シリーズ大丸有フォトアーカイブ

【レポート】大丸有の新しい表情を映し出す「みんなの写真展」応募数701点から選ばれた50作品の魅力を探る

【大丸有フォトアーカイブ】第3回みんなの写真展オープニングイベント 2026年2月7日(土)開催

それぞれのエリアが特徴的な雰囲気を持ち、持続可能な開発が続くことで日々変化し続ける大手町、丸の内、有楽町というまちの表情を写真に捉えて発信する「大丸有フォトアーカイブ」。このコミュニティと公益財団法人日本デザイン振興会との共催で、「まちの魅力」をテーマに大丸有エリア周辺で撮影された写真を展示する「大丸有フォトアーカイブ みんなの写真展 -まちの魅力-」を2026年2月4日から14日まで開催しました。

3回目の開催となった2026年は、前回の500点を上回る701点もの写真が集まりました。そして、その中から選りすぐられた50点が、新国際ビル1階GOOD DESIGN Marunouchiに展示され、まちゆく多くの人々の目を楽しませました。

2月7日には、大丸有フォトアーカイブの講師を務め、この写真展の審査員を務めたフォトグラファーの藤田修平氏をお招きしオープニングトークイベントを開催。各応募作品に対する解説をはじめ、写真展の変化や大丸有エリアで写真を撮ることの意義など、様々な話題を提供しました。当日の模様をレポートします。

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大丸有エリアには「今撮らないとなくなってしまう」ものがたくさんある

大丸有エリアには「今撮らないとなくなってしまう」ものがたくさんある

image_event_photoarcive_2.jpeg 写真展が開催されたGOOD DESIGN Marunouchi


この日はオープニングトークイベントに先立って、GOOD DESIGN Marunouchiで開催されている写真展の見学からスタートしました。藤田修平氏と大丸有フォトアーカイブの企画運営を務める鵜久森洋生氏により、展示作品の解説が行われました。冒頭に藤田氏は、写真の選定を行った感想を次のように述べました。

「『まちの魅力』をテーマにしたこの写真展は今年で3回目を迎えました。ここに展示されているのは応募作品の中でもレベルの高い写真ですが、撮影場所や被写体がなるべく均等になるようにしていますので、展示されていないからレベルが低いというわけではありません。むしろ、皆さんの目を通したまちの魅力が年々濃くなってきていることを感じながら選定しましたので、きっと面白く見ていただけると思います」(藤田氏)

image_event_photoarcive_3.jpeg image_event_photoarcive_4.jpeg 左)写真展の審査員を務めたフォトグラファーの藤田修平氏
右)大丸有フォトアーカイブの企画運営を務める鵜久森洋生氏


そして藤田氏と鵜久森氏は、この日集まった参加者とともに、展示された50作品を講評していきました。一つひとつの作品が映し出す情景や撮影技法について解説するとともに、大丸有エリアの歴史や特徴を表現していたり、撮影者の意志が感じられたり、それぞれのまちに息づくストーリー性が表現された作品を選定していったと、藤田氏と鵜久森氏は説明しました。例えば、2025年に閉館された国際ビルの階段を写した写真をピックアップした鵜久森氏は「今、1960年〜70年代に造られた建物が寿命を迎えています。大丸有エリアはそうやって新陳代謝を繰り返すまちなので、今撮らないとなくなってしまうものがたくさんあります」と話し、また藤田氏も「国際ビルを始め、人々の思いが詰まったものがたくさんあることは、大丸有エリアの魅力だと言えるでしょう」と語りました。

展示会場の目玉のひとつが、展示作品50点の撮影場所と、まち歩きのオススメポイントをマッピングした「みんなの写真展撮影スポットマップ」です。エリア内のどこに行けばどのような景色が見られるのかを可視化することで、まちの表情を共有し、訪れた人に大丸有に改めて興味を持ってもらうことを狙って作られたものです。実際、参加者だけでなく、この日ふらりと写真展を訪れた一般の観客も興味深そうにスポットマップを眺めていました。

このマップは単にコンテンツとしての楽しさを提供するだけではありません。もともと大丸有フォトアーカイブの活動は、写真を通じて見えるエリアの魅力や変化をまちづくりに活かすことを目指したものでもあります。そのため、大丸有エリアの魅力を可視化したこうした情報こそが、将来的にエリアのまちづくりにおける重要な資産となっていくのでしょう。

image_event_photoarcive_5.jpeg image_event_photoarcive_6.jpeg 左)作品の講評は丁寧かつ軽妙に進められていき、時折参加者からの質問も挟んでいきました
右)展示された50作品がどこで撮影されたかを示した「みんなの写真展撮影スポットマップ」

人抜きにまちを語ることはできない

image_event_photoarcive_7.jpeg この日は寒波が襲来し東京でも雪が降る天気でしたが、トークイベントには20名ほどの参加者が駆けつけました


写真展の見学を終えると、一行はイベントの会場となるDMO東京丸の内へ移動し、トークイベントがスタートしました。

記事冒頭でも紹介したように、今回のみんなの写真展では、過去最多となる701点もの応募がありました。この盛り上がりに対して藤田氏は「全体的に非常にレベルが高くなっている」と前置きした上で、目の前の景色をただ撮影しただけでなく、撮影者一人ひとりの視点で再構築したような作品が増えていると評しました。

「こうした写真展を開催すると、『撮らないといけないから撮った写真』や『撮らされているように感じる写真』が多くあるのですが、今回は撮影者の中から湧き出てくるような面白い視点や、普段は意識しないような面白さを表現した写真がたくさんあったと感じました。まちの景色や空気感を一度自分の中に取り込み、独自の視点で整理して写真として表現したものが色濃く出てきたと言いましょうか。選定の際には、そういった写真を掬い上げるようにしています」(藤田氏)

