
シリーズコラム 「Viva Málaga!」
エコッツェリア協会にアスリートインターンとして活動し、その後スペインのマラガを拠点にフットサル選手として活動しながら、フリーランスとして様々な国で事業開発に携わる吉林千景氏がアンダルシア・マラガを紹介していきます。
最終回となる第5回は、スペイン南部に広がるアンダルシアと日本の関係に焦点を当て、アンダルシアで活躍する日本人や、日本とゆかりの深い村についてお伝えします。ぜひ最後までお楽しみください。
スペイン人も虜にする「Ta-Kumi」の本格和食
マラガ、マルベージャ、マドリードに店舗を構え、ミシュランを獲得している日本料理店があります。このエリアで「日本食と言えば Ta-Kumi」と絶賛する人も多く、スペイン人からも高い評価を受けています。
日本人が経営する日本料理屋がまだ少ないエリアであることもあり、人気を集めています。お寿司だけでなく、日本の故郷の味を思い出すことのできる多彩な創作料理もあり、個人的にもとても好きなお店。特に、お刺身と特製ソースの組み合わせが絶妙なこちらの料理がとても気に入っています。
スペインでは珍しい鯛の刺身を使った一品
経営者やシェフが日本人ではない日本料理店も多い中で、日本人がオーナーを務め、人気を博していることに、日本人してとても誇らしく思います。
マラガで人気の陶芸教室!日本人が伝える焼き物の魅力
実は、マラガには、日本人女性のOrikasaさんが運営する陶芸教室「ORIMARI Ceramica」があります。前回の記事で紹介した文化週間でも、陶芸のレッスンが開催されており、マラガ周辺で多くの方々に陶芸の魅力を広めています。
お店では平日午前・午後に陶芸教室が開かれ、多くのスペイン人で賑わっています。
アンダルシアらしい白い壁の陶芸教室
マラガの海から少し離れた山に近いエリアに位置するお店で開かれる陶芸教室はいつも賑わい、地域の人々にも愛されている様子が伝わります。また、マラガ近辺のレストランでも作品が使用され、このエリアで広く活躍されていることが伺えます。
このように、アンダルシア州で活躍する日本人は多くいらっしゃるので、ぜひ近くを訪れた際には足を運んでみてはいかがでしょうか。遠い異国の地で日本の文化に触れることで、新たな発見があるはずです。
そして他にも、このアンダルシア州で活躍している日系企業の姿もあります。
DX推進で地域貢献!富士通スペインの挑戦
近年、アンダルシア州で活躍の場を広げている企業の一つに、FUJITSU TECHNOLOGY SOLUTIONS S.A.(以下、富士通スペイン)があります。富士通スペインは、アンダルシア州政府と協定を締結し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するデジタル戦略を策定。公共サービスの品質向上のため、各種手続きのデジタル化など、地域に大きく貢献しています。これまでにアンダルシア州の150 社以上と商談実績があり、医療分野では、医療機器やIoT 向けのセキュリティサービス・ソリューションの開発を行ってきました。
IT系企業が世界中から多く集まるマラガにおいて、富士通スペインは、世界的に増大する公共分野のサイバー攻撃リスクに対応するため、アンダルシア州の医療機関や社会福祉施設向けに、医療分野に特化したIoTであるIoMT(Internet of Medical Things)のサイバーセキュリティ対策を強化する行動指針を策定しました。
また、マラガにあるサイバーセキュリティセンターを拠点に、地域の医療機関のシステム脆弱性や潜在的なサイバーリスクを特定・評価し、マラガ大学(Universidad de Málaga)と連携してセキュリティ分野の専門人材育成にも取り組んでいます。セキュリティ分野におけるトレーニングや認定プログラムを設けるなど、アンダルシア州の発展に幅広く寄与しています。
近年、アンダルシアから日本への商品の輸出が非常に増加していることは、このコラムシリーズにてお伝えしてきましたが、実は、アンダルシア州と日本の関係は古くから続いています。
アンダルシア州のセビージャからバスで20分ほどの場所に、「コリア・デル・リオ」という日本と深い縁のある村があります。約400年前、伊達政宗の家臣、支倉常長率いる慶長遣欧使節団が訪れたことがきっかけで、現在も日本との交流が続いています。
コリアデルリオに建設された支倉常長像
その象徴として、「Japón(スペイン語で『日本』の意味)」という名字を持つ人が約600人いるそうです。スペイン人に「日本」という名字を持つ方がこんなにたくさんいるとは、初めて知ったときは大きな驚きでした。
使節団の一員が現地に留まったことがきっかけとされ、2013年には、皇太子殿下(現・今上陛下)がこの村を訪問され、日本とのつながりは今も続いています。近年では、日本企業が村の修復に投資するなど、その関係はさらに深まっています。 私自身はまだ訪れたことはありませんが、訪れた友人によると、村人は日本人にとてもフレンドリーだそうです。機会があれば、ぜひ足を運んでみたいと思っています。
これまで5回にわたり、スペイン南部のマラガやアンダルシア州の魅力をお伝えしてきました。スペインと聞くとマドリードやバルセロナを思い浮かべる方が多いですが、コラムをきっかけに、スペイン文化色濃く残るマラガ・アンダルシアにも興味を持っていただけたら嬉しいです。アルメリアのビーチ、コルドバのお祭り、カディスのカーニバル...、まだまだ紹介しきれなかった魅力がたくさんあります。ぜひいつか実際に訪れて、ご自身で体感していただくことを、この地域に魅了された一人として期待しています。
このシリーズコラムを最後までご覧くださり、ありがとうございました!
Viva Málaga!
東京都出身。スペイン・マラガ在住。2016年慶應義塾大学総合政策学部卒。2011年よりフットサル女子日本代表選手として活躍し、2023-2024シーズンは、スペイン女子フットサル1部リーグ「NuecesdeRondaAtléticoTorcal」でプロ選手として活躍するなど、世界を舞台に戦う。帰国時にエコッツェリア協会でのアスリートインターンやWebライターとしての活動経験がある。引き続き世界の舞台で戦うために第一線で競技に励みながら、デュアルキャリアの実践として日本とヨーロッパの架け橋となる事業開発に取り組むなど、競技以外の活動にも力を入れている。
八木橋 パチ 昌也氏(日本アイ・ビー・エム株式会社コラボレーション・エナジャイザー)×田口真司(3×3Lab Futureプロデューサー)
#4 アンダルシアと日本、文化と歴史が織りなす魅力的なつながり
■オリエンテーション
2025年8月6日(水)18:30-20:00
■メインプログラム
2025年8月13日(水)~8月15日(金)各日10:00-17:30
(15日のみ~18:00)
【丸の内プラチナ大学】物語思考デザインコース Day8 2025年3月11日(火)開催