CSRイノベーションWGが1月15日(水)、富士ビルディング3階にある、今年8月末までの期間限定で設置された登録制オープンスペース「3×3Labo」で開催されました。ゲストスピーカーに、篠崎隆一氏(一般社団法人 情報連携推進機構)を迎え、講演とワークショップが展開されました。
はじめに、田口氏(エコッツェリア協会)よりあいさつがありました。
「昨年まで、エコッツェリアのCSRイノベーションワーキンググループ参加企業のCSR活動をまとめた冊子『エコのまど』を制作していましたが、今年はウェブ配信とパネル展示を行います。本日は製作過程を各企業が共有し、より良いものをつくるためにどういうことが訴求点なのか、知見を加えていただきながら、アイディアを出し合っていきましょう」。
つぎに、篠崎氏より知見の共有がされました。
篠崎氏は作詞家や広報のデザイナーとしても活躍されており、現在はエコッツェリア協会の打ち水プロジェクト、エコキッズなどの環境イベントも担当されています。
「ポスターは、視覚的広告宣伝媒体という位置づけがあるコミュニケーションツール。文字数が限られ、タイトルにはインパクトが求められます。何を発信していくのか吟味する必要もあり、頭を柔らかくして考えてみてください」と話されました。
まず、ポスターはいつ頃からあったのか。日本最古の広告は諸説ありますが、大宝律令(701年)の頃が一説にあるそうです。店舗ごとに看板を立て、商品名を明記するようにという制度があり、それが起源ではないかと言われています。
そして、広告の訴求に必要なキャッチコピーで日本最古のものは、およそ200年前に平賀源内によって考えられた「土用の丑の日」。
うなぎは、脂がのる冬が美味しいとされています。逆に、夏は身が淡白になり、脂も落ちてしまうので、当時はあまり食されていなかったそうです。しかし、「土用の丑の日」というキャッチコピーが広まったことで、夏にもうなぎが食べられるようになり、今でもその風習は残っています。うなぎは夏を乗り切るために適した栄養を持っていることもあり、理にもかなっていると言います。
土用の丑の日のような、現代での成功例には、「朝専用缶コーヒー」をあげられました。
広告の必要条件としては、広告主が明示されていること、そして、ターゲットが認識されていることがあげられます。誰に向けて発信しているものなのかは、とても重要だと言います。
「例えば、電車の駅広告に、「私たちは環境にやさしい企業です」と言う看板があったとします。電車を利用する人に向けて、"環境にやさしいよ"と訴えるだけの看板は、非常にもったいない。もし看板に地図が載っていれば、何かの際、その企業に行きやすくなるかもしれません。それであれば、駅にある意味はあります。場所に応じて目的があるべきで、見る人が誰であるのかが非常に重要」だと話されました。
実際にコピーを制作するときのポイントは以下の3点だそうです。
1. 誰に伝えたいのか
2. 何を伝えたいのか、どう感じてほしいのか
3. 伝えることでどのような効果がほしいのか
「留意点としては、文字数が限られている点。これは、良い点でもあり悪い点でもあります。選ばれた言葉である必要はありますが、文字数が限られていることで、見た人が感情移入し、イマジネーションを働かせる効果が期待できます。本当に伝えたいことを削ぎ落したコピーをポスターには使い、詳しくはウェブサイトに誘導するなど、段階的な目的をつくることもできます」。文字数を有効に活用するために、あえて重複させる以外は、同じ単語を使わないようにした方がよいそうです。
「日本の歌には『僕』という言葉が多く使われていますが、僕、彼という一人称を削り、表現していくのもポイントです」と話されました。
印象に残るキャッチコピーは、小学校の国語で習った、倒置法や押韻などの技法を思い出すとほとんどが当てはまります。
「今回はCSR活動がテーマです。ISO26000内の7つの中核主題のどこに自社が当てはまっているのかを考えると、伝えたいことが決めやすくなります」とアドバイスくださいました。
さいごに、
「広告は直接効果を促すものではなく、きっかけになるものです。広告がモノを売る訳ではありません。以上のことを踏まえて制作していただければと思いますが、今まで考えなかった、使っていなかった言葉を使ってみるチャレンジもしてみていただければと思います」とまとめられました。
そして、同じテーブルの方同士で相談し合いながら、キャッチコピーを作るワークショップが展開。30分以上におよび、『エコのまど』ポスター制作に向けヒントが見つかった様子でした。
エコッツェリア会員企業を中心に、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)について学びあいます。さらには、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)をめざし、学びから実践に向けたアクションづくりを行います。