イベント環境プロジェクト・レポート

【レポート】オフィス街の子どもたちに、五感をフル活用した自然体験を!

「お花の植え替え体験」at大手町エコミュージアム 2022年9月30日(金)開催

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子どもたちの元気な声が、今日も大手町エコミュージアムに響き渡りました。大手町エコミュージアムは、大手町ファイナンシャルシティに隣接する自然の草花の風景を提供するとともに、環境技術の取り組みを紹介している施設です。
その緑道には、色とりどりの花が植えられた花壇のコーナーがあり、近隣の保育施設の子どもたちによって定期的に植え替えがされています。植えられる花は、どれも食用にすることができるエディブルフラワー。また、今回は植え替えだけでなく、屋内農園で水耕栽培されている野菜の収穫も実施しました。

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目で見て、触って、匂いを感じる

目で見て、触って、匂いを感じる

image_event_220930.002.jpeg今回植え替えする花はゼラニウム、なでしこ、ベゴニアの3種類

今回参加していただいたのは、3つの保育園の0歳から5歳までの子どもたちです。30分ずつ保育施設ごとに入れ替え制で行われました。 初めに到着したのは、0歳と1歳の子どもたちを連れた保育施設でした。今年二度目の植え替え体験に前回に比べると落ち着いた表情で、保育士の先生たちに手を引かれながらやってきました。そんな子どもたちに、エコミュージアムの植栽管理をしている小岩井農牧株式会社の佐野亘哉氏が、「好きな花を選んで、耕してある場所に植えてみてください」と植え替えのやり方を伝えます。

「好きなスコップを持ってみようか?何色がいいかな?」

そう声をかける先生たちと一緒に道具を手に取り、小さな手でぎゅっと握ったスコップでちょっとずつ土を掘ってみる子どもたち。花を選んで、掘った場所に置き、優しく土をかけます。
「上手にできたね!」と語りかけるとにっこり。初めは恥ずかしそうでしたが、草を抜いたり土に触れたりするうちに、満足げな表情を見せてくれました。先生たちによると「普段は土遊びや水遊びが好きなので、もっとやりたかったんじゃないかな?」とのこと。 植え替える前に植えられていたペンタスとマリーゴールドの花も先生と力をあわせて一生懸命抜いていました。

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続いて到着したのは、4歳から5歳の子どもたち。「おはようございます」という挨拶に続いて「よろしくお願いします!」「お花大好き!」と元気よく応えてくれました。
今回は植え替え前の花壇の花を抜く作業もしてもらったのですが、さすが年中さんと年長さん。どんどん抜いていき、あっという間に花壇がきれいになりました。

「わ!ミミズがいる!」「見せてー!」

花壇を掘り返すとミミズやダンゴムシが出てきて、子どもたちは大興奮。「ミミズがいるといい土なんだよ」と子ども同士教え合う姿も見られました。

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オフィスビルの中に入っている施設が多い、大手町・丸の内・有楽町エリア(以下「大丸有エリア」)近隣の保育施設。気兼ねなく土に触れられる機会は、実は貴重だと保育士の先生たちは言います。
子どもたちは、花や土に触れながら「いい匂いがする」「なんか変な匂いするよ」と口々に感想を言い合い、それぞれ自然との触れ合いを楽しむ様子が見られました。花を植えた後は、水やりをして作業完了。
たくさん用意されたエディブルフラワーが綺麗に植えられ、衣替えしたように花壇がぱっと華やぎました。きっと、オフィス街で働く人々や大丸有エリアを訪れる人々の癒しの空間になってくれることでしょう。

生き物や植物との触れ合いが、命の大切さを教えてくれる

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「UFOの中、宇宙船みたい!」

子どもたちが続いて向かったのは、屋内水耕栽培施設"アーバンエコファーム"。カプセルのような近未来的な建物の中、通路の両橋に水耕栽培の棚が並べられています。
栽培されていたのはレタスとラディッシュ。季節によってさまざまな野菜や果物を栽培しており、ビルの食堂や近隣のレストランで提供されています。

「今日は、みんなにレタスとラディッシュを収穫してもらいます。お家に持って帰って食べてみてね。ここの野菜はお水で育てているから、とても葉っぱがやわらかいの。ラディッシュの葉っぱもお味噌汁に入れたりして食べられるので、お父さんお母さんにぜひお話ししてみてください」

水耕栽培された野菜の収穫方法を教えるのは、アーバンエコファームを管理するエスペックミック株式会社の仲間亜友未さんです。 茎の根っこの方を持ち、引っ張ると簡単に取れる仕組みになっているため、子どもたちは難なく野菜を収穫していきます。長い根っこを興味深く観察する子や、収穫される前の野菜が放つ匂いに関心を示す子もいました。
どんどん収穫は進み、あっという間に栽培室の野菜はすべて収穫完了。袋いっぱいになった野菜を持って、みんな満足そうな表情。「もう一回やりたい!」と、まだまだ収穫し足りない子もいたようでした。

image_event_220930.006.jpeg千代田せいが保育園園長 倉掛秀人(くらかけひでと)先生

「園には園庭がないので、普段の屋外活動は近くの公園や神社へお出かけしています。特に、普段から自然との触れ合いは大切にしていますね。公園でトンボやダンゴムシを捕まえたり、タンポポなどの草花を見つけたり......。最近のおもしろい取り組みとしては、去年飼っていたスズムシの卵を育てて、孵化させるまでをやってみました。9月の中旬ごろまで鳴き声を聞かせてくれました」(倉掛先生)

