エコッツェリアの会員企業のCSR担当者が集まって、次世代のCSRとはどんなものか? よりよい「環境コミュニケーション」のあり方とは何かをワーキングショップ形式で考える環境コミュニケーションワーキング。第2回目は、ゲストに株式会社ガリバーインターナショナル マーケティングチーム リーダー 北島昇氏をお迎えし、新時代のCSRについて議論しました。
今回は、まず北島氏に同社が取り組む「ガリバータッグプロジェクト」についてお話いただいたのち、各グループに分かれて学んだことをまとめるワークショップという流れとなりました。
3月11日の震災を受け、ガリバーインターナショナルの経営陣は、翌月曜日3月14日には被災地に1000台の車輛を提供することを意思決定。北島氏の率いるマーケティングチームに、その具体化案をまとめるよう指示が降ります。
当初は行政を相手に交渉を重ねるも、行政の方々が被災されていることもあり、混乱が続く中ではなかなか前に進めることができませんでした。
そこで北島氏は「わからないことは、生活者のいるところまでこちらが出向いて、直接話をきく」とご自身のマーケティングポリシーに立ち戻り、ソーシャルメディアのプラットフォームである、Blabo! とプロジェクトを立ち上げることを思い立ちます。
手始めに行ったのは、経営陣に直談判し、1000台のうち100台の支援先を決定する権限を委ねてもらうこと。とにかくスピードが重要、社内でハンコ10コ押してもらって決定している場合ではないため、スピードと実効性の重要さを伝えました。
こうして、ガリバータッグプロジェクトは、車の使い方を募るアイデア編、車の使い道を募るニーズ編と、生活者から直接意見を募り、そのコミュニケーションのなかから、被災地支援の内容を決定していくことになりました。
ソーシャルメディアを企業がCSRやマーケティングに取り入れるとなると、リスク面が取りざたされることも多いもの。しかし、北島氏がこの決断に踏み込めたのは、支援の遅れ、ニーズとのミスマッチの方がよっぽどリスクだとの考えのほか、実は成功体験があったから。
2010年にblabo!で、首都高看板広告のコピーを募集したところ、1日で約300件が集まり、クオリティも非常に高かった。ソーシャルメディアでのコミュニケーションに自信を持っていたことが、恐怖心を取り除きました。
また、プロジェクトのレポーティングにおいて、"社内の論理と社外の論理をわけない"ことを一貫。論理を分けた途端、生活者は敏感に感じ取ってしまう。判断基準は対社外も対社内も同じにする。これはプロジェクトを進めるうえで、社内調整においても良い結果をもたらしました。経営陣の判断も、組織の論理を離れ、一生活者としてどう考えるかと、社会と同じ論理で考えられるようになったのです。
さらに北島氏が成功要因としてあげたのが、ガリバーインターナショナルという会社のカルチャー。
「ファーストペンギンって知っていますか? よくみる映像で氷の上にいる集団でいるペンギン。でも1羽がとびこむと、みんな後に続くんです。動物には時として危険に対して鈍感であったり、危機に対してアドレナリンが出るタイプの個体がいる。リスクを考えれば、最初にどんな危険があるかわからない海に飛び込むべきではない。でもあえてそういう振る舞いをする個体が必ず現れる。森から出た猿がいたから進化があったように、こういう個体が出現するから種は滅びないんだそうです。ファーストペンギン、実はシャチにがぶっとやられる可能性も高いんですけどね(笑)」
北島氏曰く、ガリバーインターナショナルはまだ創業17年目の若い会社でフットワークも軽く、結束力が強い。もともと自動車の流通を変えたいという強い思いから創業しているため、今回の震災で起きた社会的な課題についても、車の流通を担う会社としてできることを取り組んでいくという意思決定も早かった。いろいろと突っ走ってしまい怒られることもあるが、自由にやらせてもらっている..."ファーストペンギン"北島氏の思いを汲みとる土壌があったようです。
最後に北島氏は「マーケティングもCSRも変わらない。僕らは単純に世の中との対話と理解しています。僕らのコアバリューはなにか...それは簡単に言ってしまえば、車の売り買いしていることに尽きる。このドメインで僕らがどう社会貢献できるか。社会と対話しながら、CSRをそういうカタチで昇華していきたい。」とご自身のCSR観をまとめてくれました。
ぶっちゃけあり、お笑いありの北島氏のお話を受けて、4名ずつ5チームに分かれてのワークショップは、和やかな雰囲気のなかスタート。今回は、しめじ/なめこ/まいたけ/しいたけ/べにてんぐだけと、(なぜか)キノコしばりのグループ名。
というポイントについてチームごとにまとめ、最後には見出しも付けて、発表です!
次回の環境コミュニケーションワーキングは9月1週目を予定。引き続き丸の内地球環境新聞でレポートします。