トピックス大丸有

CSVビジネス創発拠点「3×3Labo」オープニングイベント

2014年1月17日14:00~19:00開催

1月17日(金)、丸の内再構築プロジェクトの一環として建て替えを予定している「富士ビル」に、CSVビジネス創発拠点として、登録制オープンスペース「3×3Labo」が開設されました。これを記念してオープニングイベントが行われ、延べ200人以上が来場、大盛況となりました。

「3×3 Labo」は「3Gear×3rd Place Laboratory」の略で、サステナビリティの3要素「経済・社会・環境」がギアのごとく噛み合い、さらに会社でも自宅でもない第3の場所「サードプレイス」として業界業種の垣根を越えた交流・活動拠点として機能する場所を 意味しています。2011年よりエコッツェリアを拠点に活動している同名の研究会のコンセプトを生かしながら、さまざまな人々が交流し、大丸有エリア内の企業と結び付くことでCSV事業への発展を目指します。同施設は8月末までの期間限定。

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欠けていた"リアル"をつなぐ場所

社会課題の解決へ発展させる登録制オープンスペース

「3×3Labo」施設見取り図オープニングイベントに先立ち、プレス向けの内覧・説明会がありました。多数のメディア取材も訪れる中、施設の概要が紹介されました。

施設内には「丸の内朝大学」や「地球大学」、その他各種セミナーやワークショップの会場として利用される100席収容の「サロン」(軽食が楽しめるカフェコーナーも併設予定)や、活動をさらに発展させる場としてプロジェクトルームを用意。


サロンは100席収容のコミュニティスペース、ソファーが置かれるなどゆったりできる場所も

会員企業であるイトーキのブースや新製品「cacomi」(右上)、八洋×NTT東日本の「太陽光発電設備付き災害対応型Wi-Fi自動販売機」なども設置されている(右下)

プロジェクトルームは計4室。うち1室は3月に開局を予定する「朝大学TV」のスタジオとして利用される予定(右)

エントランスを入ってすぐの位置に広がるのは、竹村真一さんが企画する「触れる地球ミュージアム」。デジタル地球儀「触れる地球」が5機常設展示されており、連動するタブレットや地球儀を触りながら、生きた地球の姿をリアルタイムに感じることができます。株式会社ウェザーニューズとも連携し、気象情報番組の特設スタジオとしても試験運用されます。

「触れる地球ミュージアム」では「触れる地球」が5機常設されている

ミュージアムの一角では期間を区切って企画展も催されます。1月24日(金)からはオープン記念展示として「炭素の魔法展」が行われています。

オープンを記念して多数の識者が登場

合場直人氏(左上)、小林光氏(右上)、竹村真一氏(左下)、井上成氏(右下)

「オープニングイベント冒頭、主催者挨拶で合場直人氏(エコッツェリア協会副理事長)、小林光氏(環境経営サロン道場主)、竹村真一氏(地球大学主宰)が登壇しました。

合場氏は「"8ヶ月だけ、ほんの少し"と聞いて、じゃあいいかなと思っていたが、来てみたらこんなに広くて『触れる地球』もたくさんあるし、これはほんの少しどころじゃない、みごとにだまされた(笑)」と笑いを誘いましたが、「街づくりの要諦はハードではなく知的価値の創出にある。大丸有の新たな価値を生み出す拠点として大いに期待したい」と3×3Laboへの期待を語りました。

小林氏はエコッツェリアで積み重ねてきた「環境経営サロン」の経験から、「新しい価値の創造には、人と人とのつながり、そしてつなぐための"場所"が重要。ここを活用して、新しい価値、新しいビジネスの創出につなげたい」と今後の展開への意欲を見せてくれました。また、『触れる地球』のミュージアム化に尽力した竹村氏は、「これからは生きた地球を肌で感じていくことが大切。その"地球目線"で見て考える場所が日本の中心の大丸有になくてどうしますか」と笑顔で集まったメンバーを激励してくれました。また、ご自身がプロデュースした展示「炭素の魔法」も引き合いに出しながら「CSV=Creating Shared Valueといいますが、シェアするのは人間だけでなくてもいいでしょう。これからはCreating Planetary Valueということも考えたい。ここからもっとわくわくするような価値が広がっていくと思います」。

井上成氏(エコッツェリア協会専務理事)より施設概要について説明があり、「企業よし、顧客よし、社会よしを目指してこのスペースを運営していく。革新に向けては、ある種のカオスが必要だが、このスペースが多くの企業、個人、大学、行政などが関わりカオスを生む "丸の内解放区"となり、大いに利用していただきたい」と宣言がありました。

新しいカタチの都市の防災を考える

伊藤滋氏(左)、村井純氏(右)

オープニング挨拶の後は、いよいよトークセッションです。トークセッションは2部構成で、多数の識者が登場。第1部は「ICTを活用した防災インフラの構築を目指して」と題し、伊藤滋氏(エコッツェリア協会理事長)をモデレーターに迎えて、都市部における防災対策をメインに、建設的な議論が1時間以上に亘り交わされました。

