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世界の食の約3分の1は、ミツバチなどの「ポリネーター(送粉者)」の働きによって支えられています。
日々の暮らしの縁の下の力持ちであるポリネーターの重要性を広めるために国連が5月20日に制定したのが「世界ミツバチの日(World Bee Day)」です。
都市養蜂を通じたコミュニティ構築と、大丸有エリアの豊富な自然と共生する環境都市・健康都市を目指す取り組みである「丸の内ハニープロジェクト」は、この大切な1日を通して、ミツバチをはじめとしたポリネーターの存在とその役割を広く知っていただくためのイベントを開催しました。
会場には大丸有エリアで働くビジネスパーソンだけでなく、地域の保育園に通う子どもたちまで約500人もの人々が集まり、大手町ビルの屋上でミツバチや自然を楽しみながら学びを深めていました。その模様をレポートします。
大手町の高層ビル群の一角である大手町ビルの屋上で開催
この日のイベントは、エコッツェリア協会が事務局を務める丸の内ハニープロジェクトの他、IoT技術を活用したデジタル農園プラットフォームを展開するプランティオ株式会社、 生物多様性の保全を実現するプラットフォームの構築・運営を行う株式会社バイオーム、 大丸有エリアを起点にSDGs達成に向けた活動を推進する大丸有SDGs ACT5実行委員会の4団体と、大丸有エリアに拠点を構える13の企業の協力の下で開催されました。
運営にご協力いただいた皆様
■開催概要
大手町の屋上農園で開催!世界ミツバチの日をみんなで感じよう!
会場となったのは、大手町ビル屋上「SKY LAB」内にあるコミュニティIoT農園「The Edible park OTEMACHI by grow」。
大手町の中心に位置する都会のオアシスを舞台にミツバチやポリネーターに関する展示や体験ブースが設けられました。
ポリネータークイズ、はちみつ試食ブースの様子
今回のイベントでは、実際にこのビルの屋上で行われている養蜂活動の見学も実施、会場では養蜂帽子のネット越しにミツバチの巣箱やその中身を間近に観察することができました。
現在この屋上では、約10群のミツバチが管理されています。就業者が35万人の大丸有ですが、それを上回る約30~60万匹(時期によって増減)ものミツバチがこの周囲で活動しています。
左: 地域の保育園児たちが見学に訪れました 右: 見学会はたくさんのミツバチに囲まれながら行われました
この日は事前予約をすれば養蜂場に入って間近で巣箱を観察することができました。
申し込みをしていた地域の保育園児たち10数名が到着すると、担当者によるミツバチの生態解説が始まります。まずは巣の概要とミツバチたちの生活の流れについて、次のように説明しました。
「ひとつの巣箱には、一匹の女王蜂と、大多数の働き蜂が一緒に暮らしています。働き蜂はメスバチで、オスバチは働いていません。
働き蜂の寿命は30日ほどですが、文字通りいろんな仕事をしています。巣のお掃除、幼虫のお世話、蜂蜜を食べて『蜜蝋』を作り、巣を組み立てたり、完成した蜂蜜に蓋をしたりします。
さらに、巣の入り口でガードマンもします。そして人生の最後には、巣の外へ飛び立って遠くの花から蜜や花粉を運んで来るのです」
辺りを飛び交うミツバチたちを「鬼ごっこしているみたい」と楽しそうに眺める子どもたち。さらに、「ミツバチは、巣から半径2〜4km四方の範囲にある花から蜜を集めてきます。
一匹のミツバチが生きている間に集められる蜜の量は、みんながヨーグルトやプリンを食べる小さいスプーン1杯分くらいなんです」という話を聞くと、ポリネーターの役割の大変さを感じてか、子どもたちは驚いた様子を見せていました。

左上: 巣箱に触れる子どもたち 右上: 観察用巣箱に入れられたミツバチに興味津々の子どもたち
左下: 観察用巣箱に入れられたミツバチたち 右上: この養蜂場で採取された蜂蜜を試食できるコーナーも
NPO法人生態教育センターの佐藤真人氏
イベントではその他にも体験イベントが開催されていました。そのひとつが、スマートフォンで撮影した動植物の写真をAIが自動で判定し、名前や情報を教えてくれるアプリ「Biome(バイオーム)」を使って、SKY LAB周辺にいる生き物の観察会です。
講師を担当したのは、三菱地所、エコッツェリア協会と共に大丸有エリアのいきもの調査に取り組んでいるNPO法人生態教育センターの佐藤真人氏です。
佐藤氏は「都会の真ん中には生き物があまりいないイメージがあるかもしれませんが、私たちは17年ほどこの大丸有エリアの調査を続けており、適切な場所に行けば多くの生き物が暮らしていることが分かっています」と話し、観察会をスタートしました。
当日はやや風が強く、決して昆虫を見つけやすい環境ではありませんでしたが、佐藤氏は植え込みの中からミツバチを発見し、捕獲に成功します。
捕獲したのは「セイヨウミツバチ」で、この屋上で飼育されている群れの仲間です。
佐藤氏はこのミツバチを観察しながら、次のように解説を加えました。
「この蜂は女の子(働き蜂)です。蜂の仲間は基本的にメスが働き、オスは巣の中で過ごしています。
働き蜂の寿命は1ヶ月ほどで、今外に出て蜜を集めているのは、寿命の残り10日ほどになった『おばあちゃん蜂』です。
外の世界には鳥などの天敵がいてリスクが高いため、若い蜂は安全な巣の中で働き、リスクの高い外回りの仕事は年長者が担うという、とても合理的な仕組みをとっています」
「ハチの仲間は、基本的にはメスだけが針を持っています。オスには針がないため、人間に害を及ぼすことはありません。
オスの外見的な特徴として『目が大きいこと』が挙げられます。これは、女王蜂と空中で交尾を行う『結婚飛行』の際、飛行している女王蜂をいち早く見つけるために発達したものです」
