環境省の「平成25年度住民参加による低炭素都市形成計画策定モデル事業(アセスガイドライン利用ケース)」に(株)三菱地所設計の「大丸有地区の環境共生型まちづくりの取り組み事業」が採択され、エコッツェリア協会は共同実施者として参画しました。アセスガイドラインの中でも都市再開発の加速につれて強化が必要とされている「生物多様性への配慮」について考える検討委員会を発足し、全3回にわたり活発な議論を重ねました。
委員(座長) | 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 教授 横張 真 |
委員(有識者・学識) | 慶應義塾大学環境情報部 教授 一ノ瀬友博 |
委員(有識者・民間) | 株式会社インターリスク総研コンサルティング第一部 環境グループ マネジャー・主任研究員 原口 真 |
委員(有識者・民間) | 三菱地所株式会社 環境・CSR 推進部 副長 竹内 和也 |
委員(有識者・民間) | 株式会社三菱地所設計 都市環境計画部 副部長 植田 直樹 |
委員(有識者・民間) | エコッツェリア協会 専務理事 井上 成 |
オブザーバー | 三菱地所株式会社、株式会社三菱地所設計、 小岩井農牧株式会社、株式会社乃村工藝社、 エックス都市研究所 他 |
エコッツェリア協会(事務局長 村上 孝憲、事務局次長 近江 哲也)
竹内純子事務所(竹内 純子、小林 正明)
緑地を"量"より"質"で評価するために、従来のネガティブな影響評価だけではなく、教育や啓発、コミュニティ活動の推進などもプラスの評価対象としていく方向性が提示されました。
提案された評価方法の実現に向け、大丸有地区の強みでもあるエリアマネジメントによるコミュニティを活かして目標像を定めていくこと、日常業務の一環で出来る継続的なモニタリングの重要性や、住民(大丸有地区では就業者や来街者と解釈)が楽しみながら参加できる仕組みや場づくり、継続的に運営していくための組織づくりの重要性が示唆されました。
第2回までの議論を受けて、大丸有地区の「都市における生物多様性」への取り組みにあたっての提言(素案)について議論されました。生物種の多様さやその数が増えることももちろん大事ですが、特に皇居に隣接する 都心部の当地区にあっては、以下のような3つの目標像を掲げていくこととしました。
また、活動を支援しモニタリングや活動の場づくりを行う「大丸有エリア生物多様性連絡会」(仮称)の発足やその持つべき機能について検討されました。
生物の生息空間として一定の完成をなした場を提供するだけでなく、遷移や変化のプロセスをあえて提供する場を設置したり、地区内の緑環境とあわせて、その背景にある自然史や歴史や文化、都市形成に際しての想いや哲学などを同時に発信することで、大丸有地区を楽しんで好きになってもらうことができること、また、それらをインタープリター(大丸有地区の語り部)できる人材育成の重要性などが示されました。
今後は、さらに大丸有地区の持つ波及効果を活かして、周辺地区や様々なステークホルダーとの活動連携を広げていくことで、大丸有地区が皇居を拠点としたエコロジカルネットワーク(=多様な生物の移動空間)の形成にどのように貢献していけるかについての議論を深めていきます。
(2014年3月12日掲載)