12月9日(木)、新丸ビル10階エコッツェリアで『オフィスにおけるハリの風大賞』の授賞式が行われ、最優秀賞1点、優秀賞2点、審査員特別賞3点、奨励賞4点、特別賞1点が発表されました。
『ハリの風大賞』とは、オフィス環境に「風のメリハリ」をつくりだすことで個々人の快適な風量と温度を作り出す「ハリの風」をデザインする、標準的オフィス環境に設置可能なパーソナルファンを募集したもの。
最優秀賞に選ばれた『Aeroof』(川島優+鷲尾和哉:Studio.00)は、置く場所を選ばないスッキリとしたデザインとシロッコファン* による静かでやさしい風のパーソナルファンです。スタイリッシュでファンには見えませんね!
* 多数の小型の前向き羽根をもった筒と整風器をくみ合わせた構造の多翼ファン
今回の審査委員の、社団法人 日本ディスプレイデザイン協会 理事の鈴木 恵千代氏にお話を伺いました。
審査委員の鈴木 恵千代氏
製品的なアイディアと、風そのものを考えるアイディアのふた通りがあった点が、とても興味深かったですね。
今回のコンテストでは、オフィスの中の注目されていなかった風というファクターに焦点を当ててコンテストを行ったことに意義があったと思うのですが、応募期間が短かったため、技術的な部分を研究し風を考えるまでの時間がなかったのでは。そこは残念でしたね。
応募いただいた作品は風を送ることをファンに頼っているものが多いですが、どういう風が心地よいかというところにもう一歩踏み込めると良かったのかも知れません。窓から入ってくる風のようなものの発想での研究なども良いですね。
イギリスのダイソン社の扇風機は風の脈動が発生しない設計になっていますが、それでも思ったような風ではないという声も聞きます。そういった手法も含めてもっとデザインを続けていってほしいと思います。
審査員特別賞 『Cave』(日野 寿一:千葉大学大学院)
やはり、生命から学ぶのがいいのではないでしょうか。
シロアリの蟻塚は、炎天下の30度を越す砂漠の中に人間でいうと800階以上にもなる高さのビルを建てているようなものなんです。そこに数百万匹以上のシロアリが住んでいるわけです。その空調は、下から吸い上げる冷気を気化させて蟻塚の中を通すことで成り立っているらしい。やはり生命から学ぶべきところは大いにあるのではないかと思います。
ブレイクスルーはアーティスティックなものが起こします。今回は、形の面でアーティスティックなものが出てきていたので、今後に期待したいですね。
丸の内地球環境倶楽部では、オフィスに関するデザインと技術を兼ね備えたプロダクトのコンテストを継続して行っていく予定だそう。
「このコンテストを、デザインと技術が検証され、それらをマッチングする場にしていきたいと思っています。この場で生まれたものが現実的なプロダクトに進化していって、いずれオフィスで利用されるようになるのが理想ですね(エコッツェリア協会 広報の井上さん)」とのことなので、次のコンテストに備えて、みなさんも身近なオフィス環境を改善するアイディアを暖め始めてみては?将来、アナタのアイディアが日本のオフィスに新風を吹かせるかもしれませんよ。