3月の「丸の内永楽ビルディング」、5月の「JPタワー」、そして10月の東京駅復原と再開発がすすむ大丸有エリアですが、11月1日、新たに「大手町フィナンシャルシティ」がグランドオープンしました。
「大手町フィナンシャルシティ」は地上31階のノースタワー、35階サウスタワーの2棟から成り、日本政策投資銀行や日本政策金融公庫などが本社機能を移転するオフィス、国際金融人材を育成する「東京金融ビレッジ」、英語対応のクリニック「聖路加メディローカス」が開設されるほか、1階、地下には飲食店などの商業施設が入っています。その名のとおり、国際金融センターを目指す大手町を象徴するこのビルの横に、「エコミュージアム」がオープンしたのをご存知でしょうか?
「エコミュージアム」はノースタワーと日本橋川の間に位置します。早速、外堀通り側からご紹介しましょう。
まず目に入ってくる「ミュージアムインフォメーション」には、展示の全容が記されています。ここで使われている印象的なタイルは有田焼。電力を利用せずに長時間発光できる畜光、紫外線で光る蛍光の効果で、夜にはまた違った雰囲気になるそうです。
「ミュージアムインフォメーション」手前には、ヒートアイランド対策のための軽量な屋上緑化技術を利用した「湿性花園」があります。水生植物を活用するこの技術は小岩井農牧の屋上緑化で実際に使われているもの。その横には、大丸有で初めてホタル飼育へチャレンジをする「ほたるのせせらぎ」。ビルの厨房排水を循環利用した中水を用いて、清流でしか育たないホタルを生育します。来年の初夏、大手町でホタルが見られるなんて、楽しみですね。(今はまだのぞきこんでも空っぽです!)
続いての東屋らしきものは、再生素材などエコマテリアルで作られた「サロン」。
環境情報の可視化をテーマとし、環境モニタリングディスプレイが設置されています。サウスタワー屋上にある、32.24kwの太陽光発電の現在発電量が確認できるほか、「サロン」上のデジタル百葉箱から送られてくるリアルタイムな気象情報も表示されます。オイルの生産性がナタネやアブラヤシよりも高いと試算されているオイル産生微細藻類や、バイオ燃料の原料としても注目されているユーグレナ(ミドリムシ)など"これから"の環境技術も展示されています。
夜になると、床面いっぱいに星が散らばる、ロマンチックな木もれ陽プロジェクトも必見です。
「サロン」を通り過ぎ、小道の両脇に登場するのが「プレゼンテーションガーデン」。
「グローイングアート」は、接ぎ木の技術を活用した"生きた"アートで、植物と一緒に成長するまちとひとの未来を象徴しています。だんだん育っていくのを楽しむ植栽とのこと。
日本庭園の伝統的な装飾である「水琴窟」。竹筒に耳をあててみると、静寂のなか一滴ずつ落ちる水音の響きが聴こえてきます。「水琴窟」は一音ずつゆっくり、はっきり聴こえるのが良いものとされるそうですが、これは群馬県の専門業者に制作を依頼した自慢の逸品だそうです。
エディブル"シェード"ガーデンでは、ローズマリー、ごごみ、ユキノシタ、山あけびなどの食べられる植物が育ち始めているようでした。
そして、最後に見えてくる大きな物体が「アーバンエコファーム」。
池上俊郎氏(京都市立芸術大学教授/建築家)設計の都市型植物工場の実証実験場がそのまま展示されています。ここで実際に、LED電照、ナノバブル、トリジェネレーション(空調の熱、照明の電気を同時に利用、さらに排気から出るCO2も促成栽培に用いる)、水素を使った燃料電池などの環境技術を組み合わせ、都市型農業システムの最適化を探っていくとのこと。
現在はイチゴ、レタス、さつまいもを栽培中。生産が落ち着いてきたら、マルシェや青空市での頒布や、近隣の飲食店での利用も検討するそうです。
まちなかにあるメリットを活かして、その成果を情報発信していくことでエリアのコミュニケーションのきっかけになることが期待される「エコミュージアム」。
夜の景観もかなり意識してプロデュースされているそうなので、丸の内イルミネーションの続きでお散歩がてら大手町の「エコミュージアム」まで足を伸ばしてみませんか?