丸の内朝大学に今期初めて登場した「【女性限定】美活・妊活クラス」。開講前は、ストレートに"妊活"をうたったクラスだけに人が集まりにくいのではという懸念も事務局側にはあったそうですが、受講生募集開始とともにあっという間に定員に。なかなか学ぶ機会のなかった「産むためのカラダづくり」を学ぼうというこのクラスでは、どんな授業が展開されているのでしょうか。女性健康医学者で健康&美容コンサルタントの本田由佳氏を講師に迎えた、第7回「いつかのために今からできること(妊活編)」の模様をレポートします。
丸の内朝大学
晩婚化などの文脈から語られることの多い"妊活"。たしかに、いつかの妊娠、出産のために体を整える正しい知識を得たいという女性の思いは切実です。しかしこの盛り上がりの理由はどうもそれだけではないようです。
「2月、これからの10年に考えられるリスクを「経済」「環境」「地政学」「社会的」「技術的」の5つに分類した「グローバルリスク2012」が発表されました。「社会的」リスクとして挙げられたのが所得格差。もちろん経済と人口は密接な関係がありますが、ひとりの女性として子どもを産み育てるという視点から見ても所得格差は大問題。女性が正しい知識を持って子どもを産み育てることがこれからはよりいっそう必要となってきている、そんな背景からも今"妊活"が注目されているのだと思います」
正しい知識を学ぼうと最初に取り上げられたのが、出産のトレンドについて。
「"小さく産んで大きく育てる"というのは、皆さんも聞いたことのあるフレーズではないでしょうか。データを見てみると、2010年には10人に1人の割合で低出生体重児(2500g未満)に。原因としては女性の喫煙・飲酒率の増加、晩婚化・高齢出産、間違ったダイエットなどによる女性の低栄養などが挙げられています。
しかし最近では、小さく産むことの、胎児の発育不全、発達障害、成長後の生活習慣病へのリスクが指摘され始め、2005年に厚生労働省が改善の指導を始めました。世界各国でも同様に対策が始まっています。例えばベトナム。ベトナムの女性と言えばスリムなイメージがありますが、妊娠時には日本人よりも体重が増加します。妊婦用の高栄養のミルクは一般的、食事のバランスもよく量も多い、そして日中よく働きよく動くという生活スタイルが出産に適しているようです」
小さく産む...以外にも「妊婦さんは太っちゃだめ」なども耳にしますよね?ですが実際のところは、もちろん太りすぎはよくありませんが、やせすぎもよくないとのこと。
「大事なのは、適正体重、適正体脂肪。体脂肪は15%以下月経異常、17%以上はほしい。美活妊活をするなら21%以上を、BMI(肥満度の指標。体重を身長2乗でわったもの) 18.5以上を目指しましょう」
と、"適正"という言葉が繰り返されました。
「産院が見つからないといったお産難民も問題になっていますが、トレンドも見極め、自分のスタイルに合った産婦人科を見つけるため、どういう方針のもとに妊婦の指導をしているのか、なるべく早く情報収集することも大切です」
そして講義は、「産むための体づくり」という本題へ。健康な体をつくるため、具体的にどうしたらよいのでしょうか。ここで"マイナス3歳からの体づくり"が提案されました。
「体のなかを焦がさない食生活、キーワードは抗酸化 抗糖化 抗炎症。食後の血糖値の上昇を抑えるため、低GI値と高タンパク食品を組み合わせるなど食べ方で工夫する、またたくさんの色の食べ物をとるレインボー食も有効です。油にも要注意。ショートニング、マーガリン、クリープなどは良くない油とされますが、とってしまった後はオリーブオイルなどの良い油を使ったり食物繊維を積極的に摂るなど、デトックスする意識をもつこと」
「理想的なのは6~7時間、成長ホルモンの分泌が活発になるPM10:00~AM2:00にとるといいとされていますが、仕事をしているとなかなか難しいですよね。良い睡眠のためには、睡眠導入が大切。まずはアミノ酸(トリプトファン)をしっかりとること。そして寝る1~2時間前からは脳が覚醒してしまう携帯やPCは見ないこと。そして、この音楽を聴くと、本を読むとなどこれをしたら眠くなるという自分なりの睡眠の儀式を見つけてみてください。コーヒーの飲み過ぎも睡眠の妨げになりますので、1日1~2杯に抑えましょう」
「出産時にいきめない妊婦さんが増えています。また微弱陣痛時間が長くなっているというデータもあって、これは筋肉量が影響している可能性があると言われています。原因は運動不足。体力作り、筋肉維持のため、歩くこと。デスクワークの女性は5千歩程度が平均的なようですが、まずは1日1万歩を目指しましょう」
このクラスでは歩数計をつけることが推奨されていますが、実際つけてみてどうですか?の問いには「この間4駅分歩きました」「5Fのオフィスへ階段を使うようにしています」などの声が。意識するだけでずいぶんと違うようです。
栄養、睡眠、運動ときて、最後に本田氏が付け加えたのが「ごきげん」。ときめきやポジティブシンキングは"妊活"にも大切とのこと。(ちなみに本田氏のときめきの源はEXILEだそう!)
このあと、妊娠による母体の変化について週ごとの解説があり、この日の授業は終了しました。
最後に本田氏にこのクラスへの思いをうかがいました。
「最近は、まわりに出産経験者がいない、赤ちゃんも身近にいたことがない、という環境の人も多いですよね。このクラスでは、産婦人科を見学し、実際に"ふれてもらう"ことも大切にしました。前回の授業には赤ちゃんも登場したんですよ。フィールドワークで行った卵巣年齢チェックなどもまだまだ世間では一般的ではありません。丸の内から「産むためのカラダづくり」を学ぶという場を増やして行きたいと思っています」
毎回授業終了後には受講生の皆さんから、個別の質問や相談が殺到するそう。妊活について学べる場であると同時に語れる場であることこそが、今一番求められているのかもしれませんね。