ワーキンググループCSRイノベーションワーキング・レポート

【CSRイノベーションWG】日本アイ・ビー・エム株式会社の社会貢献の取り組み

2014年2月13日(木)開催

今回は、日本アイ・ビー・エム株式会社 箱崎本社へ訪問させていただき、社会貢献活動の取り組みや、新興国への経済発展支援活動「コーポレート・サービス・コー・プログラム」(以下CSC)でインド派遣を体験された方のお話を伺うとともに、IBMソリューションセンターを見学させていただきました。

マーケティング部に属する社会貢献活動〜小川氏

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はじめに、小川氏より、社会貢献の取り組みや、途上国に社員を派遣して課題解決する独自のプログラム等の紹介がされました。

1915年から社長を務めたトーマス.J.ワトソン氏が述べたIBMの基本精神は『良き企業市民たれ』です。ビジネスを行うだけでなく、ビジネスを行う地域社会に対しても責任を持つべきである、という精神です。その理念に基づき、ビジネスと地域への社会貢献活動を続けてきています。
IBMには、"CSR活動"と統括する部門は現在なく、社会貢献、公平な購買活動、社員への福利厚生、ダイバーシティ、ガバナンス、コンプライアンス、大学との連携を図るユニバーシティ・リレーション、政策渉外といった活動を行う各部門が、有機的に連携しています。企業では珍しく、社会貢献活動という組織はマーケティング部に属し、企業の価値を上げていく活動をする組織の一部として、取り組んでいます」。

社会貢献活動の方針は、2つあるそうです。
ひとつは、本社からのガイドに基づいたグローバルプログラムをどの国でも実施しています。IBMの持っているテクノロジーや社員の持っているスキル、ノウハウをもって社会課題解決に取り組む活動です。IBMが提供しているビジネスとの連携を計ることによって、コミュニティに対するインパクトを最大化していく、新しいパートナーシップを築いていくという、CSV的方針。
もうひとつは、社員個人のボランティア活動の支援を行う方針。それぞれの地域でのボランティア活動や、NPOを立ち上げるなど活躍の幅を広げている方もいるそうです。 この2つを大きな方針とされています。

貢献活動の対象として、"教育分野への支援" "社会支援" "経済発展に関する支援" "地域の課題解決とコミュニティ支援"の4つに分けられます。

教育分野では、子ども達に理科のおもしろさを伝えるため、小学校、中学校、高校、科学館などのコミュニティに向け、理科の実験授業を提供。また、高校生を対象にしたグローバル人材育成に向けたキャリア教育支援も行われています。
身近なものを使い、モノづくりを試しながら理科を好きになってもらうプログラムは"トライサイエンス"と呼ばれています。たとえば紙で橋をつくり、ペットボトルが何本乗るかというような内容で、お互いのやり方を見て学び、自分でも試してみる。その後に実際の橋を見に行き、さまざまな気づきを得てもらいたいというもの。年間100件以上活動されています。
社員が中身を企画、ファシリテートするという形で、ボランティア活動をする機会を提供しています。

社会支援については、"ワールド・コミュニティ・グリッド"という、グリッド・コンピューター技術を用いて、パソコンからアイドリング時の処理能力を集め、仮想スーパーコンピューターをつくり、その処理能力を人道的な研究機関などに提供されています。1台では数100年かかるような演算計算も、2年で終わらすことができるほどの処理能力です。新薬の発見にも役立ち、既に実績もあがっています。
サービスグランツというプログラムでお客様に提供しているサービスを、NPOに無償提供もされているそうです。

経済発展支援としては、CSCという海外支援隊を結成し、主に新興国の課題解決に4週間携わるというものです。今年で6年目となるプログラムで、世界で2,400名ほどの社員がおよそ30カ国に派遣されています。
この支援には、スマーター・シティ・チャレンジという都市が抱える課題解決に3週間滞在し同じく取り組むプログラムもあります。
両取り組みとも、国・都市との関係性をつくるファーストステップとしての意義と、グローバル人材・リーダーシップ人材の育成など、人事面での戦略もあります。

地域の課題解決とコミュニティ支援では、社員の自主的なボランティア活動を支えています。ボランティア活動に関する情報を掲載したウェブサイトを用意し、情報発信を行ったりボランティア活動で使えるマテリアルの提供もします。例えば、スマートフォンの使い方の授業で、講師として使える資料、ソーシャルメディアの授業用資料なども準備されています。
一定時間以上のボランティア活動が認められると、IBMから資金やIBM製品の提供も受けられます。ボランティアサービス休暇(有給)もとれるようにし、ボランティア活動に対するモチベーションアップ、継続して活動してもらえるような仕組みづくりをされています。

社員として、企業として、このように積極的な社会貢献活動を展開されています。

参考 : IBMの社会貢献活動

CSCでの気づき〜小林氏

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つぎに、CSCに参加された小林氏から、経験を通じた気づきの共有がされました。

小林氏はインドで、はじめて会う各国のメンバーとチームを組み、現地の課題解決に取り組まれました。参加動機について、「メールや会話を英語ですることはありましたが、本当にグローバルなチームで仕事をしたことはなかったので、参加してみたいと思いました。また勤続15年で蓄積してきた知識を、もっと人の役に立てたいという思いもあって、参加しました」と話されました。

現地では、4週間という限られた期間で依頼内容をすべてできるわけではないそうです。そのため、どこまでやるか、その後どうやっていくのかをプランニングする交渉から入るそうです。
「ITインフラが整備されておらず事務所の片隅を借りてオフィスにしていたので、普段恵まれた環境で仕事をしていたことにも気づかされました。プラン通りに行かないことは沢山ありますし、現地の文化も、体験してみてはじめて解ったような気がします。インドのNPOには大学生もインターンで来ていたり、優秀な新卒者が働きにきているなど、NPO・NGOへの理解も日本とは違いました。
CSCを経て、会社がこのような活動を提供してくれるというのはありがたいことだと感じています。これを機に、仕事以外でも活動の機会を求めるようになり、会社以外へも目が向くようになりました」と、気づきの共有をされました。

その後は自己紹介を交え、気づき、感想、自社、個人の観点でディスカッションが展開、共有されました。
さいごにはIBMソリューションセンターを案内いただき、参加者はIBMの先進ソリューションも体感しました。

CSRイノベーションワーキング

未来を想像し、次の時代のCSRを実施し、体感する

エコッツェリア会員企業を中心に、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)について学びあいます。さらには、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)をめざし、学びから実践に向けたアクションづくりを行います。

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