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【レポート】常識を外す、常識を広げるアートシンキング

丸の内プラチナ大学 アートフルライフ・デザインコースDAY7 2018年11月8日(木)開催

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最近、教養として「アート」が注目を集めています。アートは、ただ美しいものを作って飾って鑑賞して楽しむというだけではなく、時代の価値観を創造し、正解のない問題を考え抜くための力を与えてくれるものとして、ビジネスパーソンこそアートを学ぶべきという新しい潮流です。
しかし、ひとことで「アートを学ぶ」と言ってもどこから手をつけていいのか、興味はあってもどのように仕事や日常に活用できるのかなかなかイメージがわかないという方にうってつけの講座が、この丸の内プラチナ大学「アートフルライフ・デザインコース」です。座学のみならず、ゲームや実際の制作、三菱一号館美術館でのフィールドワークなどを通じアートを楽しむ本講座から、話題のアートシンキングについて学び、体感する第7回の模様をレポートします。

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なぜ今、必要とされているのか?
ビジネス最前線で活躍するデザイナーが語る「アートシンキング」

なぜ今、必要とされているのか?
ビジネス最前線で活躍するデザイナーが語る「アートシンキング」

まずは、講師の臼井氏からDAY6で訪れた三菱一号館美術館の感想のシェアが行われ、その後本日のテーマ、アートシンキングとはなにか、どう活用するものなのか、ビジネスの最前線でデザイナーとして活躍するコイニー株式会社 デザイナー 松本隆応氏による「インプットトーク」がスタートしました。

image_platinum1108_002本講座講師 臼井清氏(左)ゲスト講師 コイニー株式会社 デザイナー 松本隆応氏(右)

「アート」「デザイン」「ビジネス」、松本さんはこれからの発想には、これら3つの分野を横断して、考えること、実践することが重要と考えているそうです。 そもそも「アートシンキング」とはどういうものなのでしょうか。
 松本さんは「ビジネス」の壁を突破する力になるものだと説きます。アートシンキングとは、もともとアーティストの思考と実践方法を応用することを指しますが、現代美術家の村上隆氏の著書『芸術起業論』の言葉を引用し、さらに詳しく説明してくれました。

"世界で唯一の自分を発見し、その革新を歴史と相対化させつつ、発表すること"

これを分解してみると、Style、Vision、Storyとしてアートシンキングを読み解くことができます。
自身のスタイル(=世界で唯一の自分)を発見し、ビジョン(=革新を歴史と相対化させつつ)という新しい価値を打ち出し、ストーリーを多くの人に共有すること(=世界観の共有、新しい意味の理解)だといえます。

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数字や理論をもとにしたマーケティングなど、これまでの手法に限界を感じている人は多いと思います。だれもが似たような結論にたどり着きがちだからです。また全く新しい枠組みを考えるとき、これまでの実績や経験がない分野の場合は機能しません。
アートの発想とは、漸進的な改善では得られない新しい価値や意味を創り出していくこと、それがこれからの社会に求められると松本さんは言います。

さらに、前述した村上隆氏の戦略や印象派やマルセル・デュシャンの例などを解説。あくまでも内発的な個人の価値基準をベースにしたアーティストの発想が社会の価値観を変えてきたことをひも解き検証しました。
アート好き参加者のみなさんもこのような軸で美術について考えたことはある人はなかったようで、熱心に聞き入っていました。

筆者がとくに衝撃を受けたのは「アートシンキングでは『問題解決は考えない』というのが前提」という松本さんの言葉。
多くのビジネスパーソンは、問題解決をゴールと考えて、そこに至るプロセスとして企画や営業といった業務にあたっているはず。身に染み付いたこの前提を外すというのは、率直に言ってなかなか簡単にはいかないのではと感じました。

そのヒントになるのが、次に行われた「ペアスケッチ」なるワークです。

相手の言葉を即興で描く「ペアスケッチ・ダイヤローグ」

アートシンキングの概要についてインプットしたところで、参加者の皆さんが取り組んだのが「ペアスケッチ・ダイヤローグ」です。
二人一組になって、一方の人が「ビジョン」を語り、もう一方の人がそれを聞いて自分のイメージでスケッチするというもの。 自分の中のビジョンが相手にどう伝わるのか、そのギャップが新しい発想のヒントになります。

松本さんは、ご自身の例として「お金」についてのスケッチを公開してくれました。
決済サービスの仕事をしている松本さんにとって「お金」は日常的に考えているテーマであり、それを奥さんにスケッチしてもらったものがこちら。

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「お金」松本さんにとっては物理的なものというより概念であるお金ですが、奥様にとっては硬貨やお札といった具体的なもののイメージ
「いいお金」寄付やクラウドファンディングなど分け合うこと、どんどんお金が流れるのがいいお金の使い方と考える松本さんに対し、奥様はお年玉や募金のイメージ
「わるいお金」わるい人がおばあちゃんからお金をかすめとる=オレオレ詐欺

こうした説明を受けて、参加者はペアをつくり対話とスケッチに挑戦しました。

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「ビジョン」について講師の臼井さんから、「なんとなく不満に思っているから変えたい」「とても楽しいからもっと広げたい」「今はないけれどこれがあったらとても楽しいはず」など日頃思っていることをテーマにしましょうという提案があり、「お金」の例よりも、参加者のより具体的なスケッチが完成。最終的にはビジネスプランのようなスケッチにまで膨らませているペアもありました。
描く側がビジョンを具体的に捉えることで、話す側はそれに刺激されてより細かなことを思い浮かべることができるようになるようです。

松本さんは、ペアスケッチ・ダイヤローグの効能を3つあげてくれました。
まず文字ではなくスケッチをすることは、アイデアの醸成を助けるということ。
「会議の場で空中で言葉が飛び交っているだけで、なかなか定着しない、前進している気がしないときなどに役立ちます」

さらに対話がアイデアを補完し合い、より面白いものを生み出すことになること。
「対話は違いを力に変えることができる、思いつきをなにかにぶつけることによってより洗練しどんどん面白くすることができます」

そして、手書きはアイデアを出しやすくすること。
「手書きをすることでアイデアが活性化するということが科学的に証明されています」

image_platinum1108_006コースアドバイザー 河合理美氏

しめくくりに臼井さんは「短い時間のなかでたくさんのアイデアが出て、そして感想もたくさんいただいてよかったと思います」とホッとした表情で話され、松本さんの「伝わる面白さ、伝わらない面白さの2つがあったと思います。まさにそれがアートの本質、相互理解、アートの入り口を体感していただけたんじゃないかと思います」という言葉で講座は終了となりました。

今回のワーク「ペアスケッチ・ダイヤローグ」は、講師の臼井さんと松本さんが共同で考案した本講座オリジナルのもの。おふたりはアートシンキング講座を行うたびに体感するツールとして、新しいワークを創り出していますが、今回の「ペアスケッチ・ダイヤローグ」は紙とペンがあればいつでもどこでもできる手軽なものです。さまざまなテーマで、職場や家庭で試してみてはいかがでしょうか。「アートシンキング」のコツがつかめるかもしれません。

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