東京都では、今年5月に「中小低炭素モデルビル」を公表しました。これは、3万件の中小規模事務所のデータから作成されたベンチマークを元に、CO2排出量が一定基準以下のビルを認定するものです。「A4」を最高グレードとし、最低の「C」までの7段階評定で、A1ないしはA2以上が「低炭素モデルビル」と認定されます。
「CASBEE」など既存の環境性能評価ツールに比べて、ビルの環境配慮の取り組みが分かりやすく数値化されるため、今後投資や入居の指標となることが見込まれています。
関西では、環境省の「低炭素地域づくり集中支援モデル事業」に事業採択された阪急電鉄の取り組みが注目を集めました。これは阪急京都線の西院駅~河原町駅のトンネル、駅、地下道の照明をLEDに変え調光装置を導入、状況に合わせて節電させるというものでした。この取り組みによって、施設全体で22%、照明だけで54%ものCO2削減に成功しました。
こうした機械・設備的な低炭素化促進の動きの一方で、パッシブなエコの取り組みも再び盛んになりつつあります。
5月末には、国土交通省が都市緑化の事業・研究への補助金の募集を始めました。モデル事業には単年度予算として最高5億円まで交付。これほどの規模で都市の緑化促進に取り組むのは今回が初めてのことです。これにより、今まで緑化が難しかった建築物での実現に期待が寄せられています。
パッシブ・エコは環境負荷が低く、気軽に取り組めるものです。都市部で定着した感のある「打ち水」はその代表例。今年の夏は、パッシブなスマート化・低炭素化の動きにも要注目です。