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【レポート】独自の強みで「最先端技術」と「サステナビリティ」に挑む企業を巡る

エコッツェリア会員企業視察ツアー in 静岡県 2026年7月24日(金)開催

8,9,12

2026年7月24日、エコッツェリア協会の法人会員の皆様と、最先端の研究開発を行う企業や、ユニークな取り組みを行う企業をつなげることを目的とした「エコッツェリア協会法人会員ツアー」を開催しました。

今回は「最先端とサステナビリティ」をテーマに、静岡県を舞台に活躍する株式会社エイディーディーとコアレックス信栄株式会社を視察しました。 様々な角度から、これからのものづくりを支える企業と、人々の生活に不可欠なものづくりを行いながら社会課題解決を担う企業を巡ったツアーの模様をレポートします。

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先端テクノロジーと持続可能な未来に触れながら、横のつながりを深める一日に

先端テクノロジーと持続可能な未来に触れながら、横のつながりを深める一日に

8時過ぎに新丸の内ビル前に集合した一行は、バスで静岡県へと向かいます。 その道中、ツアーのコーディネートを担ったエコッツェリア協会の辻村滋(地域連携グループ ディレクター/静岡県庁より出向)は、このツアーの狙いを次のように説明しました。

「エイディーディーは、半導体製造装置や超低温機器を手がける技術のエキスパートであり、自社工場への太陽光発電導入など環境負荷低減にも早くから取り組まれています。
単なる見学にとどまらず、技術を体験できるプログラムをご用意いただきました。 コアレックス信栄は、従来リサイクルが難しいとされていたレシートや紙コップなどを高度な技術でトイレットペーパーに再生する資源循環のリーディングカンパニーです。 先端テクノロジーと持続可能な未来のあり方をリアルに体感していただきたいです」

車内では参加者同士の自己紹介も行います。「普段は企業誘致の仕事をしているが、半導体分野の現場を直接見られることを楽しみにしている」「自治体職員の立場で民間企業を訪問するのは初めてなので多くを学びたい」といった声が上がりました。 さらに、事務局の田口真司からは、「他県の方々や普段関わる機会の少ない分野の方々とつながり、それぞれの所属先が注力している産業構造の違いなどを参考にしてもらいたいです。 訪問先での学びはもちろん、参加者同士の『横のつながり』を深める一日にしていただきたいと考えています」という呼びかけがなされました。

超低温技術と人工ダイヤモンドで大企業にも負けない技術力を示すエイディーディー

image_event_20260724_005 エイディーディー専務取締役の下田裕人氏

最初の訪問先である株式会社エイディーディーは、駿河湾を見下ろす沼津市の山間部に位置しています。 2001年に創業した同社は、半導体製造機器を冷却するためのチラーと呼ばれる温度制御機器の製造や修理をメイン事業としています。
さらに、チラーの製造・修理で得た技術力を応用して、世界で初めてマイナス100度以下まで冷える特殊な冷凍庫や冷却装置の開発などの超低温技術と、 幅広い分野に活用できるとして注目を集めているダイヤモンド成膜の技術を有する「開発型ものづくり企業」です。 この日は専務取締役の下田裕人氏に案内いただきながら、ものづくりの現場を視察しました。

最初に案内されたのは、同社の創業の原点であり、現在も経営の基盤となっているチラーの修理の現場です。 半導体の製造工程においては、プラズマ処理など分子レベルでの精密な温度管理が厳密に求められるため、高精度なチラーが求められます。
その分設備は高額になるため企業は長期にわたって活用を続けますが、その分不具合が起こった際の対応が難しい側面がありました。 この点に着目したエイディーディーでは、大手企業の職人をヘッドハントして、彼らの経験やノウハウを活かして修理事業を展開しています。

「我々のところに持ち込まれる装置には図面も取扱説明書もありませんし、動かし方もわからないものもあります。 そこで、社員たちの経験を活かして頭の中で図面を描き出し、代わりになる部品を選び、修理箇所を見極めながら対応するという職人技による修理を行っています。 このように他社には真似できない圧倒的な技術ノウハウを蓄積することで、この修理市場において弊社は独占状態を確立しています」

