出勤前の時間を使って、様々なテーマの学びを仲間と共有できる「丸の内朝大学」。2012年春学期も、注目のクラスが次々にスタートしています。
丸の内地球環境新聞では、今期初登場となった「ラ・フォル・ジュルネを100倍楽しむクラス」、「発酵クラス入門編」に引き続き、今回は「鼓童プロデュース!和太鼓クラス」に注目しました。
「和太鼓」と聞くと、そのテクニックばかりに目が行きそうですが、このクラスでは、太鼓を叩くことで、「仲間とのチーム作り」や「コミュニケーション力」を養うことも重視しています。
まずは座学で和太鼓の歴史や背景を知ることから始め、基礎テクニック、課題曲演習と回数を重ねた後、クラスの最後には、鼓動の活動拠点である佐渡での太鼓合宿も実施。大自然の中で太鼓を打ち鳴らすことによって、クラスメイトが互いに学び教えあう関係をつくり、自己の克服を通して、自分自身に自信が持てるようになることを目指しています。
講師を務めるのは、太鼓芸能集団「鼓童」のプレイヤーであり、太鼓合宿「鼓童塾」の塾長としてもパワフルなワークショップを展開し、太鼓の魅力を伝えている齊藤栄一氏。そのユニークなキャラクターと抜群の統率力で、既にクラスは盛り上がりを見せている様子。さっそく、授業が行われているスタジオにお邪魔し、その熱いレッスンを体感してきました!
私たちがお邪魔したのは、クラスとして3回目となる「基礎テクニック②」の講義。開始の15分前には、既にほとんどの生徒の方が集合し、ストレッチで身体をほぐしていました。ただでさえ早起きが必要な朝大学の授業。生徒のみなさんの熱意のほどが感じられますよね。
全員が揃った所で改めて、手首を中心としたストレッチを行い、いよいよレッスン開始。齊藤氏を囲んで、ひとり一台の和太鼓の前にバチを持ってスタンバイします。
「それではみなさま、あの音を覚えていますか?「弾む音」です。
個人個人の中でしっかりと弾む音をイメージして、中心に集めてください。せーの!」
齊藤氏の掛け声により、まずは全員で一斉に太鼓を打ち鳴らす練習から。徐々に揃ってくる「ドーン」という重低音が、スタジオ内に響き渡ります。これは前回の授業で経験済みのようで、生徒のみなさんも「お手の物」と言った様子。
続いて、「ドンドンドンドン」と、4回の連打へ。さらに、8回、12回、16回、と回数を変え、徐々に難易度は上がっていきます。途中、多く打ち過ぎてしまう生徒の方もいますが、齊藤氏は、
「いいですよ、好きなだけ叩いてください」
と声をかけ、すかさず失敗をフォロー。徐々に生徒のみなさんの表情も身体もほぐれ、場の雰囲気もあたたまっていきました。
続いては、全体を2組や4組のチームに分けて、同じリズムを打ち合う練習。チーム間で、やまびこのようにリズムを呼応させて、順番に打ち鳴らしていきます。音が左から右へとリレーされ、横で聞いていても、響きが中心に集まって来る様子が分かります。
そしてここからは、緊張の個人戦。左の人が打ったリズムを受けて、同じリズムを右へ。
「太鼓の音は次の人へのプレゼントです。アイコンタクトをしながら渡してください」
という齊藤氏のアドバイスの元、生徒のみなさんは、互いに視線を送り合います。すると、最初はぎこちなかったリズムも、徐々につながり始め、全体に一体感が生まれていきました。
さらに、その"プレゼント"を2つ、3つと増やし、リズムを変化させて、音のリレーは続きます。難易度が上がるため、途中、リズムが合わずに止まってしまうことも。思わず笑ってしまった生徒のみなさんに対して、齊藤氏は、
「すばらしい!笑えるのは、みんながちゃんとお互いのことを見ていたからです。叩いている人もそうじゃない人もお互いを見ていて、気持ちが中心に集まっている。この瞬間が大事なんです」
と、なんと失敗を賞賛。この言葉に、生徒のみなさんは、「コミュニケーションを大切にする」という講義の目的を、再認識した様子でした。
演習の緊張感と、齊藤氏の絶妙なトークによる笑い。その緩急が心地よい朝の1時間は、あっという間に過ぎていきました。
講義の中で、齊藤氏が終止口にしていたのは、「チームプレー」、「アイコンタクト」そして「お互いを信じる」という言葉。「間違えてもフォローし合えばいい」というアドバイスが一人ひとりの自信につながり、1時間の短い講義の中でも、チームとしての空気が変化していくのを感じました。
まだまだクラスは始まったばかり。今後、演習を繰り返してチームが成長し、全8回の講義の後にはどんな音色を聞かせてくれるのでしょうか。これからの「和太鼓クラス」に、注目です!