三菱地所がCSR活動の一環として行う「空と土プロジェクト」。都市と農山村、それぞれに住む人が手を取り合い、お互いに成長できるきっかけと行動をつくるこのプロジェクトでは、大丸有のステークホルダーを対象に、山梨県北杜市で開墾、農業体験、コミュニティハウスづくりなどのツアーが行われています。
今回は、今年初めて挑戦した酒米づくりの収穫ツアーの様子をレポートします。
収穫日となった10月9日は、あいにくの秋雨。特に稲刈りをはじめる頃には、雨脚がより強くなる有様でしたが、甲府駅から増富地域に向かうとまず出迎えてくれるのが御門の棚田の酒米たちは、本当に鮮やかな黄金色に染まっていました。
増富地域は標高が高いという理由から、酒米を作った前例はありません。お田植えからずっと手をかけてきた人にとっては、感動もひとしおといえるのではないでしょうか。
棚田に足を踏み入れると、稲穂はちょうど大人の腰くらいの高さ。束の根元をケガをしないように親指を上にして握り、周囲に人の足がないか確認をして右手に持った鎌を自分のほうに引き、稲穂を刈り取っていきます。ざくっと刈り取れることが、とても気持ちよかったそうです。
刈り取った稲は、次に「はざかけ」という作業を行います。洗濯ものを干すように、麻ひもで束ねた稲を棒にかけ、乾燥させる作業。刈り取られた棚田の上に稲が架けられると、棚田がなんとも、秋らしい景色に変わっていきます。
刈り取りが終わると、雨と泥で汚れ、冷えてしまった体を温めに、温泉に向かいます。お風呂の後は、このツアーではおなじみ、五郎舎さんでのおいしい昼食です。毎回、地元の食材を使った美味しい料理をお腹いっぱいふるまってくれる五郎舎さん。今回は秋らしく山菜やきのこ、栗ごはんなどを味わうことができました。
五郎舎さんの良いところは、料理だけではありません。古民家を感じさせる雄大な建物のつくり、それといつも温かく迎えてくれるお店の人たち。「こんにちは」「お久しぶり」なんて挨拶が交わせるということも、増富地域との大事な触れ合いの一場面といえるでしょう。
お腹も一杯になった後は、いよいよ日本酒をつくるためのワークショップ。
ここでは今回一緒に酒づくりを行う萬屋醸造店さんのレクチャーのもと、日本酒の味わいと銘柄、そしてラベルのデザインをみんなで考えていきます。味わいに関しては、みんなからの投票で決定していきます。たくさん試飲した成果が試されます(笑)。
日本にある数多くの日本酒の名前を見ると、地域の名前をいただいたり、少し変わった漢字で構成したり、由来は実にいろいろです。萬屋醸造店さんは、あまり深く考えずに名前を決めていくとのことですが、看板銘柄の「春鶯囀(しゅんのうてん)」は、与謝野晶子、鉄幹夫妻が萬屋醸造店さんを訪れたときに詠んだ短歌から頂いたものだそう。このような美しい名前が、自分たちでつくったお酒にも付けられるといいですね。
さて、いろんなイメージを書き出し、お酒の名前とデザインを考えていきます。多かったのは「増富」、そして「瑞牆(山)」、もちろん「丸の内」や「空土」なども......。このなかから、どの言葉がラベルになるのかは次回のツアーまでのお楽しみです。
次回のツアーの開催は来年2月。萬屋酒造店さんの酒蔵も見学できるそう。酒づくりに、お田植えから稲刈り、ネーミングにまで関わるなんて、滅多にできることではありません。ご興味のみなさんは、次回をチェックしてみては?
* この記事は、空と土プロジェクトのウェブサイトに掲載されたもののダイジェスト版です。
酒米づくりツアー:稲刈り編(完全版レポート)