「震災にあった地域の作物はすべて危ない!?」

そんな思い込みにストップを。たしかに、一部の作物からは基準値を上回るレベルの放射性物質が検出されていますが、それ以外の作物も"なんとなく"買い控えていませんか？

現在、出荷の制限がかかっていないものについても、福島県や茨城県などの被災地に近い地域産の作物の買い控えが広がっています。被災地の復興には現地の産業が自身の力を取り戻すことが最も重要であるにも関わらず、風評被害によって被災地の農家が廃業に追い込まれるケースが出始めています。

そこで立ち上がったのが、有楽町の交通会館と銀座農園。有楽町駅前の交通会館マルシェ（農産物産直市場）では、4月1日（金）から『買い控えを吹き飛ばせ！福島・茨城の農家を応援しよう』キャンペーンが開催されています。福島県、茨城県の農家、農業団体を集めて、安心･安全と証明されている産地の農作物を中心に販売しています。

いくら「安全」とうたわれても、やはり不安は残るもの。会場には放射能測定器も用意されており、農家、農業団体の方々に直接説明を聞けるので、安全性に納得して購入ができそうです。

このキャンペーンに、4月16日（土）と17日（日）の2日間、茨城県の瑞穂農場と福島県の和洋福島牧場が参加し、試食・販売を行います。通常以上の肥育期間で、濃厚飼料を多く与え肥育されたブランド牛を携えた「瑞穂牛」を有する瑞穂農場と、繁殖から育成、肥育までを一貫生産体制で行い、安心・安全な牛肉と乳製品を手がける両牧場の自信作を、この機会に味わってみては？

* 厚生労働省は、3月31日に行った検査で福島県産の牛肉から食品衛生法の暫定基準値を10ベクレル上回る、1キログラム当たり510ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表したが、翌4月1日の再検査では放射性物質は一切検出されなかった
* 肉1キログラム当たりの放射性セシウムの規制値は欧州連合（EU）では1250ベクレル、米国では1200ベクレル

「今回この出店などで4月の収入が得られましたが、3月の収入はゼロ。ホウレンソウ畑では規制で出荷できないホウレンソウが毎日2cmずつ伸び続けています。私の農園は土浦市なので原子力発電所からは150kmも離れているし、放射性物質も出ていないのにね。近所のいちご農家なんかは、これまで毎日何台ものバスでいちご狩りの観光客が来ていたのに、すべてストップですよ。このまま茨城や福島の野菜が出荷できない状況が続けば、夏野菜の価格はとんでもなく高くなっていくでしょうね。

被災農家へ保障金が出るという話もありますが、それも全て次の作付けに消えます。保障金が出なければ作付けができない農家もたくさんいます。みなさんには、被災地の野菜を見たらひとつでもいいから買ってほしい。買う人がいればバイヤーが動いて流通が動き、この悪循環から抜け出せます。」
（ちんげん菜山内ファーム代表　山内勝巳さん[写真右]）

自分の身をまもるための情報収集は必要ですが、多すぎる情報に感覚が麻痺したり、反射的に拒否反応を示してはいませんか？こんな時だからこそ、必要な情報を冷静に取り入れることを強く意識したいものです。
この週末は、正しく知って美味しく安全に食べることで、被災地の農畜産業を支援してみませんか？

左）農家の方々と話をして納得した上で購入できる、右）野菜以外にも特産品なども売られているのが嬉しい