また、植栽の中にある花を例に挙げながら、その生存戦略についても解説をしていきました。
「植物の花びらが鮮やかな理由は、昆虫に対して、ここに蜜があることを知らせる看板のような役割を果たしているからです。一方で、ススキのように目立つ花びらがない植物は、虫に花粉を運んでもらうのではなく、風の力で花粉を飛ばす『風媒花(ふうばいか)』という方法をとります。
このように、植物もそれぞれ異なる戦略を持って生きていることが面白い点だと思っています」
観察会の最後に、参加者から「都会の中で虫を見る楽しさとは何か」という質問が出されました。これに対し、佐藤氏は次のように答えました。
「最近のビルは、単に見栄えがよく管理しやすい植物を一様に植えるのではなく、多様な草丈の植物や多種多様な樹木を組み合わせ、様々な生き物が利用しやすいように生物多様性に配慮して設計されています。
通勤や移動の途中に、植物や昆虫の様子を観察し、なぜそこにいるのかを考えながらアプリで調べてみるだけで、普段の生活がさらに楽しくなります。
『このビルの植栽はよく考えられているな』と評価しながら街を歩くのも、都会ならではの面白い視点です」
バイオームを使って昆虫や植物を観察する参加者
丸の内ハニープロジェクトの事務局長を務める松井宏宇
平日の10時から14時という時間帯にも関わらず、参加者が途切れることのなかったこのイベント。主催者はどのように感じたのでしょうか。
丸の内ハニープロジェクトの事務局長を務めるエコッツェリア協会の松井宏宇は、このイベントの開催目的と所感を次のように話しました。
「国連が定めたこの日は、ミツバチをはじめとするポリネーターが果たす役割の重要性と、直面している課題について考え、感じてもらうための日です。それを目指して、食の恵みも体感しやすい屋上農園でのイベントを企画。
単独の企画ではなく、様々な地域の企業のみなさまに実際に説明する側として関わっていただきながら開催することができたことに意義を感じています。
また、別のプロジェクトで関係のある地域の保育園も招待させていただきました。都会で育つ子どもの場合、昆虫や土に触れる経験は貴重なものなので、それを体験していただきたかったんです。
実際、多くの子どもたちが真剣に、楽しそうにミツバチを観察している様子を見ることができ、とても嬉しく、企画した甲斐がありました」
今回のイベントをはじめ、丸の内ハニープロジェクトでは、日本におけるポリネーターの認知度を上げることを目指しています。
「私たちが普段口にしている世界の食料作物のうち、約3分の1はミツバチなどのポリネーターの働きのおかげで実りをつけています。
私たちの食生活は、彼らに支えられていると言えます。世界的にはその価値や、直面している課題に対して高い関心が集まっていますが、日本ではそうした状況だけでなくポリネーターの存在自体があまり知られていません。
そこで、まずは難しい課題に踏み込む前に、今日のようにミツバチを近くで感じて、実際に目で見てみて、ポリネーターの重要性に触れていただく機会を作ることが重要だと考えています」
最後に、丸の内ハニープロジェクトのこれからの展望について、松井氏は具体的なビジョンを語りました。
「世界ミツバチの日は特定の1日ですが、私たちの取り組みは日常的に続いています。この大丸有エリア全体を、ミツバチをはじめとする生き物たちに資するまちにしていきたいと考えています。
例えば現在、エリア内の植栽をどのような種類にすればより生き物が利用しやすくなるか、研究や調査をもとにした検討を進めています。
今後は検討の段階を終え、実際のまちの緑地への導入を進めながら、人間だけではなく、多くの生き物にとっても良いまちという価値を打ち出せるように進めていきたいと思っています」
「世界ミツバチの日(World Bee Day)」に開催されたこの日のイベントには、この他農園で栽培された野菜の収穫体験等や株式会社東京會舘及び株式会社日比谷花壇『ネクストフラワープロジェクト』よりお花のプレゼントも実施され、約500人が参加し盛況を博しました。
そしてこの日から、いきものコレクションアプリ 「Biome」 を使った市民参加型のポリネーター調査がスタート。対象エリア内で参加者がアプリにポリネーターの写真を投稿することで、大丸有エリアにおけるポリネーターやポリネーターが訪れる植物の情報を収集します。
収集したデータは、今後の大丸有エリアの植栽の検討に活用される見込みです。
日本有数のオフィス街で行われる養蜂活動と生物多様性への取り組みは、エリア企業や地域を巻き込みながら、都市と自然が共生する新しいまちづくりの形として広がりを見せているようです。
■主催者情報
<共催>
丸の内ハニープロジェクト実行委員会(事務局:エコッツェリア協会)
プランティオ株式会社
株式会社バイオーム
大丸有SDGs ACT5実行委員会
<協力>
アスコット丸の内東京
SMBC日興証券株式会社
ザ・ペニンシュラ東京
デロイト トーマツ グループ
アマン東京
株式会社大丸松坂屋百貨店 大丸東京店
株式会社東京會舘
東京共同会計事務所
パレスホテル東京
株式会社日比谷花壇
三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社 丸ノ内ホテル
三菱電機株式会社
L'ABEILLE株式会社
<後援>
千代田区
2026年12月12日(土)14:00~15:30
2026年11月25日(水)、12月2日(水)、12月9日(水)7:50~8:20
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2026年10月17日(土)①13:15〜14:40、②15:00~16:25