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【レポート】自分らしい自由な働き方や暮らしを求めて、実践者に学ぶ起業のリアル

【丸の内プラチナ大学】ライフシフト起業コースDay5 2024年12月23日(月)開催

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自分らしい起業準備やビジネスを考える丸の内プラチナ大学ライフシフト起業コースのDay5が12月23日、大手町3×3Lab Futureで開催されました。今回は同コースの卒業生であり、実際に起業をしたライトハウスキーパー株式会社代表取締役の吉田伸記氏をお招きし、起業にまつわるさまざまな体験や知見を共有してもらいました。 同コース講師の塚本恭之氏の紹介で吉田氏が登壇し、「今日は私が始めたコワーキングスペース事業についてお話ししたい。自分の夢に向かって色々整理したうえで、自分には何ができるのか、何をしたいのかを考えたうえで始めた事業。5か月前にオープンしたばかりで、まだ正解かはわからないが、気楽に聞いてほしい」と講座を始めました。

image_event_241223.002.jpegライフシフト起業コース講師の塚本恭之氏

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大手企業の会社員から自由な働き方を求めて起業

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吉田氏は大学卒業後、金融系のシンクタンクでプログラマーとしてキャリアをスタートし、その後、大手コンサルティング会社で官公庁向けのテクノロジーコンサルタントを務め、楽天グループに転職しました。楽天グループでは楽天ブックスや電子書籍の開発に携わり、その後、日本野球機構にも出向し、プロ野球のデータ活用基盤構築などにも関わってきたそうです。吉田氏は2023年に約16年間勤めた楽天グループを退職し、同年10月にライトハウスキーパー株式会社を設立しました。

吉田氏は起業への想いについて、「前職の仕事はおかげさまで充実していた。しかし、忙しい日々の中で、自分の時間が失われていくという想いがあり、まだバリバリ働けるうちに、もっと自分らしい自由な働き方を選ぶことを決意した。この講座を受けている方の中には起業を迷っている人もいると思うが、起業しないと何も始まらないし、何も変わらない。新しいことにチャレンジしてみてほしい」と語りました。

現在、吉田氏はコワーキングスペース事業のほか、これまでの経験を活かしたITコンサルティング業や公的資金導入支援の仕事など、多彩なキャリアにチャレンジされています。

image_event_241223.003.jpegライトハウスキーパー株式会社代表取締役の吉田伸記氏

吉田氏は自己紹介に続いて、2024年7月にオープンしたコワーキングスペース事業「いいオフィス三鷹by LHK」の概要を説明しました。「いいオフィス三鷹by LHK」は、JR中央線三鷹駅から徒歩3分の築39年の商業ビルの4階に位置しています。室内には全14部屋があり、1人部屋が8部屋、半個室が4部屋、さらに2人用の完全個室や6人用の会議室などもあります。価格は1時間あたり660円からと低価格に設定され、定額制での使い放題や1部屋を1か月間占有できるプランなどもあります。

運営は無人で行われており、電子ロックや監視カメラを導入することで、常駐者がいなくても24時間365日の運営が可能。4Kモニターや無料Wi-Fi、各種電源、充電器、ドリンクサーバーなどの設備も充実し、各部屋を施錠できるため、セキュリティ面でも安心です。

吉田氏は「低料金というだけではなく、法人でも個人でも利用できること、年中無休で完全個室という点もアピールポイントにしている。コンビニに行くような感覚で、気軽に使ってほしい」と語りました。

開業準備をすべて1人でやり切り、5か月で店舗オープン

事業概要の後、吉田氏は本事業に至った経緯や想いなどに踏み込んで語ってくれました。「自分もリモートワーカーで、家の中では落ち着いて仕事ができなかった。国も働き方改革でテレワークを推進していたので、それならば自分で作ってしまおうと考えた」と話します。また、自由な働き方や地域の雰囲気にマッチするような地域密着をコンセプトとして考えていたため、様々な運営会社があるなかで、吉田氏は最もコンセプトの近い株式会社いいオフィスの加盟店になることを決めたそうです。いいオフィスは運営ノウハウやアドバイスがあり、予約プラットフォームや電子ロックなどの省力化パッケージなどが揃っていたことも決め手だったと振り返ります。