工場内には、日本全国の半導体工場から運び込まれた修理待ちの装置が並んでいました。 熟練の技術者たちが手作業で配線や配管を追いかけ、部品の特定と修復を行っています。 同社において一人前の職人に育つまでには約5年がかかるといいます。

「新品で購入すれば何千万円もする高額な装置ですが、弊社のオーバーホールや修理であれば数百万円で済みます。 半導体工場は1日装置が停止するだけで大きな損失が出るため、迅速で確実な修理ニーズは極めて高いのです。 この修理事業において70%近い利益率を確保し、その利益を自社製品の開発と設備投資に還元するというのが私たちのビジネスモデルとなっています」

image_event_20260724_006.jpg 左: チラーの修理を行う様子 右: 工場内には修理を待つ装置が所狭しと置かれていました

従来、半導体は微細化を突き詰めることで性能を高めていましたが、その限界が見えてきたため、現在では基板を積み重ねる多層化へとシフトしています。 ただし、多層化のためにプラズマで微細な穴を掘る作業が必要でしたが、熱源などの影響でプラズマが曲がってしまい、正確な穴を作れないという課題がありました。
そこでエイディーディーは、「冷やせば冷やすほど分子がまっすぐ進む」という現象に着目し、チラーの修理で培った経験を活かしてマイナス100度以下の超低温制御技術を開発します。 これにより半導体の多層化技術が一気に進展し、同社の超低温チラーは世界的な半導体企業に採用されるに至っています。

下田氏は、「我々は15年ほど前から半導体の多層化が進むことを予見し、10年かけて超低温技術を確立させていきました。 皆さんが生成AIに相談すればするほどメモリが必要になり、巡り巡って弊社の超低温技術が活かされ、私たちが潤います」と冗談を交えながら説明しました。

このようにして生まれた同社の超低温技術は、半導体以外の場でも活用が進んでいます。 そのひとつが「ゼロドライアイス」というサービスの開発です。 液体窒素を使用せずにマイナス100度で凍結可能な超低温冷凍庫「ウルトラディープフリーザー」や、ドライアイスの代替となる蓄冷剤「アドコールド-45」を活用して、ドライアイスを用いずに長時間の冷凍輸送や保管を可能にするというものです。
かつてJAXA から依頼を受けたことをきっかけに開発が始まり、その後、新型コロナウイルスワクチンの超低温輸送などでも大きな役割を果たしました。
さらに同社は、この技術を応用して全身や足をマイナス100度以下に冷却するアイシングマシン「クライオバスシリーズ」を開発し、プロスポーツチームや医療・健康分野へ展開しています。 実際にクライオバスシリーズを体験した参加者は、「足先を冷やしただけなのに体が急に軽くなった」「足のむくみが取れて手が床に届くようになった」と驚きの声が上がりました。

このように、大手企業でも驚くような独自技術でものづくりを追求しているエイディーディーですが、下田氏は「大手企業が本気を出し始めたら勝ち目がない」と、常に危機感を持っていることを吐露しました。 そこで下田氏は、エイディーディーのコアコンピタンスである超低温技術と人工ダイヤモンドの2つを掛け合わせることで、半永久的に摩耗しない構造を持ち、環境負荷も著しく低い次世代冷凍機の開発に取り組んでいます。 「どれだけ技術力が高く資本を持つ大企業でも、超低温技術と人工ダイヤモンドという2つは併せ持っていません。これらを組み合わせることができるのが私たちの強みです 」と胸を張りました。

image_event_20260724_008.jpg 左: ゼロドライアイスを手に取る参加者 右: マイナス100度で足先を冷やす「クライオフット」を体験する参加者

