オフィス環境に「風のメリハリ」をつくりだすことで個々人の快適な風量と温度を作り出す「ハリの風」をデザインする、標準的オフィス環境に設置可能なパーソナルファンを募集した『オフィスにおけるハリの風大賞』。12月9日(木)には、新丸ビル10階エコッツェリアで授賞式が行われました。
ハリの風大賞 主催のエコッツェリア協会事務局長の井上 成氏は、「まちとして、スケールの大きいものから細かな個人的なものにまで、さまざまなニーズに応えるためにこのようなコンペを開催した。『環境ショーケース』としてのまちを目指して、これからも再開発が進む東京で、新しい技術の発見とそれを実際に導入する取り組みを行っていきたい」と、ハリの風大賞の主旨を説明しました。
委員長の川瀬 貴晴氏は、審査員の総評として、
「募集に先立って行なった実験によると、スポットの気流を快適と感じる箇所は胸元やうなじなど人によって違う。従って、パーソナルファンは、いろいろな場所に置けて、風をいろいろな角度から当てることができる必要があるようだ。今回選ばれた作品はこれらのニーズに応えると同時にオフィスワークを楽しくする効果も持っている。来年の夏は、自分の好みのパーソナルファンを使って快適に楽しく過ごしたいものだ」と、コメントしました。
「予想外のダブル受賞(最優秀賞と優秀賞)に驚き、とても嬉しく思っています。オフィスでの作業中にも邪魔にならないすっきりとしたものがほしいと思い、使っていないときに存在感を消すことができる蓋式のアイデアが生まれました。コンペティションは提案で終わってしまうことが多いので、ここで終わらずに世に出せるよう引き続き開発を進めていきたいと思います」
「オフィスという使用場所から、規格サイズでまとまっている書類や雑誌の中に収納した時の収納美を考えました。ハードカバーの辞書のようなビジュアルだけではなく、開き具合で風量が変わるといった、『言葉を引くように風を引く(調整する)』機能も意識しました」
「机などにひっかけて使うアイデアを最初に思いつきました。それに支点を加えることで、回転を利用した首ふり機能を付けられる、やじろべえのようなユニークな形状が生まれました」
「従来のエアコンでは、どのような空気がどのような風量で送られているかは目に見えません。それを可視化して風を認識することによって、それぞれが環境について考えられる空間にしたいと考えました」
「10月1日に、今回の出展作品と同種のものが発売されました。現在はパーソナルユースだけなのですが、今後はオフィスでも流行らせていきたいと考えています。オフィスで個人に一台ずつ使用するとエネルギーを使ってしまうので、ビル設備に組み込んでいけるようなものを開発しています」
オフィスに関するデザインと技術を兼ね備えたプロダクトのコンテストを継続して行っていく予定のエコッツェリア協会。みなさんも快適なオフィス空間について今から考えておけば、次回の授賞式で表彰台に上がるのはアナタかも!?