イベント丸の内プラチナ大学・レポート

【レポート】10年目の挑戦、「丸の内プラチナ大学」第10期開講式

【丸の内プラチナ大学】DAY1オリエンテーション 2025年9月4日(木)開催

7,8,11

今年で第10期を迎える丸の内プラチナ大学。全世代が一緒になって社会課題やキャリアについて学び合い、社会に還元することを目指す市民大学です。今期は全9コースの開催で、テーマも地域創生から自己成長までの多彩なラインアップです。開講初日となった9月4日、全コース共通のオリエンテーションとして、各コースの講師陣によるトークセッションなどが行われました。

image_event_20250904_2.jpegオリエンテーションの冒頭で挨拶する丸の内プラチナ大学副学長の田口

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アート、起業、ソーシャルビジネスの講師が語る働き方の変化と展望とは

アート、起業、ソーシャルビジネスの講師が語る働き方の変化と展望とは

会場となった3×3Lab Futureには、午後6時ごろから続々と受講生らが集まりはじめ、開講時には会場の席がほぼ埋まってしまいました。集まった受講生を前にして、丸の内プラチナ大学副学長を務める田口真司が挨拶および各コースの講師紹介をした後、講師陣によるトークセッションに移りました。

image_event_20250904_3.jpeg最初のセッションでは働き方などに焦点を当てたトークが展開された

最初のセッションは「ワーク/ライフスタイル」をテーマとして、アートフルライフコースの臼井清氏、ライフシフト起業コースの塚本恭之氏、Social SHIFTテーブルコースから服部直子氏が登壇し、ファシリテーターは田口が務めました。まず昨今の働き方の変化が話題となり、塚本氏は「政府の後押しもあって、起業や副業がしやすくなっているものの、心理的ハードルは依然として高い」と言い、臼井氏も「いろいろな道が選びやすくなっている一方で、選択肢や情報量が多すぎて選びにくくもある」と働き方の現状について語りました。

image_event_20250904_4.jpegライフシフト起業コースの塚本氏

また、東日本大震災の復興に携わってきた服部氏は、働き方について「東日本大震災を乗り越えられるのは『競争』ではなく『共創』。共創できる働き方に期待している」と語りました。

続いて起業や組織について話が展開されました。塚本氏は「起業は自分らしさの投影で、アートに近いものがある。自分の中で何かが呼び起こされる人は起業していく」と述べ、服部氏も「自分のオリジナルは何か、潜在的な本心を知っているかというところから、起業や農業、地域振興などさまざまなものが始まる」と、個人のマインドの重要性を語りました。

image_event_20250904_5.jpegSocial SHIFTテーブルコースの服部氏

臼井氏はアートとビジネスの関係について、「私たちにはロジックの部分と感覚の部分の両方がある。その感覚部分を組織というロジックに当てはめた時、矛盾が生じることもあるが、そのことに自覚的でいれば、個人と組織のいい変化につながっていくのではないか」と、ビジネスにおける感覚の重要性を語っていました。

image_event_20250904_6.jpegアートフルライフコースの臼井氏

3人は今期のコースについて、「アートの魅力を体感しながら、感覚を磨くことが目標。自身の視点で多くのことを感じてほしい」(臼井氏)、「キャリアとしての起業や、自分らしい起業について考える場になれば」(塚本氏)、「世界観を変えたい人、やりたいことを決めている人が将来のビジョンを描けるように取り組みたい」(服部氏)と紹介していました。

ビジネスと社会の接点では確固たるWill(やりたいこと)こそ大切

次のセッションは「ビジネス創発」と題して、Social SHIFTテーブルコースの町野弘明氏、物語思考デザインコースの梅本龍夫氏、再生可能エネルギー入門コースの三上己紀が登壇し、社会とビジネス(組織)の関係性が話題となりました。

image_event_20250904_7.jpeg二番目のセッションでは社会と組織の関わり方について議論が深まった

まずは町野氏が社会とビジネスの関わりにおいて「利他のマインドセットを自分の中で育み、自信を持って貢献していくことが重要」と語り、梅本氏も「自分だけに閉じたものは物語ではない。自分が考えたものが社会との接点で壊れた時に物語は動き出す。嫌だ、気分悪いと思いつつも、流れに乗った方が良いと感じられた時に、社会性のあるマインドセットが醸成できる」と述べ、物語は利他の文脈になってこそ始まることを強調していました。

image_event_20250904_8.jpeg物語思考デザインコースの梅本氏

「再生可能エネルギー業界は社会的な意義が大きいが、理想と現実のギャップも大きいのでは」と田口からの問いかけに対して、三上は「化石燃料から原子力、そして自然エネルギーへの変化は人類の進歩で必然の流れ。その進歩に伴い社会が変化していくのが理想だが、経済合理性の観点から課題もある。しかし再生可能エネルギーは個人でも創れるので、事業性がなくても別の可能性もある」と答えました。

