これは、まちづくりに携わる人たちがいつも頭を悩ませるポイントです。施設や店舗などのコンテンツを充実させること、外部からのアクセスを向上させること、イメージアップを図ること・・・などなど、様々な対策があります。
そんな中、こんな方法もあるんじゃないか!?というアイデアを見つけました。ちょっとした工夫で訪れる人たちが楽しい気分になってしまうアイデア、これを大丸有でやれば、もっともっとたくさんの人たちが楽しめるまちになりそう! というよりも、こんなのがあったら行ってやってみたい! そんな風に思ってしまう素晴らしいアイデアなのです。
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presented by greenz.jp(greenz.jpは、丸の内地球環境新聞をプロデュースしています、じつは。)
スウェーデンのフォルクスワーゲンが「The Fun Theory」というサイトを立ち上げた。
「The Fun Theory(=楽しい理論)」とは、人々の行動を変えるには楽しいと思わせることが大事だという考え方である。この「楽しい理論」を元に、3つのアイデアを具現化し実験した動画を公開している。
細かい説明は後にするとして、まずはこの3つの動画を見て欲しい。アイデアと実験が本当に素晴らしいのだ!
「エスカレーターやエレベーターの代わりに階段を使うと、健康にも良いし、気分も良いですよ」というような言葉を時々見かける。でも、その言葉通り実行する人はほとんどいない。エスカレーターを使うより階段を使った方が楽しければ、もっと多くの人が階段を使うのでは?
結果:66%以上の人がエスカレーターではなく階段を利用した。
ペットボトルや缶をリサイクルする人は多いけれど、ガラス瓶をリサイクルする人は少ない。缶やペットボトルと違って、ガラス瓶にはディポジットの返金が無いからだろう。返金は無くても、ガラス瓶の回収自体が楽しめれば、もっと回収できるのでは?
※スウェーデンでは缶やペットボトルにディポジット制が導入されている
結果:一晩で100人以上の人がこの回収ゲームボックスを利用した。同じ時間内に近くにある普通の回収ボックスが利用されたのは、わずか2回だった。
落ちてるゴミを拾ってゴミ箱に入れるくらい、本当は全然大したことではないはず。でも、ほとんどの人が落ちているゴミを黙って見過ごしている。ゴミ箱にゴミを捨てるのが楽しかったら、誰もがゴミ箱に捨てるのでは?
結果:このゴミ箱には1日で72kgものゴミが入れられた。近くにあった普通のゴミ箱よりも、41kgもゴミの量が多かった。
どの動画を見ても、思わず笑ってしまった。そして、「楽しい!」という気持ちに、こんなにもパワーがあるのかと思い知らされた。頼まれても渋々だったり、人によってはできればやりたくないと思うような行動も、こんな風に楽しくできるようにされると、順番待ちしてでもやりたくなる。
このワクワクする素敵なアイデアや動画の制作は、ストックホルムの広告クリエイティブエージェンシーDDBによるもの。このサイトの「Fun Theory Award」では、このような人々の環境に対する意識を変え行動を変える「楽しい!」アイデアを広く募集し、最優秀作品に2,500ユーロの賞金を贈った。
その作品はこちら!
これは、自動車の制限速度をより多くの人々が守るように、スピード違反をした人の写真を撮るのではなく、制限速度を守った人の写真を撮って、その写真に振られた番号が宝くじになるというアイデア! しかも、賞金はスピード違反をした人の罰金から支払われるのだという。これなら制限速度を守るようになるかも!
「楽しい!」という気持ちは、人々の行動を変えるパワーを持っている。しかも、一人一人に"自主的に"行動を変えさせる力がある。
人間というのは、自分の欲にはなかなか打ち勝てない、弱くて利己的な生き物である。環境にも良いし長い目で見たら大事なことだと頭で分かっている事でも、「今はちょっと手が離せないから」「今日はちょっと疲れてるし」と自分に都合の良い言い訳を使って、継続した習慣や行動を変える事は難しい。
でも人間は、そんな哀しき習性を逆手にとって、だったらやりたくなるように楽しくすればいいじゃないと、発想を転換することもできるのだ。この動画を見ていると、人間にこういう知恵とユーモアとたくましさがある限り、地球は亡びることはないんじゃないかと思えてくる。
「環境に良い、健康に良い、節約にもなる、良いことだらけ、でも実行できない」そんな問題に直面したら、この「楽しい理論」で知恵を絞ってみてはどうだろう?
The Fun Theory