ファーストリテイリング社の柳井正社長が10億円を寄付するなど東北関東大震災に対する個人の支援が多く目につきます。義援金はいくらでも必要で、額の大小にかかわらず個人が義援金を贈ることには非常に大きな意味があります。
しかし同時に企業が個人にはできない支援を行っていることも忘れてはいけません。大企業が集まる大丸有から、そんな企業による支援についてレポートします。
まず、震災直後から素早く動いたのはインフラにかかわる企業でした。
NTT東日本はすぐに北海道、東北、関東と新潟、長野、山梨の17都道県で公衆電話の無料化を行い固定電話、携帯電話ともにつながりにくい中で連絡手段として非常に重要な役割を果たしました。東北6県と茨城県については現在も継続しており、通信手段が限定される被災地の人々に大きな安心を与えています。
また、直後から被災地・避難所などに特設公衆電話を設置、通信手段を失った被災者が安否を確認する貴重な手段となっています。東北6県、関東1都6県、長野、新潟に設置され、21日12時現在で設置台数は 1929台となっています。
続いて、素早い支援を行ったのが大手建設会社です。
たとえば、大林組は地震翌日の12日に早くもヘリコプターで被災地に到着、同時に大阪本店から支援物資の第1便を搬送、仮設トイレ、ブルーシートなどの支援物資を運んでいます。その後も、ユニットハウス、毛布、ストーブなどを搬送、医療施設に灯油を提供しました。また、インフラ復旧への協力のため技術系社員などの支援要員も被災地に派遣しています。
大成建設、鹿島建設、清水建設など各社も同様の支援を行っています。
そして、被災地への物資の運送ルートが確保された後は、製造各社が自社製品による緊急支援を行いました。
たとえば味の素は3月12日にレトルトのおかゆを5000食、カップスープを10万食、15日にはゼリー飲料を15万個、カルピス ウォーターなどの飲料を24万本、18日にはだしパック、つゆの素などの避難生活を送る方の食料となる物資を送っています。
パナソニックはラジオ1万台、懐中電灯1万個、乾電池50万個、ソーラーランタン4,000個を送り、被災地での停電に対する対策を行っています。資生堂は水のいらないシャンプー1万個、ハンドソープ1万個、速乾性手指消毒剤2万個といった避難所に不可欠な衛生関連商品を支援しています。
被災地の復興はまだ始まってもいません。今後も被災者の食料も薬品も衛生用品も必要になりますし、今後はインフラの復旧、仮設住宅の建設も必要になってきます。そのために重要なのはこの支援を続けていくことです。いくら大企業とはいってもこのような支援を継続していくのには困難を伴います。個人として寄付をしたり、支援物資を送ったりすることももちろん大事ですが、このような活動をしている企業を支援することも必要です。そのためには普段通りの生活をして経済を回していくことが重要になってきます。
利益を追うばかりでなく、社会の成員としてやるべきことをやる企業、そんな企業を応援していきたいものですね。