過去のアーカイブ過去のニュース

3.11東日本大震災、その時、大丸有の帰宅困難者は...? 防災の日に大丸有の防災体制を再検証!

maru_311.jpg

9月1日は防災の日、今年は3月に未曾有の大災害があったこともあり、新たな取り組みを行う企業も多いことと思います。その時にまず考慮すべきなのは、3.11の際の対応でしょう。大丸有地域でも多くの帰宅困難者が出ましたが、それに対する対策は十分だったのでしょうか? 今後の防災のために検証が必要でしょう。

大丸有地域では、2004年に大規模災害時に予想される多数の帰宅困難者に対応するために「東京駅周辺防災隣組」という組織を結成し、体制づくりを進めてきました。その概要は平常時には防災活動を行い、非常時には千代田区と連携して活動を行うというものです。

大丸有の安心安全(大丸有CSRレポート 2011)

具体的な非常時の活動としては、防災情報システムを稼働させ、安否情報の収集・伝達、支援場所への誘導、食糧・飲料水の配布などを行うもので、震度6以上の場合は自動的に、それ以下の場合は千代田区の協力要請があった場合にシステムを稼働させる事になっています。

今回の震災では東京の震度は5強であり、千代田区からの協力要請もなかったため、非常時の活動が立ち上がることはありませんでした。

しかし、みなさんもご存知のように、東京では交通機関がほぼ全てストップし、多数の帰宅困難者が出ました。大丸有地域でも多くの人が帰宅できずに滞留することとなりました。

そのため隣組では、午後4時ころからは防災無線を通じて皇居周辺の歩行者の状況を千代田区防災課へ伝達、午後9時以降は千代田区の許可を得て丸ビル地下の滞留者に対して「千代田区防災倉庫」に備蓄してあった毛布とカーペットを配布するという活動を行いました。

果たしてこの活動と震度6以上という活動条件は最適なものだったのでしょうか?それを検証しつつ、今後の課題について、財団法人都市防災研究所 上席研究員 守茂昭様にお話を伺いました。

― 今回の震災での帰宅困難者の数というのは想定通りだったのでしょうか?

首都圏地震被災の最悪の想定では、もっと多量の帰宅困難者が発生するとされています。誘導の計画については今回の状況をふまえて、従来予定されていた皇居前広場を今後は使わないなどの変更が加えられる可能性があります。

― 今回、課題として見えてきたのは帰宅困難者の安全の確保と安否確認のための通信手段の確保ではないかと思いますが、それについて今後の計画はあるのでしょうか?

通信手段の確保は重要ですが、100年に一度の災害に備えて高価な設備を導入するのは現実的ではないため、比較的安価な手段を常に模索しており、現在はIP電話の導入を検討しています。

― 普段から災害の可能性を認識することが防災には重要だと思いますが、大丸有エリアの方がそのような認識を高められるような活動も行っているのでしょうか?

啓発活動は千代田区役所、東京都庁と連携して今後とも日々行って行きます。
*例年1月に千代田区では帰宅困難者防災訓練を行っており、東京駅・有楽町駅周辺地区の訓練には防災隣組が主体的に関わっています。

今回の震災で都心で災害にあった際の備えについて考えを新たにした方も多かったのではないでしょうか? 防災隣組の活動について知り、もしもに備えましょう。

防災隣組による防災まちづくり活動(内閣府 災害被害を軽減する国民運動のページ)