第6回環境経営サロンが3月13日(木)に開催され、36名が参加されました。
「低炭素社会構築のための産業界・企業の役割」についてプレゼンテーションと「企業連携による環境経営とまちづくり」について対談とディスカッションが展開されました。
【プレゼンテーション】
「低炭素社会構築のための産業界・企業の役割」
桜井正光氏(株式会社リコー 特別顧問)
【対談】
「企業連携による環境経営とまちづくり 」
桜井正光氏×小林光 道場主
はじめに、小林光氏(慶応義塾大学教授・元環境事務次官)、竹ケ原啓介氏(株式会社日本政策投資銀行 環境・CSR部長)、水上武彦氏(株式会社クレアン コンサルタント)より、本日への期待が述べられました。
つづいて桜井氏による、プレゼンテーション。
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第一作業部による第5次報告書を見て、衝撃を受けたと言います。
「この報告書では、温暖化は95%人為起源である。そして炭酸ガスの発生による炭素量が1,000ギガトンになったとき、気温が2℃上がると、ついに明確にされました。既に531ギガトンは人為起源で蓄積させてしまっており、減らしていかなければ温暖化は避けられないという、非常に強烈な報告書でした」。
京都議定書は2012年までが実施期間であり、2013年以降、ポスト京都議定書が決まらない現状と、温暖化を目前に実施に至らない理由について、こう続けられました。
「ひとつは、ICPPの報告書への認識が深まらない。そして地球の生活者全てがこの脅威を理解しなければ、いくら良い商品、システムを出しても買われない。経済成長の阻害要因というように片付けられてしまう。先進国、発展途上国は、自分たちの経済成長の伸びしろをなんとか守ろうと、利害関係の不一致を生んでおり、産業界の保守的な姿勢がさらに拍車をかけている。低炭素社会構築は、避けては通れないものという認識を持ってほしい」。
低炭素社会の構築のための必須条件のひとつに、"産業セクター・企業の、責任ある積極的な取り組み"をあげられました。産業セクターを広く捉えると、CO2総排出量の80%を占めていることから、低炭素社会の牽引役となるべき産業界が、取り組むべき低炭素化活動は以下の3つと話されました。
・ 自社における省エネ・省資源活動
・ 顧客への省エネ・省資源サービスの提供
・ 同業・異業種・多国間連携による社会システムの提供
そして、"公平性の議論を乗り越え、本質を捉える"ことが重要と言われます。
「CO2排出量削減目標がアメリカより日本の方が多ければ、それはおかしいと思ってしまいます。しかし、公平性の議論を乗り越えた先に、技術革新、競争力強化、社会問題解決がある。公平性を議論している場合ではない」。
さいごに、リコーグループが取り組む環境経営について紹介され、高いビジョンを持ちそれを共有する、経営のトップが自ら汗をかき、社員、ステークホルダーと会話する姿勢を見せていくことが重要と、まとめられました。
桜井氏と小林氏の対談では、
・ お客様の環境感度を高めることについて
・ 企業をどう環境経営に移行させたのか、仕掛けづくりプロセスについて
・ 産業界は、なぜ保守的なのか、どうしたら前向きになるか
など、一企業の枠組みを超えた観点から、一歩踏み込んだセッションが展開されました。
・ 参加企業、団体(50音順)
旭化成ホームズ株式会社
旭硝子株式会社
株式会社伊藤園
有限会社ECO-SPO
株式会社大林組
キリン株式会社
株式会社クレアン
慶應義塾大学
五感生活研究所
コクヨファニチャー株式会社
株式会社コンセプト・ヴィレッジ
清水建設株式会社
シャープ株式会社
JNC株式会社
ダイキン工業株式会社
株式会社竹中工務店
デロイト トーマツ コンサルティング株式会社
株式会社東京国際フォーラム
有限監査法人トーマツ
株式会社日本政策投資銀行
日本郵政株式会社
バイエル ホールディング株式会社
パナソニック株式会社
株式会社日比谷アメニス
一般社団法人フォレストック協会
前田建設工業株式会社
三菱地所株式会社
元サッカー日本代表監督
株式会社リコー
リコー経済社会研究所
エコッツェリアに集う企業の経営者層が集い、環境まちづくりを支える「環境経営」について、工夫や苦労を本音で語り合い、環境・CSRを経営戦略に組み込むヒントを共有する研究会です。議論後のワイガヤも大事にしています。