image_event_20250904_9.jpeg再生可能エネルギー入門コースの三上

社会との関わりを語る中で、各講師が特に強調していたのは、Will(やりたいこと)の大切さです。町野氏は「良いソーシャルビジネスはエッジが立っており、そのエッジは個人のWillによってつくられる」と言い、梅本氏も「企業では、社長のWillは現場にMust(するべきこと)として落ちてくる。そうではなくて組織としてのWillにできるかがパーパス経営の肝。それができない会社は生き残れない」と組織でのWillの大切さを語りました。三上は再生可能エネルギーにおけるWillについて、「身近な問題でありながら、社会全体で再生可能エネルギーのWillを議論できていない。そのことに気づいてもらいたい」と述べていました。

image_event_20250904_10.jpegSocial SHIFTテーブルコースの町野氏

最後に意気込みを聞かれた各講師は、「魅力的なアントレプレナーから刺激を受けていただき、皆さんのWillをビジョンとして描き出したい」(町野氏)、「すべての物語はポジティブスパイラルであり、ハッピーエンドにできている。あとは私たちがそれをどのように使っていくかだ」(梅本氏)、「エネルギーの話をポジティブにワクワクしながら学び、多くの友人をつくる場になれば」(三上)と語りました。

首都圏から地域に関わり、良い学びと化学反応を生みだす地域連携の3コース

最後のセッションに登場したのは、逆参勤交代コースの講師である松田智生氏、アグリ・フードビジネスコースの中村正明氏、繋がる観光コースの吉田淳一氏。「地域連携」をテーマにしたトークが展開されました。

image_event_20250904_11.jpeg最後のセッションでは地域連携がテーマとして取り上げられた

まず過去10年間の逆参勤交代コースを振り返り、松田氏は「受講生の中には地域で副業や地域活性化起業人として活躍する人が増え、関係人口も確実に増えている。しかしこの数をもう一桁増やさなければいけない。そのためには制度も必要で、今後はマスボリュームを動かしていくことが必要」と語りました。

また、最近は大学生や20代の若い世代が逆参勤交代コースを受講していることも特徴だとし、「若者からの質問で地域の人や私たちも気づかされることがある。多世代型になり地域にも受講生にも良い相乗効果が起こっている」と新たな昨今の変化についても触れました。

image_event_20250904_12.jpeg逆参勤交代コースの松田氏

中村氏もアグリ・フードビジネスコースについて「フィールドワークを通じた往来で人のつながりが生まれ、農業だけではなく、まちづくりや働く拠点といった、いろいろな事例が生まれている」と実績が積み上がっていることを語りました。

さらに今期は、昨年の受講生の声から生まれた「プラチナファーム」を実装し、群馬県太田市で一反の農地で種まきから収穫までを体験できるようなフィールドワークを計画していることも明かしました。

image_event_20250904_13.jpegアグリ・フードビジネスコースの中村氏

観光で地域をつなげる吉田氏は、地域と繋がるうえで「感情人口」というキーワードを挙げ、「気持ちがつながる一期一会の出会いがあれば人生や地域が変わるかもしれない」と語りました。

また、「ひとつの県でも地域ごとに特色がある。日本全国には私たちがその魅力を掘り起こし切れていない、知らない世界がまだまだある。色んな地域や人とつながって欲しい」と受講生に呼びかけました。

image_event_20250904_14.jpeg繋がる観光コースの吉田氏

最後に今期のコースについて、「地域と良い縁ができれば、良い運が広がる。それには恩返しをしていきたい。自分のライフワークを発見するためにも是非一歩踏み出して欲しい」(松田氏)、「今期も魅力的な生産者や地域をご紹介する。興味があれば参加してほしい」(中村氏)、「各地域から来ていただく人との繋がりや一期一会を通じて、皆さんの人生の気づきに繋がれば」と受講生らに呼び掛けていました。

image_event_20250904_15.jpeg講師・事務局スタッフ

トークセッションの後はコースごとのオリエンテーションです。

逆参勤交代コースでは、松田氏が「年間約90万も人口が減る中で、今までのような都市と地方の人材争奪ではなく、人材の共有をしなければならない。江戸に制度で人の流れを創った参勤交代のように、"逆"参勤交代によって都市から地方への人の流れを生み出すことができる」とコースの狙いを語り、地方副業に興味がある人やライフワークを探している人には参加してほしいと呼びかけていました。

image_event_20250904_16.jpeg左:逆参勤交代コースでは初受講の方も多数みられた 右:今年度の逆参勤交代コースの概要について語る講師の松田氏

今年度の逆参勤交代は長崎県壱岐市、石川県七尾市、北海道上士幌町を訪問予定で、各フィールドワークの前には各地域の学びを深める東京での講座も実施されます。

image_event_20250904_17.jpeg会場では各コースに分かれてオリエンテーションが行われた

開講式の後には懇親会が催され、受講生と講師が各コースや近況について打ち解けた語らいを重ねていました。今期の丸の内プラチナ大学にも、新たな出会いと化学変化が芽吹くことを期待したいです。

image_event_20250904_18.jpeg懇親会の様子

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丸の内プラチナ大学では、ビジネスパーソンを対象としたキャリア講座を提供しています。講座を通じて創造性を高め、人とつながることで、組織での再活躍のほか、起業や地域・社会貢献など、受講生の様々な可能性を広げます。

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