9月に冊子版がリリースされた今年度の大丸有「CSRレポート2012」ですが、12月にはいよいよウェブ版がリリースされました。発行当初から冊子版とウェブ版の2枚看板で、冊子版はダイジェストで、ウェブ版はフルバージョンの記事が読めるというそれぞれの特色を持っています。今回は、そのウェブ版について、編集長の平本真樹さんとプロデューサーの鈴木菜央さんにお話をうかがいました。
大丸有CSRレポート2012ウェブ版
大丸有CSRレポート2012冊子版(PDF5MB)
平本: ポイントとなる時代の動きが2つあります。1つは、社会的に環境が一般的になってきたこと。もう1つは、CSRというものが地域にいる人たち、地域に関わる人たちとの協業である、という認識が広がってきたこと。大丸有でも、その時代の動きにあわせてさまざまな取り組みをしていますが、2つのポイントを押さえながら全体を編集しました。また、都市は人が集まり、知恵が集まる場所。そして新しい価値を生む場所です。そのような都市・大丸有を、ビジュアルでも表現したいとトライしてみました。
鈴木: 表紙を見ていただくと大輪の花があるんですが、これが街のイノベーションを象徴するもので、その周りの人や物が化学反応を起こして新しいものを生んでいくということを表現しています。そしてそこからの広がりを色のグラデーションで表現しています。あとは毎年のことですが、クリエイティビティや想像力によってみんなの驚きを引き出したいというのがあって、それも重視しています。
平本: 紺野登先生は、企業やさまざまな団体・人々が集まって新しい価値を生む「フューチャーセンター」等の場づくりについて研究されています。大丸有の中でもフューチャーセンター的役割の場が求められており、エコッツェリア自体も環境まちづくりに関するフューチャーセンターを目指して活動しているため、紺野先生の取り組みから多くを学びたいと企画しました。
小林重敬先生は、エリアマネジメント研究の大家であり、NPO大丸有エリアマネジメント協会や、エコッツェリア協会の運営にも大きくお力添えを頂いています。より、地域のエリアマネジメントが重要視されている時代となり、あらためて「これからのエリアマネジメントの課題や方向性」について伺っています。
2050年へのまなざし
「ステークホルダーズ・ミーティング」(大丸有に関わる人々)は2つのテーマを取り上げました。1つは、企業の環境経営を推進する環境まちづくりについて。実際に企業に属し、環境経営に取り組んでいる方々に集まっていただき、推進する方向性や課題を乗り越えるヒントについて共有できました。もう1つは、丸の内朝大学の卒業生が考える大丸有のまちづくりについて。これまでの大都市のまちづくりは、デベロッパー、行政、地権者が中心で進められてきましたが、都市を使う人、大丸有でいえば就業者の思いを反映する余地は大きくありませんでした。「まちづくり」とともに「まちそだて」を推進することこそ、1000年続くまちづくりのカギと考え、大丸有地区に積極的に関わっている彼らの意見は、刺激的であり、説得力があるものばかりでした。
鈴木: 「2050年へのまなざし」のお二方のインタビューからは街の可能性や未来が見えてきた気がします。とくにウェブのフルバージョンを読むと冊子版よりより深い部分まで伝わってくるので、それを強く感じました。「ステークホルダーズ・ミーティング」の方は、どちらもまちに関わる誰もが興味が持てるテーマだと思うので、大丸有にかかわらず「まち」を使っている多くの人に何かを感じて欲しいなと思います。
平本: 大丸有は環境まちづくりという意味で単に持続するだけでなく発展しながら続いていくまちを目指しています。いま地方都市の活力が損なわれていると言われていて、そのようなところでまちづくりやまち育てに関わっていらっしゃる方もたくさんいると思うのですが、そういう方々にぜひまずウェブ版を読んでヒントを探していただいて、それから実際に大丸有に足を運んでまちづくりのいまをリアルに感じて頂くきっかけになればと思っています。
また、大丸有は日本の技術と智慧の粋が集まってる地域だと思っていますので、海外の方にも環境まちづくりのいまを感じてもらえればと思います。英語版冊子のPDFも公開していますので、それを読んで実際に大丸有に足を運んでいただければと。
「まち育て」って面白いですね。まちを作るのは確かにディベロッパー等ですが、街を育てるのはそこに働く人たちやそこを訪れる人達。大丸有地域はオフィス街ですが、来街者を増やし、その来街者も一緒に環境「まち育て」をしていこうという試みを行なっている地域です。このCSRレポートもそのような試みの一貫というわけなので、大丸有をたまにでも訪れるという方はぜひ一度読んでみてください。今度訪れるときにはまた別の見方でまちを見ることができるかもしれませんよ。