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このようにして2023年12月、株式会社いいオフィスに加盟店になりたい旨を伝え、「自分で物件を見つけて改装しようと決意した。いいオフィスからアドバイスを受けながら、3月から物件探しを始め、コワーキングスペース事業の繁忙期である夏までには何とかオープンしようと焦っていた」とのこと。ただ、順調な滑り出しとはいかなかったようです。

image_event_241223.005.jpeg 受講生らは、開業までのリアルな体験談に真剣に耳を傾けていた

4月に物件の申し込みと資金調達を完了し、5月からリフォームを開始。改装後の物件の引き渡しは6月15日と、なんとか夏前に間に合うはずでした。にもかかわらず、オープンが7月末までずれ込んだ理由について、吉田氏は「一番の誤算は無線Wi-Fiを利用するための回線工事だった。4月に回線工事を申し込み、『1~2ヵ月で完了するだろう』と想定していたが、実際は3か月かかった。あとで聞いたところ、通常3か月ほどはかかるものだと知ったが、見込み違いによって約1か月半もオープンがずれ込んだ」と失敗談を明かしました。

しかしそんな誤算がありながらも、吉田氏は、ハード面の整備だけではなく、集客サイトやGoogleマップへの登録、SNSアカウントの開設、備品の購入、消防法への対応、保険の手続きなど、すべてを1人でこなし、開業当日を迎えたそうです。「後から聞いた話では、いいオフィスでゼロから新規開業した人はおらず、自分が初めての事例だったそうだ。今ではいいオフィスからも評価してもらい、視察受け入れの要望もいただくようになった」と、数々の課題を1人で乗り越えてきたと語りました。

「今後は店舗数を増やし、自分のやりたいことを実現したい」

オープン後、いいオフィス三鷹by LHKは順調に利用者数を伸ばしていると、吉田氏は自信をにじませます。「8月から11月まで、利用者数は1日平均10人と、右肩上がりで増加し、売り上げも順調。投資は大体3年ぐらいで回収できる見込み。最近では検索結果の順位も上がり、口コミでも良い評価をもらえるようになった」と語ります。

開業前はリモートワーカーを主なターゲットとしていましたが、実際の利用実績によると会議や打ち合わせでの利用が30%、面接や面談が20%、テレワークが18%となっており、「実際にはリモートワークよりも、オンライン英会話の講師が授業のために予約したり、ITエンジニアが20時間以上も利用したりと多種多様な人たちがさまざまな目的で使ってくれている」とのことでした。

その一方で改善点も明らかになってきたといいます。「午前9時から午後6時までのワーキングアワーの利用は伸びてきたものの、午前中や午後7時以降の利用はまだまだ伸ばしていく余地がある。今後、午前中の料金を割引するなどの対策を検討している。また、土日についても今後伸びる余地があると考えており、地域の会合や仲間でボードゲームをするのに使いたいというニーズなどに対応していく予定」と述べました。

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最後に吉田氏は今後の展望について、「今後は新規顧客の獲得や既存顧客のリピート率を上げることで利用者数を今より増やし、物販なども行うことで売り上げをさらに伸ばしていきたい。そして2店舗目、3店舗目と店舗数を増やし自分のやりたい仕事や暮らしを実現していきたい」と語ってくれました。

吉田氏の話の後に、受講生らとの質疑応答が行われました。「実際に開業して自由な時間は確保できるようになったか」という問いに対し、吉田氏は「コンサルティング業に週2日、コワーキングスペース事業に週1日ほど費やしていますが、会社員のころよりはずいぶん自由な時間ができた」と回答しました。

また、講師の塚本氏から「開業時に1人でやらなければいけないということに不安はなかったか」と問われると、「1人でやること自体に不安はなかった。ただ、開業が1か月以上伸びてしまったことと、開業して間もない8月は『本当にこれで大丈夫か』と緊張はあった。特に、お客様からクレームが入ったときの対応は未知の領域だったので、その不安はあった」と振り返りました。

その後、吉田氏や塚本氏、受講生らは食事を交えながら様々な情報交換や意見交換をおこないました。

image_event_241223.006.jpeg講義後の懇親会では話が弾む

今回登壇された吉田氏は、10年前に起業を志した際、家庭のこともあり、いったん断念されたそうです。働く目的や夢を見つめ直すという意味でも、今回の吉田氏のお話は貴重な機会となりました。デュアルワークやパラレルワークに興味がある方は、ぜひライフシフト起業コースに参加してみてください。

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