先日発行された大丸有地区のエリア版CSRレポート、ご覧いただけましたか?エコッツェリアウェブではウェブ版を展開し、冊子版もPDFでご覧になれますので、まだ見てない!という方はぜひ見てみてくださいね。冊子版は、エコッツエリアや大丸有で開催されるイベントで配布しています。
冊子版はイラストと紙の質感の調和にもこだわっているので、ぜひ手に取ってごらんください。
......といったこだわりを含めて、クリエイディブディレクターの鈴木菜央さん、デザイナーの根本真路さん、ウェブディレクターの兼松佳宏さんにお話を伺いました。
鈴木:1 年目(2008年)は企業ではなくまちがCSRレポートを発行するということで、何をやろうとしているのかを知ってもらうための自己紹介として、詩や地図などを多く盛りこんだ100ページの大冊を制作しました。
2年目(2009年)はエコッツェリアのポータルサイトとともにウェブ版CSRレポートを開始し、大丸有のCSRは冊子の中で完結するのではなく、継続的に更新されるメディアウェブ を通じて、展開されていくのだというメッセージを発信しました。
3年目の今年は、冊子版とウェブ版とまちそのものが連動する形で「レポートするCSR」 から「アクションするCSR」 へとさらなる展開を図っています。また、ビジュアル面を重視して 、カフェでも読めるようなビジュアルを心がけました。今年は、フラットで色がきれいな絵本的な表現を採用し、多くの人に手に取ってもらえるようにすると同時に、8つの環境ビジョンの一つ一つに対応するイラストを制作して、ビジュアルとアクションをつなげ、レポートとアクションの緊密性を高めました。
兼松:エコッツェリアウェブのCSRレポートのページはCSRレポート冊子版の発行にあわせて1年に1回更新されて、アーカイブとして残ります。このCSRレポートで書いていることは常に動いていることなので、その動きを見せるためにポータルを展開しています。今後は、これまで以上に 丸の内朝大学をはじめとしたエコアクションから丸の内発のいろいろなプロジェクトが行われていくので、CSRレポートもそれをもっと吸い上げていきたいと考えています。 単にレポートするだけでなく、仕掛けてアクションするCSRレポートとしてポータルが進化していくのがこれからの形だと考えています。
鈴木:これまでのCSRレポートは「こういうことをやりました」とただ報告するものでしたが、それでは社会問題は解決しないわけです。地域が社会に責任を持つ以上、社会問題をリアルに解決する動きにこそ意味があるのであって、レポートそのものには意味はないともいえます。だから、大丸有CSRレポートはアーカイブ型からアクション型に移行していかなければならない。そのために、ポータルサイト、丸の内地球環境新聞、朝大学やエコ結びなどのエコアクションとCSRレポートが有機的につながっていく必要があるのです。
兼松:レポートのためだけに「2050年のまなざし」についてインタビューをするというのではなくて、普段からいろいろな人にインタビューをして、それをウェブに載せていってもいいと思うのです。そして、レポートにはそれを一年分まとめて載せるという形にしてもいいかもしれません。同じようにステークホルダーズ・ミーティングだって、2か月に1回開催して、それをウェブにアップしていってもいいと思います。
鈴木:ステークホルダーズ・ミーティングについていえば、普段からステークホルダーと対話していれば、そもそもミーティングをする必要もないかもしれない。普段からまちの人との対話が直接ウェブに反映されていくことで、CSRレポートとウェブとまちがくっついていき、CSRレポートの境界線が溶けていくイメージを抱いています。いまの形でもCSRレポートとしては進んだ形だと思うんですが、もっと実験的で面白いことをやっていきたいと思います。
兼松:ウェブの機能的な面では、それほど変更した点はありません。ポイントとしては、昨年から引き続き、冊子を見て、ウェブに来た人が記事を探しやすいように工夫しています。冊子の各章の扉絵のイメージをそのままウェブに使っているのも同様の工夫です。このCSRレポートは冊子とウェブが合わさって完成するものなので、双方が有機的につながるように工夫しました。
鈴木:取材をしていて一番おもしろかったのは、ステークホルダーズ・ミーティングでした。普通にまちを使ったり暮らしたりしている人たちに、まちが良くなるにはどうしたらいいか真剣に聞いたら真剣に答えてくれた。彼らの言うことを聞いて、それを本当に実現したらこのまちは本当に良くなるだろうなぁと思いました。
特に「まちと企業と人が「ともに体験」できる場を」の方でそれを感じました。実際にまちで活動している人たち に話を聞いて、「ハイタッチすると警備員が飛んでくる」などという、まちづくりの専門家からでは出てこない話が聞けて面白かった。そこから、このまちにはもっと自由な領域が必要なのではないかという課題が導き出されてくるのです。ここで出てきた課題は容易なものではないけれど、チャレンジするべきものだと思います。かなりいろいろな宿題をもらったと感じました。
* 「ドキッ!あなたの知らない大丸有CSRレポートの魅力! 後編」では、鈴木菜央さんとデザイナー兼イラストレーターをつとめた根本真路さんに、イラストに込められた意味や想いを伺いました。後編は7月28日(水)に掲載予定です。お楽しみに!