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【レポート】工場の祭典、拡大す。

「『燕三条 工場の祭典2016』を一足先に知って応援しよう!」8月25日(木)開催

再び3×3Lab Futureがピンクのストライプに染まりました。

TIP*Sと3×3Lab Futureが並んで司会に立つ数少ない機会のひとつが、「燕三条 工場の祭典」にちなんだイベントです。それは、そこに地方創生と中小企業支援、都市-地方の新しい関係の構築という、両者がともに考える課題解決のエッセンスがギュッと詰まっているから。昨年に続き、今年も10月の開催前に、3×3Lab Futureでプレイベント「『燕三条 工場の祭典2016』を一足先に知って応援しよう!」が開催され、ピンクのストライプを纏った登壇者たちが、在京ビジネスマンたちに祭典の魅力をアピールしました。司会は、中小機構(TIP*S)の岡田氏、エコッツェリア協会(3×3Lab Future)の田口氏の2人が務めました。

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年々拡大する祭典

年々拡大する祭典

この日の登壇者は工場の祭典の運営に携わる3氏。燕三条地場産業振興センター産業振興部企業支援課の長谷部正氏は工場の祭典実行委員会事務局の業務を担当しています。また、今年から大々的に加わることになった"耕場"を代表して登壇した内山農園の内山徳寿氏は実行委員。そしてトリを務めたのが今年実行委員長を務める、玉川堂の"番頭"山田立氏です。

燕三条地場産業振興センター産業振興部企業支援課 長谷部氏最初に登壇した長谷部氏からは、三条市、燕市の産業の成り立ちや特徴、工場の祭典の全体的な説明がありました。

三条市、燕市の両市は農閑期の副業として和釘の製造からスタートし、キッチンウェア、刃物とそれぞれ特化してきた歴史があるそうです。特徴として「デザイン性の高い製品が多い」「生活関連製品だけではなく工業部品を手がける工場も多い」といった点が挙げられるほか、生活の場に工場が隣接し「生活と産業のバランスがすごく良い」という燕三条ならではのスタイルがあることを解説しました。

工場の祭典については、「工場が一斉開放」「予約不要の工場見学」「ワークショップ」「ピンクのストライプ」という4つのキーセンテンスで開催されており、参加者が1回目の約1万人から3回目では1万9000人と年々増加していることを紹介。また、もともと製品の販売イベントが拡張したイベントではありますが、「単に来てもらう、売れる以外の成果もある」と、来場するバイヤーによる販路開拓、新製品開発、従業員の意識改革など、「さまざまな成果」があることが語られました。

また、今年から、「工場」を「KOUBA」と読み下し、「工場」「耕場」「購場」のトリプルミーニングで「地域全体の振興を図りたい」と期待を語りました。

さわやかに、農

内山農園 内山氏内山氏は「耕場」を代表しての登場で、「米、小麦、野菜、果物を作っている」農家。2015年に事業継承し、農産物のほか6次産業化としてジェラートや生パスタ、トマトソースなども開発しているそうです。「かっこ悪くない農家を目指して」、農園のロゴにもこだわっているほか、「箱のほうが高い(笑)」贈答用のアイテムなどの開発にも務めています。

工場の祭典については、「(工場の祭典の)第1回目からモノづくりの観点から参加してくれと言われてきた」そうで、「燕三条といえば背脂ギトギトのラーメンが有名だけど、それだと重い!ので、すっきりとした野菜で楽しんでもらおう」と、食事の場所の提供などをしてきたそうです。ブドウ園、梨園を開放して寝っ転がってもらう場所も提供したそうなのですが「これがすごく気持ちいいらしくて、大好評」だったとのこと。

燕三条エリアは、そもそも多くの工場が田んぼの海に浮かぶ島のように点在していることでも分かるように、米どころでもあり、農業も主要な産業のひとつなのです。今回「工場の祭典」が「KOUBA」になり、「耕場」としても祭典することになったことについて、「13農家が参加し、JAも参加し、倉庫を開放してくれている。鉄や金属の重ーい感じのところから、さわやかなところに足を運んでもらいたい」と、燕三条の持つ異なる一面を会場に向けてアピールしました。

農と食で広がる未来

最後の登壇者は、玉川堂・番頭にして今年度工場の祭典の実行委員長、山田氏。氏からは改めて工場の祭典のアウトラインとともに、今年の祭典の、ポイントの解説がありました。

まず今年で4回目を迎える工場の祭典成立には「3.11以降、人々の興味が人間の持つ手技に戻り、Made in Japanへ意識が向いた」という背景があり「タブレットとスマホの普及によって、逆に2次元の向こう側へ行こうとする気持ちが強くなったのでは」と分析しています。現地でも2010年頃から「見学などを実施するオープンな工場、仲間が増えて」、そのムーブメントを後押ししたという事情もありました。

来場者は年々増加してきており、併せて参加する工場も増えています。「1日だけなら、とか、客の相手はできない超放置プレイの工場とか、危険だから非稼動日だけならOKとか、さまざまなカタチで参加」する工場も増えたそう。しかし、「面白いのは職人さんたち」で、「(来場者に)話せねぇよ、と言いつつも、いざ話しだすと止まらない。エンドユーザーと触れると生き生きとする。これは(観光客が)来ました、売れましたでは計れない価値」と山田氏。

今年から「耕場」「購場」が加わったことについては「昨年自然発生的に農家さんたちの間で始まった『耕場』という呼び方が、あまりにもカッコよくて評判が良かった」ためにスタートしたとのこと。

「食が加わると、できることがグンと広がるんですよ。鋤や鍬などの農具も食に関わるものだし、カトラリーだって食のもの。体験ワークショップなんかも食に引っ掛けていろいろなことができる」

3×3Lab Futureがオープンキッチンを設置し、食を軸にさまざまなカタチに活動を敷衍しようとしていることとイメージが重なります。「食」は、やはり現代の課題解決の大きなヒントと言えそうです。

次は燕三条へ

各登壇者のトークの合間合間で、各テーブルで感想のシェアや意見を交換するワークショップを行い、登壇者へのメッセージ、疑問などを付箋に書きだしています。付箋はホワイトボードに集約し、3者のトークの後のパネルディスカッションで活用されました。参加者の多くが、地方創生や地場産業の活性化、中小企業の支援振興に係る人々だったこともあり、パネルディスカッションは、主に祭典運営の苦労や今後の展望などに話題が集まり、有意義な議論が交わされたようでした。

最後に司会の岡田氏、田口氏から「今年の工場の祭典に行きたい人!」と呼びかけがあると、会場のほぼすべての参加者が「はーい!」と挙手していました。実行委員長山田氏の「数を稼ぎたいのではない、コアなファンがほしい」という言葉のように、TIP*S、3×3Lab Futureから、燕三条マニアが続々誕生しているかのようなのであります。10月の工場の祭典本番も、大丸有が大いに盛り上がりそうです。


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