三菱一号館で開催されている「一丁倫敦と丸の内スタイル展」。写真展「一号館アルバム」では、梅佳代、ホンマタカシ、神谷俊美の3人の写真家による三菱一号館復元の記録が展示されています。
都市・建築展の途中の一室で展示されているのは、日本写真界の新世代を代表する写真家の一人、ホンマタカシの作品。
三菱一号館は、旧三菱一号館を煉瓦のひとつひとつに至るまで忠実に再現した建物です。 ホンマタカシは、三菱一号館の建設に使用された230万個の煉瓦を追い、製法から当時の煉瓦を再現した中国・長興の製造工場の様子や、丸の内の工事現場で煉瓦を積みあげる過程を記録しています。
この展示ルームは、壁に塗装がされず赤煉瓦がむき出しになっています。壁が塗装されていると気づきにくいですが、三菱一号館の壁は、全てこの赤煉瓦で積み上げられたもの。館内のドアの厚みに着目してみてください。煉瓦の存在感と重量感に、きっと驚かされますよ。
また、この展示ルームの天井はガラス張りになっており、旧三菱一号館の木製の屋根組みを忠実に再現している様子が見られます。金具まで当時のものを再現しているというこだわりぶりに、脱帽です。
神谷俊美は、10年にわたって丸の内を撮り続けてきた写真家。この10年の間に、丸の内では多くのビルが建て代わり、まちは大きな変貌をとげました。そんな移り変わりや旧三菱一号館の保存部材、一号館建設の過程をモノクロのフィルムによる静謐な写真に焼き付けています。
うってかわって1階では、今最も注目される若手写真家、梅佳代による、躍動的な写真の展示。一号館の建設現場で働く職人たちの生き生きとした表情を500枚以上の写真にとらえています。
展示の仕方もとてもユニーク。等身大パネルや、職人たちの家族のスナップ写真、展示パネルの裏にまで貼られているお茶目な工事現場ショットなど、現場の賑やかな空気が伝わってきます。
今回ご紹介したのは、「一丁倫敦と丸の内スタイル展」のごく一部。お正月休みは、テレビや読書もいいけど「一丁倫敦と丸の内スタイル展」で丸の内ツウになってみるのはいかが?三菱一号館は、2009年内は31日の大晦日まで、新年は2日からオープンですよ。
* 三菱一号館は、2010年4月6日に美術館として正式に開館します