都内でも紅葉がみごろを迎え始めた11月21日(水)、丸の内さえずり館主催による新企画「お昼休みの樹木ウォッチング- 行幸通りのイチョウのヒミツ」が開催されました。講師は、樹木医、森林インストラクターとして大人気の石井誠治先生。PM12:00過ぎには、新聞でイベントの告知をみたというシニアから、お昼休みの丸の内のオフィスワーカー、東京駅見物や皇居外苑散策の通りすがりの若者までと老若男女が集まり始め、開始時間PM12:15になると総勢100名を超える大所帯に。
それでは行幸通りのイチョウのヒミツにせまっていきましょう。
丸の内さえずり館
緑の葉が多く残る東京駅寄りのイチョウと、ほぼ黄色に染まった皇居側のイチョウ。見比べてみるとだいぶ違うようです。この違いはどこからくるのでしょうか。答えは、樹木の種類でも日陰の影響でもありませんでした。
街路樹というのは、基本的には消耗品。過酷な都会の環境で育つわけですが、トラブルがあれば植え替えられてしまいます。たしかにそう言われて見てみると、大きさも必ずしも同じではありません。根元をやぐらで支えているものなどは、植えられてまだ間のないもの。東京駅側のイチョウは、行幸通りが2010年に新しく整備されたときに植えられたものなので、皇居側のものに比べると若いため、色付きが遅いのですが、あと5年もすればだいぶ追いついてくるはずとのこと。
また同じ木でも緑色と黄色の葉が混在し、色付くスピードが異なっているのは、剪定時期の違いによるもの。7月、9月と1年に2回剪定すれば3回葉が芽吹くことになります。剪定された枝から芽吹いた新しい葉は、まだまだ働き盛りで青々としています。対照的に皇居側の老いたイチョウは、剪定をしておらず、4月に一斉に芽吹いたものなので、黄葉も同じく一斉に色付いていたというわけなのです。
"葉の形でオス・メスがわかる"という、ちまたではまことしやかに流れている説がありますが、答えはなんとNO。オス・メスは実がなるかどうかでしか判断できないとのこと。イチョウは初めて実をつけるまで20年~30年かかるため、孫の代にならないと実をつけないということから、中国では「公孫樹」とも呼ばれているのだそうです。
では、ここ行幸通りに植えられているのは、オス・メスどちらなのでしょうか。イチョウの起源は非常に古く、1000万年前の新生代末期ごろには日本にも存在しましたが、その後一度絶滅。現在のイチョウは中国由来のものです。中国の一部にだけ残った種が、平安時代もしくは鎌倉の初期に日本になんらかの形で持ち込まれたようです。珍しいものは神社仏閣で扱うという当時の慣習により、ご神木として大切にされました。その結果、今では日本各地で見られるくらい増えました。
一方中国では、イチョウを燃料に利用していたため、原生地には1本も残っていないのだとか。現在は見直され、中国の木としてアピールするために保護され始めているのだそうです。
「枝には長枝と短枝の2種類があります。樹の形を決めるのは長枝なので剪定の際はこの長枝を切ります。切られると伸びる...調子よく伸びるので長枝と覚えましょう」
「銀杏としてわれわれが食べている部分は、種子の子房(双葉と芽)の部分。堅い殻が内皮の部分です。タヌキやハクビシンはまわりの固い殻を噛み砕けないのでそのまま食べて出してしまう。人間と同じ美味しい部分を食べる、このあたりで生息している動物と言えば、あとはドブネズミぐらいです」
「根腐れという言葉は誤解を生んでいますね。根は、腐るのが先ではなく、枯れるのが先です」
などなど、石井先生流の楽しいトリビアが次々と飛び出していました。
次回の開催は、12月6日(木)を予定。テーマは「3億年のイチョウのパワーとは!?」。生きた化石ともいわれるイチョウの恐るべし!なパワーに迫るそうですよ。参加無料、申し込み不要、そして途中参加も途中離脱も自由ですので、とってもお気軽。お昼休みのリフレッシュに、ぜひ参加してみませんか?