一方で、時代の変化に応じて撮影や応募が困難になっている写真があることにも触れます。

「今回の写真展では人を中心にピックアップしようという考えもあったのですが、昨今は肖像権の問題があるため、人の写真はなかなか撮ることができません。そのため、クリアに人の表情が写っていて、被写体の許諾も取れている写真は、今後ますます貴重になっていくでしょう。なぜならば、まちと人は切っても切れない縁があり、人抜きにまちを語ることはできないからです。」(同)

大丸有エリアの魅力を表現した秀作たち

全体的な総括をした後には、個別の写真にも触れていきます。

影と光の間に (椚田豊)

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これは、2025年10月〜11月に大手町仲通りで開催された和傘を用いたイルミネーションイベント「和ルミネーション」で撮影された1枚です。同イベントで撮影された写真は他にも多く応募されていましたが、イベント会場の風景をそのまま撮影したものが中心だったそうです。その分、「人を中心に据えながら大胆なフレーミングをしたこの作品がひと際目を惹いた」と藤田氏は言います。

さぁ今日も張り切っていきましょー (加藤文康)

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「人を中心に据えた」という意味では、有楽町の高架下の飲食店で、男性が開店準備をする様子を切り取った写真も高評価を得ました。鵜久森氏は「大丸有というとオフィス街を思い浮かべるでしょうが、特に有楽町では昭和の雰囲気が残されたエリアも多くあり、そのノスタルジックさを上手に表現していました」と評しました。

シアワセになろう! (三好久美子)

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作品のストーリー性が絶賛されたのは、丸の内仲通りで行われていた前撮りの様子を切り取った作品です。イルミネーションがきらめく中で幸せそうな新郎新婦と、まるでその夫婦の数十年後のような姿をした円熟味のある夫婦が上手く収まった1枚は非常にドラマチックで、絵画のようだと評されました。「写真の中の人たちは若干ぶれているのですが、だからこそ時間や空気感が写っていると思えます」と藤田氏は語り、また鵜久森氏も「こうした偶発的な出会いがあることが大丸有エリアの面白さだと再確認させてくれました」と話しました。

リフレクション (熊本淑子)

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藤田氏が「ベタ惚れした」と口にしたのがこの1枚です。静止画でありながらも水面に漂う白鳥がどのように動いてきたか、水の波紋でその軌跡を表現すると同時に、反射して揺らいでいる都会の風景が大丸有であることを物語っています。「とても世界観が美しくてノックアウトされました(笑)。もしあるのならば、前後のカットを見てみたいです」と藤田氏は賛辞を送りました。

『旅、ここから』 (外川裕一)

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大丸有エリアのシンボルのひとつである東京駅を写した応募作は多くありましたが、その中でもターミナル駅としての特色を上手く表現し、日常と非日常が混ざりあった瞬間を捉えたと評されたのがこの作品です。はとバスやタクシーを背景に、赤いコーディネートで統一した女性が旅に出る様子を表したもので、「非常に完成度の高い1枚」と評されました。また藤田氏は「東京駅は人の流動性が高い分、こういった偶然に恵まれることもあり、被写体には困らない場所だと言えます。改めて大丸有エリアの面白さ、貴重さを感じる写真です」とも説明しました。

うちへ帰ろう (堀江仁美)

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最後に取り上げられたのが、夕焼けをバックに高架下を歩くオフィスワーカーたちを捉えた1枚です。仕事を終えたからか、どこかホッとしたような表情を浮かべる人々、夕焼けに照らされて長く伸びる影、古くから残る高架下が醸し出すノスタルジックな雰囲気など、まちの魅力を凝縮したこの作品に対して、藤田氏は「どストライクの良い写真」と話し、鵜久森氏は「改めてこのエリアは人が息づいているまちだと感じられました」と口にしました。

作品の講評を終えると、藤田氏は改めて次のように写真展を振り返りました。

「過去、現在、未来。その3つが混ざり合っている様子がよく見えるのがこのまちだと思います。今回の応募作の中でも、昭和のノスタルジーを表現した写真もあれば、東京駅などの建造物を未来的に切り取った写真もありました。そういった部分を立体的に考えながら撮っていくと面白いでしょう」(藤田氏)

さらに、写真との向き合い方について、こんなアドバイスを参加者に送りました。

「写真は自分と向かい合う遊び、ということも知っていただきたいですね。僕の場合、その日何を撮るか事前にテーマを決めていますが、まったく異なる分野でも、魅力的な被写体に出会ったらそちらに夢中になってしまうこともあります。何が何でも予め決めたものを撮らないといけないわけではないですし、一方で自分のテーマに頑なに従いながら撮っていくのも面白いはずです。そうやって遊びながら、楽しみながら、面白いものを作り込んで、世の中に発表していくと、写真がもっと楽しくなっていくでしょう」(同)

藤田氏と鵜久森氏が度々口にしたように、今回の写真展に応募された作品は非常にレベルの高いものばかりでした。一人ひとりの視点で切り取られた写真には、大丸有エリアのこれまで知らなかった数々の表情が写し出されていました。次回の写真展、そして大丸有フォトアーカイブのこれからの活動を通して、このまちの新しい魅力がさらに発見されていくことが、今から楽しみでなりません。

image_event_photoarcive_14.jpeg トークイベントを終えた後、藤田氏、鵜久森氏と参加者で集合写真を撮影しました

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