ワーキンググループ環境経営サロン・レポート

【環境経営サロン】健康ビジネスは顧客、社員に向けたCSV〜経営者が創り出す世界観

2014年1月21日(水)開催

第5回環境経営サロンが1月21日(水)に開催され、58名が参加されました。
「米国家具メーカーの持続的な差別化戦略」と「デジタルヘルスケアがつくる未来」をテーマに、企業経営者によるプレゼンテーションとディスカッションが展開されました。

【プレゼンテーション】
・ 『米国家具メーカーの持続的な差別化戦略:健康と環境の問題解決』
松崎勉氏(ハーマンミラージャパン株式会社 代表取締役社長)
・ 『デジタルヘルスケアがつくる未来』
竹林一氏(ドコモ・ヘルスケア株式会社 代表取締役社長)

はじめに、小林光氏(慶応義塾大学教授・元環境事務次官)、竹ケ原啓介氏(株式会社日本政策投資銀行 環境・CSR部長)、水上武彦氏(株式会社クレアン コンサルタント)の挨拶で始まりました。
竹ケ原氏からは、日本政策投資銀行が取り組んでいる"イノベーション・ハブ"(以下iHub)についてお話がありました。
「iHubは、企業間連携の場として東京都の大手町本店に設置されており、集まった企業間でビジネスコンソーシアムをつくり、リスクマネーとセットで仕事にしていく、出会いの場です。2014年から全国の支店にも設置予定で、エコッツェリアのような取り組みが、さまざまな場所で増えてきています」。

そして本題に。ハーマンミラージャパン松崎氏によるプレゼンテーション。

CSVが生涯のテーマであり、仕事のうえでもテーマ、と話される松崎氏。世界観としての事業環境と、どのような処世訓、CSV的事業戦略で事業活動をしているか紹介されました。

「現在の消費者は、物質的な満足にも機能的な満足にも反応しなくなってきており、精神的な充足を求めていると感じています。不安、問題意識、ハートを持ち、『人との交流への渇望』『リアルな手触りの重視』『オーセンティシティ(本物らしさ)への回帰』を求めているのではないでしょうか。そして企業は、ここ数十年は問題をつくりだしていると思われていたが、これからは問題を解決する企業が求められています。日本では顕著で、3年前の東日本大震災が決定的な出来事になり、そういう意識が高まったのではないかと思います。
1923年の関東大震災後、キリスト教哲学者の内村鑑三氏が興味深い言葉を残しています。『払いし代償は莫大でありましたが、取りかえしたのは国民の良心でありました』。残念ながらその際の良心は、一過性のものであったのかもしれませんが、東日本大震災による消費者の"新しい"欲求は、長続きすると思います。」
と、事業環境について話されました。

さらに松崎氏は続けます。
「ハーマンミラーの企業理念"Better World"の根幹には、"デザインし、モノをつくり、よりよい世界をつくりたい"という、CSV的な考え方があります。『人との交流への渇望』『リアルな手触りの重視』『オーセンティシティへの回帰』のそれぞれに向けて戦略を立て、実行しています。そして、すべてのことを廃棄物ゼロで行う取り組み、モノを長く使う取り組みも行っています。健康・疲労軽減のための対策として、適正なデスク・イスの高さ、座り方講座なども各地で開いています。」
と、取り組みを紹介されました。

「時代が変わり消費者の心が変わってきている。CSVは企業の新しい儲かる仕組みになってきているので、戦略として実行可能で、消費者、企業、人類にも意味のある、意義のあるコンセプトです。企業体質を変えなければならない、というものではなく、戦略ですから、今の仕組みの各所に埋め込めば明日からでもできると私は思っています。」
とまとめられました。

そして、ドコモ・ヘルスケア竹林氏によるプレゼンテーション。

「儲ける、学習する、すべてのベースには健康があります。世の中にない新たな社会システムを創造する、どんな社会システムを構築していくのかが私に与えられた使命」と話され、健康をベースにしたスマートライフ実現への取り組みを紹介されました。

「『企業は利益を追求するもんや それは人間が息をするのと同じや そやけど 人間は息をするために生きてるんか。 ちがうやろ。』創業者立石一真氏の言葉です。何かやりたいことがあって、それを実現するために儲ける。ここに、竹林氏の経営の原点があります。オムロンヘルスケアでは、健康を計ることはできる。しかし計ったものを活かす仕組みをつくりたいという考えから、ゴルゴ13モデル(脚本家・作画家が複数人いて分業する体制)と名付けた、さまざまな方とタイアップしたり、複数のクリエイターを置いたりし、つくっていく体制・取り組みがポイントです。」と話されました。

竹林氏はさらに続けます。
「いままでの日本では、性能がいい、低コスト化などハードの進化に重点が置かれてきました。しかし健康測定機器が売れたから病気が減るかというと、そうではありません。そこで、新たな価値観、世界観が必要になってきます。ウェルネス(健康維持・増進)とメディカル(病気の早期回復・再発防止)にサービスを区分し、モデル、プラットホームを考え、スマートフォンアプリと連動した、ウェルネスとメディカル両面でライフスタイルの提案、眠り時間計・歩行姿勢計の開発から、通院の手助け、お薬手帳、赤ちゃん予防接種スケジュール管理などを展開しています」。

「日本で一人ひとりに応じたスマートライフを実現し、世界へビジネスモデルの展開をしていけるモノをつくることが、我々が対応する社会課題への貢献ではないでしょうか。」とまとめられました。

プレゼンテーション後のディスカッションでは、両プレゼンテーターへの質問が多く、より深い理解へ議論が展開されました。

・ 参加企業、団体(50音順)
旭硝子株式会社
株式会社伊藤園
エーシーシステムサービス株式会社
オムロンヘルスケア株式会社
株式会社クレアン
慶應義塾大学
五感生活研究所
コクヨファニチャー株式会社
JNC株式会社
清水建設株式会社
シャープ株式会社
スターバックスコーヒージャパン株式会社
株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
ダイキン工業株式会社
大成建設株式会社
株式会社竹中工務店
ドコモ・ヘルスケア株式会社
株式会社日本政策投資銀行
公益財団法人 日本防災協会
日本郵政株式会社
ハーマンミラージャパン株式会社
パナソニック株式会社
株式会社日比谷アメニス
一般社団法人フォレストック協会
前田建設工業株式会社
三井住友信託銀行
三菱地所株式会社
株式会社三菱総合研究所
株式会社ヤクルト本社
リコー経済社会研究所

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エコッツェリアに集う企業の経営者層が集い、環境まちづくりを支える「環境経営」について、工夫や苦労を本音で語り合い、環境・CSRを経営戦略に組み込むヒントを共有する研究会です。議論後のワイガヤも大事にしています。

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