そして最後に、下田氏は次のような言葉で視察を締めくくりました。「新しいイノベーションのアイデアは半導体業界の中にいても出てきません。 異業種や自治体の皆さんとの交流の場にこそ次のフックが存在しています。もし当社の技術を活用したアイデアをお持ちであれば、ぜひ協力させていただきたいと思います」

image_event_20260724_007.jpg エイディーディー本社前で集合写真を撮影

「地産地消」・「資源循環型リサイクル」・「ゼロエミッション」で紙の持続可能な未来を描くコアレックス信栄

image_event_20260724_001.jpg 原料・直需部次長の会澤禎昭氏

昼食休憩を挟んで富士市に移動した一行は、第二の目的地であるコアレックス信栄株式会社に到着します。同社は、従来の技術では再生処理が難しいとされていた「難再生古紙」のリサイクルを実現する独自技術を持つ企業です。

コアレックスの特徴は、「紙に付着している異物が混ざっていても100%リサイクルできる」点にあります。例えば、一般的にはホチキスの針やクリップなどは処理に出す前に取り外すことが求められますが、コアレックスでは独自の異物除去装置を備えているため手作業で分別する必要がありません。 また、自治体や企業から排出される機密書類は未開封・無選別でリサイクルされるだけでなく、アルミ加工されたフィルムパックや防水加工されたアイスのカップ、紙コップや紙皿、レシートや切符など、家庭や企業から出る雑多な紙ごみを総称する「ミックスペーパー」という概念と言葉を日本で最初に提唱し、その処理のあり方を仕組み化した企業でもあります。回収した紙ごみは「資源の最終地点」ともいえるトイレットペーパーに再生し、一般向けに販売したり、もともとの紙ごみを排出した自治体や企業に再供給したりすることで、「資源循環型リサイクル」を推進しています。

概要説明を受けたところで、実際の工場の見学へと移りました。工場の中では、様々な地域から運ばれてきた膨大な古紙が巨大な溶解炉へ投入され、ぬるま湯程度の温水などを使用して溶解されます。その後、古紙から「紙の繊維」と「異物」が鮮やかに選別されていく様子を確認します。また、巨大な抄紙機が紙を高速で巻き上げたり、トイレットペーパーとして梱包されていったりする流れを目の当たりにした参加者たちは圧倒された様子でした。

image_event_20260724_002.jpg

image_event_20260724_003.jpg 左上: 工場内には集められた古紙原料が積まれています 右上: インクを除去するフローテーションを見学する様子
左下: 抄紙機によって巻き上げられたジャンボロール 右下: カットされたトイレットペーパーが運ばれる様子

コアレックスの工場で特徴的なのは、「ゴミを出さないゼロエミッション」が徹底されていたことです。このように資源を最後まで無駄なく利用し、できる限り環境負荷を下げることで、地域と次世代に貢献していくことを使命として掲げているのだそうです。
尚、同グループ工場のコアレックス三栄㈱東京工場では、分離された金属は再利用され、廃プラスチックやペーパースラッジは自社ボイラーの燃料として使用後、残った灰をエコセメントの原料にしており、更に熱源をサーマルリサイクルしています。また、生産工程で使用する水のほとんどは川崎市の水処理施設からひいた中水となっており、使用後は独自の排水処理設備で高度処理して自然に戻します。
※コアレックス信栄で発生した残渣物はこちらに持ち込まれています。

見学後の質疑応答では、自治体単位でのリサイクル推進について活発な質問が飛ぶこととなりました。この日案内をしてくれた原料・直需部次長の会澤禎昭氏は、「可燃ごみの中には家庭系で10~20%、事業系で30〜50%の割り合いでコアレックスがリサイクルできる紙ごみ(紙資源)が含まれていると考えています。我々からするとこれは非常にもったいないことだと感じていますので、回収ルートを確保し、これまで以上に持続可能な資源循環モデルを構築していきたいと考えています。例えば、かつて家庭ごみの排出量が愛知県でワースト1位だった西尾市という自治体に対してリサイクルの提案をしたところ、大幅に排出量が削減されました」と、その成功事例を教えてくれました。

image_event_20260724_004.jpg コアレックス信栄の本社前で集合写真を撮影

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