そう話すのは、千代田せいが保育園園長の倉掛先生。今年の3月に大手町エコミュージアムで開催した、ホタルの放流プログラムにもご一緒していただきました。今回のお花の植え替えでは、土に触ったり水やりをしたり、また違った面白い経験ができたのではと倉掛先生は話します。保育施設でも、屋上スペースで野菜を種や苗から育て、成長していくプロセスを観察しているそうです。

「自分で野菜を収穫するのはとても良い経験だと思います。どんな味がするだろうかと興味を持つきっかけになりますし、持ち帰って親御さんとの会話も生まれるでしょう。野菜を育てて、収穫して、食べるまでの過程の周辺には、子どもたちにとって成長の糧となるたくさんの発見があります」(倉掛先生)

千代田せいが保育園では、今回収穫した野菜だけでなく、ごみとして処分する予定だった根っこも持ち帰られました。園で、野菜のヘタや根っこを水に浸けて再生させる"リボーンベジタブル"に挑戦するそうです。

「野菜クズだと思っていたものにも、まだ命がある。子どもたちには、野菜という括りだけではなく、生き物の持っている生命力を感じてほしいなと思っているんです。こうした経験が、ゆくゆくは持続可能な自然・社会への関心に繋がっていくと私たちは考えています。大人たちがどんな文化をつくっていきたいかで、子どもたちに伝わるメッセージも変わってくる。そういった意味でも、今回は一緒に勉強させてもらう良い機会になりました」(倉掛先生)

image_event_220930.007.jpegキッズスクウェア丸の内永楽ビル施設長 大庭舞夕(おおばまゆ)先生

「園での食育の一環として、9月には子どもたちにサツマイモを見て触れてもらったんですが、野菜を収穫する体験はしたことがありませんでした。スーパーに並んでいる野菜を見る機会はあっても、栽培されている状態を見ることは大人でもなかなかないですよね。なので、収穫するのはとても新鮮で楽しかったのではないかと思います」(大庭先生)

野菜が苦手な子も、調理前のものを手に取ってみたり、育ててみたり、収穫してみたりといった経験から興味が育まれていく、とキッズスクウェア丸の内永楽ビルの大庭先生は言います。また、継続した経験が大切だとも加えます。例えば、ミミズやダンゴムシなど、最初は遠目からしか見ていなかった子も、継続的に屋外で目にすることが増えると、触れてみようと挑戦できるようになるとか。

「自然に触れることは、匂いや触感などの五感を使います。私たちの園には園庭がないので、自然体験ができる大手町エコミュージアムのような場を利用して、心身の豊かな成長や、命の大切さを知るきっかけになればと思います。またぜひ参加させていただきたいです」(大庭先生)

子どもたちの成長を、地域で見守る場所にするために

image_event_220930.008.jpeg写真左から、小岩井農牧株式会社 佐野さん、古賀さん、大崎さん

今回は花を植えるだけでなく、植わっていた草花を抜くところにも挑戦してもらいました。いつもは植え替え後に整地し、植栽担当のスタッフの方々によって綺麗な状態にするそうですが、今回はあえてそのままにする、と大手町エコミュージアムの植栽を担当する大崎さんは話します。

「いつもは用意した花が半分くらい残るのですが、今日はたくさんの子どもたちに参加してもらえたおかげで、全部きれいに植えることができました。自分たちが植えたことを覚えておいてもらえるように、あえてこのままの状態で大切に育てていこうと思います。近くに寄ってくれた時に思い出して、草花に親しみを覚えてくれたらうれしいですね」(大崎さん)

植え替えをサポートしたスタッフの古賀さんは、子どもたちの感性に感心したといいます。

「3種類のお花を用意したんですが、完成した花壇を見ると、色のバランスが良い感じに完成しましたね。虫が平気な子もいれば、途中で作業ができなくなってしまう子もいましたが、みんな元気いっぱいに作業をしていて私もとても楽しかったです。これから花が根付いて大きくなるので、ぜひまた見に来てほしいですね」(古賀さん)

参加保育施設の中には、お花の植え替え体験がはじまった頃から参加している子どもたちもいます。回を重ねるごとに成長した姿や上手になっていく様子が見られて、それがやりがいにもつながっている、と話すのは佐野さんです。

「植物の成長とともに、子どもたちの成長も見られるのは、私たちにとっても良い経験となっています。花の植え替えや野菜の収穫を通して、自然に親しみを持ってもらえたらうれしいですね。参加していただける保育施設の輪が、さらに広がるといいなと思っています」(佐野さん)

春・夏・秋と、定期的に開催されるようになったお花の植え替え体験は、「子ども」に焦点を当て、まちの快適性の向上を高める「大丸有エリアまち育プロジェクト」のプログラムの一環です。参加していただいく保育施設も広がりを見せており、地域の子どもたちが自然を体験できる身近な場所として、今後もさまざまなプログラムを予定しています。

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