遠藤周作の『王妃マリー・アントワネット』、池田理代子や宝塚歌劇団による『ベルサイユのばら』など、女性の華やかさと激しさを体現するような生き様で今でも人気の高いフランス最後の王妃マリー=アントワネット。容姿の美しさで名高い彼女は、自身の肖像画に強いこだわりをもっており、肖像画家にもかなりのえり好みがあったそうです。そんな彼女に気に入られてお抱えの画家となったのが、女性画家ヴィジェ・ルブランです。
画家の家に生まれたヴィジェ・ルブランは、10代の頃からプロの肖像画家として活動していました。マリー=アントワネットに肖像画の出来を気に入られ、また、友人としても意気投合した彼女はその後、宮廷をとりまく貴族たちの肖像画家としてさらに活躍の場を広げていきます。
そんな"マリー=アントワネットの画家"ヴィジェ・ルブランと同時代の女性画家の作品を集めた展覧会が、三菱一号館美術館で開催されています。今回の展覧会ではヴィジェ・ルブランの作品23点をはじめとした女性芸術家たちの作品約80点を展示。ヴィジェ・ルブランの回顧展は本国フランスでも開催されたことがなく、まとめて鑑賞できるのは世界でもまれな機会になっています。集められた作品の表情は、どれも繊細で柔らか。女性ならでは表現を堪能することができます。
......とは、三菱一号館美術館館長の高橋 明也氏。
「ヴィジェ・ルブランは、シングルマザーとして子どもを抱えながら職業画家としてフランス革命期を生きぬき、87歳で亡くなりました。80歳の頃にはマリー=アントワネットやエカテリーナ2世について書いた回想録を出版しています。大変たくましい女性ですね。
また、マリー=アントワネットの強烈なプッシュによって、わずか4名しか認められていなかった王立絵画彫刻アカデミーの会員になったところなど、女性同士でタッグを組んで男性社会に切り込んでいったという見方もできます。こういった、女性の強さやキャリアストーリーの面から鑑賞しても面白いですよ」
また、同美術館の歴史資料室では、展覧会にあわせて「丸の内・職業婦人の誕生展」が開催されています。丸の内といえば、日本初のオフィス街が誕生した地であると同時に、職業婦人の先駆けを生み出してきた地。そして、現代でもたくさんの女性たちが一線で活躍する地でもあります。
フランスの女性画家たちと大正~昭和初期の日本の職業婦人、そして現代を生きる女性たちそれぞれの姿を重ね合わせてみれば、女性たちが切り開いていくこれからの世界が垣間見えるかも!?
会期 : 2011年3月1日(火)~5月8日(日)
会場 : 三菱一号館美術館(東京・丸の内)
〒100-0005
東京都千代田区丸の内2-6-2
開館時間 : 水・木・金10:00~20:00/
火・土・日・祝10:00~18:00
* 入館は閉館の30分前まで
休館日 : 月曜休館
(祝日の場合は翌火曜日休館。5月2日(月)は開館)
お問い合わせ : 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
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