていて、このときは終わりかけではありますがバラが咲いていました。
その奥には植物工場があります(一般見学者は内部に入ることはできません)。リーフレタスなどの葉物野菜が水耕栽培で栽培されています。ここで作られる野菜は年間約2万株、社員用の食堂で食材として使われているそうです。(照明は蛍光灯とLEDのHEFLライトを使用)
* HEFLは液晶テレビのバックライトと同じ。
植物工場は、ここのほかにセミナールーム(一般見学不可)にもあります。この建物は昭和32年竣工の古いビルのため、太い柱がたくさんあり天井も低いという難点があります。そのため生まれたセミナールームのデッドスペースに野菜工場をつくり空間を有効活用しています。結果的には、緑が見えることで快適な空間になり、今後は天井にも植物を這わせる計画もあるようです。
植物工場の次はいよいよ水田です。見学した8月上旬は収穫間近の時期で、首を垂れる稲穂も多く見られました。水田は水耕栽培ではなく、ヤシマットの上に運び込んだ土を入れた上に水を張ったものです。外から運んできた土なので、イネ以外の植物の種が混ざっていて、畦には雑草が生い茂っていました。オタマジャクシを放すという案もあったそうですが、カエルになって水田から飛び出すと打ち合わせなどに支障が出るということで見送られたそうですよ。
照明にも工夫が凝らされています。稲の生育に合わせて照明の高さを変更することができ、さらに成長を促す赤系のライトと形を整える青系のライトを併用することでバランスのとれた稲の生育を助けているとのことです。この照明と温度の管理によって年3回の作付けが可能で、年3回収穫できれば150kgのお米がとれるそうです。
水田の隣に設置されたカフェ(一般見学者利用不可)にある、ワインセラー型植物工場では、このライトの色と植物の生育の関係がよりわかりやすく見ることができます。この植物工場には上部にLEDが取り付けられ、色を変えることができるようになっています。この色の組み合わせを変えることで、植物の生育を調節しています。
2階も見てみましょう。2階も誰でも見学可能です。2階は打ち合わせスペースになってしますが、その壁面やパーティションにも野菜が植わっています。このときはトマト、ひょうたん、ゴーヤーなどが植わっていて、実をつけているものもありました。
さらにはキュウリがぶら下がっている天井も! 以前は、トマトを植えていたところ、ミーティング中に熟れた実が落ちてきて書類が汚れてしまったので、キュウリに変えたそうです。キュウリなら落ちてきても、痛いくらいで他に被害はないという理由だそうです。
さらに、イスの下にも仕掛けが。種を発芽させる際には、暗いところが適しているということで、イスの下のデッドスペースを生かして苗床がつくられています。ここでは発芽したものを打ち合わせスペースの棚で10日前後育てたものをスプラウトとして食べているそうです。
6Fのオフィス(一般見学不可)の真ん中にも植物のために広いスペースが取られています。ここは一株ずつ袋に入れられ、つりさげるという方式。そこに自動的に水やりをする灌漑システムが導入されているとのことです。
大手町のオフィス街の真ん中にこれだけの植物が植わっているのは本当にすごい! 外壁にも植物が植わっていて、6月にはバラで埋めつくされたそうです。
一風変わったパソナのオフィス。1階の水田やバラ園は一般開放されているので、近くをお通りの際には覗いてみては?
パソナアーバンファーム
開館時間 : 土日祝日を除く 平日 9:30~17:30
見学料 : 無料
株式会社パソナグループ 事業開発部 (03-6734-1070)