村井純氏(慶應義塾大学環境情報学部教授)の基調講演では、3・11を経た日本の現状を踏まえたうえで、テクノロジーの押し付けではなくそれぞれの立場で何ができるかを考え、協力し合う事の大切さ、2020年に開催される東京オリンピックを見据えたツーリズムを機に、外国人にも伝わる防災インフラとはどうあるべきか、新耐震基準の素晴らしさについてなど、専門的な立場から密度の濃い意見を伺うことができました。

続いては実際に街づくり、情報サービス、災害研究に携わる4氏のプレゼンテーターに、それぞれの立場から防災インフラの現状についてお話がありました。

中嶋利隆氏(左上)、森田清輝氏(右上)、宮内俊樹氏(左下)、大木聖子氏(右下)中嶋利隆氏(一般社団法人大丸有まちづくり協議会安心安全まちづくり研究会座長)からは、日本経済の核である大丸有エリアにおいて防災をいかに考えるか、就業者数や経済規模、昼間と夜間では人口が大きく異なる点など実質的な数字を挙げて現状の取り組みと課題の説明がありました。

これを受けて、森田清輝氏(株式会社ウェザーニューズ取締役)からは、情報リテラシーの課題提起として、ウェザーニューズの取り組みや今後の展開についての説明。震災から「いざという時には、普段やっていることしかできない」という教訓を得たとし、普段から草花や風景など広義の気象情報をシェアし、災害時に有用な情報のシェアができる体制を整えている同社の取り組みの説明がありました。

ヤフー株式会社の宮内俊樹氏(メディアサービスカンパニー社会貢献本部 本部長)は、逆に情報インフラをどう構築するべきか、しておくべきかという課題が提議されました。3・11時の急激なアクセス増に対する対応や、ユーザーの意見から生まれたリアルタイムな消費電力の視覚化、地震速報など一般ユーザーになじみ深いコンテンツのお話が印象的でした。

最後に、一方で情報が持つ危険性を指摘したのが、1月17日当日の19年前、阪神・淡路大震災を機に地震学者を志したという大木聖子氏(慶應義塾大学環境情報学部准教授)です。非常に多くの情報が集まるようになった現代では、それによる負の側面も出てきているという、よりユーザー視点でのお話、3・11での実例を挙げながら、地域レベルでの具体的な取り組みなどもご紹介がありました。

このトークセッションで共通していたのは、災害時にいきなり特別なことは出来ない、テクノロジーがあっても上手く使いこなせないということ、だからこそ、普段の生活から防災インフラを整えていく事が重要だという事でした。災害大国日本と言われる中、災害とどう向き合っていくかを考えさせられるトーク内容でした。

3×3laboが果たす役割とは?

第2部はエコッツェリアとも関わりの深い3氏から「CSVビジネス創発に向けて3×3Laboが果たす役割」という事で、途中軽食をはさみながら和やかな空気の中でお話を伺いました。

はじめに、土谷貞雄氏(3×3Laboの提唱者・モデレーター)より、終わり次第成田へ直行(!)というお時間のない中、現状報告を含めながら研究会のご紹介、今回の施設開設を受けて、研究会に副題として「明日をつくる研究会」を命名する旨のお話がありました。少子高齢化や環境問題など、若い世代が生きていくうえでの課題を、さまざまな切り口で考えていく同研究会。昨年好評だった「お金のない暮らし」のお話なども交えつつ、密度の濃い内容となりました。

土谷貞雄氏

続いては池田靖史氏(慶應義塾大学院政策・メディア研究科教授/環境情報学部教授)が、慶應義塾大学内で組織される「環境文化デザインラボ」が同施設を活用しながらグローバリゼーション、ライフスタイル、それに対する情報技術などについて具体的なアプローチをかけていく方針であることが語られました。現在の取り組みとして「慶應型共進化住宅」と名付けた新しい住宅モデルのお話などがありました。

最後に古田秘馬氏(丸の内朝大学プロデューサー)より、丸の内朝大学のご紹介、プロジェクトルームを使用して3月に開局する「朝大学TV」のねらいについてお話があり、新しいコミュニティメディアがこの場所から生まれていく期待感に会場が盛り上がりました。

池田靖史氏(左)、古田秘馬氏(右)

富士ビル建て替えまでの8か月という短い期間ですが、この場から大丸有エリアで培われてきたコミュニティ活動がさらに活性化し、CSV視点での新しいプロジェクトやビジネス創出が行われる期待感が高まっています。企業やユーザーの要望次第では、8か月後以降も場所を移してさらなる展開の可能性もあるのだとか。「3×3Labo」のこれからにご注目ください。

懇親会の様子。同業、異業種に関わらず、様々な立場の方々の意見交換の場になりました。


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