17世紀はじめの桃山から江戸時代にかけて、その時代を生きる人々の姿を描いた近世初期風俗画と呼ばれる絵画のジャンルが確立。そのなかでテーマとして多くとりあげられたのが祭礼・遊楽図でした。三社祭(5月)、祇園祭(7月)が注目を集めるこの時期、出光美術館では<祭>をテーマに名品約20件を紹介する『日本の美・発見Ⅶ 祭 MATSURI―遊楽・祭礼・名所』が開催されています。
展示は、<祭>の前夜―神が舞い降りる名所/<祭>が都市をつくる―京都VS江戸/<祭>の名残―遊楽の庭園/遊楽 prison―閉ざされた遊びの4章。風俗画のなかで<祭>がどう描かれてきたかの変遷を追える構成になっています。
第二章の「<祭>が都市をつくる―京都VS江戸」では、三社祭を描いた『江戸名所図屏風』と祇園祭を描いた『洛中洛外図屏風』を対峙させ展示。名所の配置や構図から神輿や仮装など見比べてみると、似ているようで異なる、二大都市それぞれの心意気を感じられる面白い発見がたくさんありますよ!
「初期は大局的に都市という特定の"場"を描いていたのが、時代が下るにつれて"場"の記憶が薄められ(遊楽や芸能そのものへと)一点に集中していく。祭をつくった"場"の捉え方の変化にもぜひ注目してください」とは、本展を企画した出光美術館学芸員の廣海伸彦さんのアドバイス。
展示は7月22日まで。あなたも出光美術館で<祭>の疑似体験をしてみませんか?