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サステイナブルな都市と食ワーキンググループから生まれた「大丸有つながる食プロジェクト」が始動

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大丸有地区では「食育丸の内」や「丸の内マルシェ」を通じて食と農に関する取組みを進めてきました。レストランのシェフたちが地方の生産者とつながって、食の楽しさやその重要性をまちに集う人たちと考え、実践しています。

エコッツェリアではサステイナブルな都市の食ワーキンググループでさらに進んで議論を重ねてきました。そして、3月2日に永楽ビルがオープンするのを機に、大丸有ではエリア内の飲食店や社員食堂に安心安全で美味しい食材を提供する共同調達モデル事業「大丸有つながる食プロジェクト」を開始しました。
「大丸有つながる食プロジェクト」

2月23日にはこのワーキンググループで「公開商談会」が行われ、「つな食プロジェクト」の取り組む主体が増えることを目指し、プロジェクトの説明と、新規に生産者として参画する可能性のある団体によるプレゼンテーションが行われました。

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認定マーク

このプロジェクトでは、大丸有エリアにテナントや物流の立場で深く関係している食の専門集団である株式会社大地を守る会と物流の専門家である株式会社まつのに参画していただき、調達と流通の実践を行なっていきます。具体的には、主旨・目的に則った生産活動をしている生産者の食材に認定を与え、その食材を中心に流通させることを目指します。認定・審査基準は大地を守る会の協力の下エコッツェリアが定め、大地を守る会の専門スタッフが現地審査を行い、最終的に大丸有つながる食プロジェクト協議会が認定可否の判断を行います。

認定基準は4段階を予定しており、基準1は「安全・安心への努力」、基準2は「地産地消の視点」、基準3は「人とのつながり」、基準4は「文化継承・地域づくりの視点」として、野菜そのものの質だけでなく、生産者が地域や人とどのような関係を結んでいるかという「ストーリー」も取り入れることで、持続可能な環境共生型の地域づくりを目指します。

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大地を守る会の戎谷徹也さん

大地を守る会の戎谷さんはこのような基準を設けることについて「環境に対するリスクを考え、その生産者が消費者に対していかにありがたいかという観点からそれを可視化していきたい。そして、食べることによってその生産者を支えているんだという信頼関係を築いて行きたい。顔が見える関係を気づくことでお店にとっても『うちの生産者』と呼べる存在になる」と説明します。

しかし、このような厳しい基準を設けることで、レストランのニーズに答えられなくなってしまったり、コストが高くなってしまったりするのではないかという疑問も生まれます。これについて、まつのの重藤さんは「リスクヘッジとしてまつのが別の商品をレギュラー品で用意する。また、大きな産地にくっついていく物流などでコストも下げることができる」という対策を提示しました。

続いて、今後の生産地ネットワークを広げるためということで、生産者団体などによるプレゼンテーションが行われました。プレゼンテーションを行ったのは、宮城県で食品スーパーを展開する有限会社マイティーの千葉さん、会津で伝統野菜の発掘を行う有限会社会津食のルネッサンスの本田さん、東京で地産地消に取り組むGREENSTYLEの中村さん、山梨県で耕作放棄地の開墾を行うNPO法人えがおつなげての木下さん、有限会社ゴールドシェフの北村さんです。

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千葉さん(有限会社マイティー)

東日本大震災の影響として、農業で課題になるのは離農の問題。農業政策がまだ決まっていない中、6割が迷っていると言います。それを防ぐには人材育成と農業ビジネスのモデル化が必要で、今回の共同発注はモデル化のモデルになるのではないかと思います。丸の内で開催した宮城食堂では、生産者をリストアップし、そこからシェフに選んでもらいました。流通に入ってもらってこれが永続化できれば可能性が広がると思います。

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本田さん(有限会社会津食のルネッサンス)

私たちは地域の伝統野菜を30年位前から発掘してます。京都、加賀と並んで古く、ストーリーをつけて伝統野菜を残しています。米についても、土を作ってきた年数で「ヴィンテージ5年」などという形でブランド化しています。さらにMARE(稀)という業務用ブランドを作り、一般の人が食を一歩踏み込んで楽しんでもらえるような取り組みもしています。見えないところにこだわるプロの知恵を小売にも生かせないかと考えています。

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中村さん(GREENSTYLE)

丸の内でマルシェをやったり、シェフと東京の生産者を結ぶ視察ツアーをやったり、江戸東京野菜を使った商品開発などをやっています。小規模な農家が多いので、「毎日は出せない」「自分たちで動くエネルギーはない」という声が多くあります。値段と集配の問題をクリアすれば興味を持ってくれる店舗は多いので、このような共同調達モデルというのは非常に可能性があると思っています。

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木下さん(NPO法人えがおつなげて)

北杜市で耕作放棄地を減らす活動を行なっていて、すでに5haを開墾しています。そのほとんどは企業とのタイアップのものですが、社員が作った食材を使った製品などストーリーを加えることができると好評です。ほとんどは出荷先が決まっているものですが、直営の畑で在来種の青大豆や花豆、小麦なども作っているので、文化継承という部分で参加させていただける部分もあるのではないかと考えています。

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北村さん(有限会社ゴールドシェフ)

食材の安心安全については審査基準を作って生産者を認定するなどの取り組みを行なっていますが、生産者からは消費者の顔が見えず、何を作っていいかわからないという声も聞かれます。そこで売れる商品づくりのための勉強会をはじめたのですが、自社で東京までの運賃を賄うことは難しいので、仲間に入れていただくことで物流コストを下げられるなら貢献できる部分はあると思います。

これを受けて大地を守る会の戎谷さんは「この仕組みは生産地とレストランとお客さんをどう結びつけるかを考えるためのもの。余剰欠品の問題を解決するためには大丸有以外で展開することや加工メーカーとも協力することを考えていかないといけないかもしれない。ここから食の分野の総動員につなげて問題を解決していきたい」と話しました。

プロジェクトにはすでに北海道から南は沖縄までの多数の生産者が参加していますが、レストランは丸ビルの「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」と「マンゴツリー 東京」、新丸ビルの「四川豆花飯店 東京店」、丸の内永楽ビルの「Daichi & keats 」と「LeAF KITCHEN」の5店舗のみ。今後は参加レストランを増やし消費者の認知も高め、参加することがレストランにとってメリットになるようにしていく必要があります。都市と食の未来を切り開く実験に注目してください!