今年は、日中国交正常化40周年の年。各地で様々な記念行事が行われる中、丸の内では学生同士の交流が実現しました。その名も「日中大学生写真交流展」。写真を学ぶ中国と日本の学生が同じテーマで撮影し、合同で写真展を開催することになりました。
テーマは「友・未来に残したい環境」。8月1日〜31日の間、丸ビルと新丸ビルの間にある行幸地下ギャラリーにて、全90作品が展示されました。
そして、8月15日(水)には、写真展に参加した中国の大学生のみなさんが来日し、作品プレゼンテーションと交流会が行われました。写真という共通言語を持つ日中の学生たちの間で、どのような交流が行われたのでしょうか? 会場の様子を、レポートでお届けします。
お盆休みまっただ中の丸の内。エコッツェリアには、中国と日本の大学生30名が集まりました。みなさん心なしか緊張した面持ち。それもそのはず、これから一人ずつ、写真展に出展した作品について、そこに込めた想いや背景を発表する場が与えられるのです。
発表時間は一人4分。通訳の方が話す時間も考慮して進めなくてはなりません。主催のNPO法人「日中写真文化交流協会」の方の挨拶の後、いよいよプレゼンテーションが始まりました。
「大切な人と過ごす時間」、「美しい故郷の風景」、「平和を守るもの」、「愛情」などなど、同じテーマにも関わらず、その表現は人それぞれ。撮影した本人の言葉を聞いてからもう一度写真を見ると、また違ったものに見えてくるから不思議です。
面白かったのは、プレゼンテーションが進むにつれて次第に見えてきた"お国柄"。
中国のみなさんの作品には、雄大な自然を撮影したものが多く見られました。福建省、四川省、江西省など、それぞれにとって思い入れのある場所で、山や草原、湖、棚田などの景色を写真におさめ、「この美しい風景を未来に残していきたい」と語りました。
一方で日本の大学生のみなさんは、身近な人や物に視点を置いている人が大多数。家族や友達、近所の公園、昔ながらの商店など、個人的な想いを表現し、プレゼンテーションする人が多かったのが印象的でした。
お国柄は違えど、その感性は共通するものがあるのでしょう。どの学生さんも、真剣なまなざしでプレゼンテーションを聞き、発表を終えた学生には、会場全体からあたたかい拍手が贈られていました。
また、プレゼンテーションの中では、相手の国の言葉で挨拶をしたり、歌や詩を交えて自国の文化を表現したり、丁寧に自国の歴史を解説しながら発表したり、と、日本人と中国人、そのお互いの存在に歩み寄ろうとする学生のみなさんの姿が何度も見られました。そして、中国の方からは度々、「次回はぜひ中国に来てください」という言葉も。こんな発表が繰り返されるうちに、自然にお互いの距離が縮まっていくのを感じました。
全30人、約3時間の発表が終わった後は、飲食を交えた交流会へ。さらにお互いの理解を深め合ったことでしょう。
表現に国境はない。そんなことを強く印象付けられた発表会。最後に、学生のみなさんのプレゼンテーションの中で、印象的だった言葉をいくつかご紹介します。
「大切な人との絆を大切にする心を未来に残していきたい」
「自然の保全は一人ではできない。みんなで協力し合っていきましょう」
「"明日はもっと美しい"という意味を込めて美しい風景を撮りました」
「写真を通して"世界は美しい"ということを共感してほしい」
あなたにとって「未来に残したい環境」とは? あなたも一度、思い巡らせてみてはいかがでしょうか。
開催期間: 2012年8月1日(水)~31日(金)
場所: 行幸地下ギャラリー
主催: NPO法人日中写真文化交流協会
共催:中国芸術撮影学会
協賛:三菱商事、アサヒグループホールディングス、サントリーホールディングス
協力:三菱地所、エコッツェリア協会、ユニバーサルカラー
URL: www.gyokochika.com/event/event.html