オフィスで気持ちよく働くために大切なのが「明かり」。しかし普段は、ことさらに意識しないのも事実です。
そんなオフィスと明かりとの関係を見つめなおすフォーラムが、2月26日(金)に開催されました。
これは、照明デザイナーの面出薫氏が主宰する「照明探偵団」が、新丸ビル10階エコッツェリアにて連続開催してきた「照明探偵団サロン」の最終回として企画したもので、名付けて「Enjoy Green Lighting オフィス/エコ・アイデアに満ちたオフィス照明の未来」。120人が参加しました。
現在のオフィスの照明は、天井に配置した蛍光灯で室内全体を明るくするのが一般的です。
しかし、仕事をしやすい明るさ(机上面照度)は人によってまちまちで、一律に明るくする現状は働く人のニーズと必ずしも一致しません。
しかも、オフィスからのCO2排出量は1990年から2007年にかけて43.8%も増加しており、[[省エネルギー・省資源]]や温暖化対策の視点からも、照明を見直す必要がありそうです。
この点を踏まえ、まず照明探偵団がレポート「照明実験・エコで楽しいオフィス照明」を発表。
これらのポイントをおさえることで、エコで心地よいオフィス照明が実現できると提案しました。
実はエコッツェリアオフィスでも、自分のデスクの明かりを好みや気分に応じて調節できる「知的照明システム」が導入されています。
一般的なオフィスの明るさは800ルクスですが、このシステムを導入してからのエコッツェリアオフィスの平均照度は300ルクスに下がったそう。
ゲストトーク「オフィス照明の潮流と未来」では、株式会社日建設計 環境計画室技師長の海宝幸一氏が「従来の照明の考え方ではオフィスの省エネは実現できない」として、空気ダクトを兼ねた光ダクトの導入など、建物の構造から見直した工夫が必要だと語りました。
ちなみに宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センターでは、総合開発推進棟に光ダクトを導入し、照明用電力を3分の1に削減しています。
続く海宝氏と面出氏との対談(右写真)では、面出氏が「室内は屋外の100~200分の1の明るさがあれば十分なのに、行き過ぎた明るさが一般化している」と提起すると海宝氏が「気持ちよく生産性の高い仕事をするために、照明にも意識改革が必要」と応じ、「これからのビルはテナントがエコ意識の高さで選ぶ時代」などと丁々発止のやりとりが交わされました。
オフィスは隅々まで明るくするより、多少薄暗い方が生産性が上がるというのがユニークですし、自然光を取り入れた心地よいオフィスはもっとたくさん登場するといいですね。
当日の会場も、ごらんのように終始やや暗めの照明の中で行われたのですが、落ち着いた空間が広がり、どことなくスローな雰囲気が醸し出されていました。
※右写真
そんな可能性を感じさせる、最終回の「照明探偵団サロン」でした。