5月14日、三菱地所、エコッツェリア協会が連携協定を結ぶ宮崎県にN95マスクを寄贈するため、三菱地所の谷澤淳一副社長・井上俊幸執行役員、エコッツェリア協会の田口真司が宮崎県東京事務所を訪問。福嶋清美所長と懇談し、コロナ禍に関する宮崎県の状況をお聞きするとともに、「アフターコロナ」に向けてさらに連携を強化していくことを相互に確認しました。
コロナ禍の現在とアフターコロナへの足がかり
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う医療物資不足に対する支援として、このたび三菱地所が緊急時に備えて保有していたN95マスク※5000枚を宮崎県に寄贈することが決定し、5月14日に贈呈式を行いました。谷澤副社長は福嶋所長に対し、「宮崎県は感染者が少ないと聞いているが、医療現場ではご苦労もあるかと思う。マスクが少しでも現場の負担軽減につながればと期待している」と伝えました。
これに対し福嶋所長は、「宮崎県は4月11日以降、陽性確定者数ゼロが1カ月以上続いている。一方で、外部からの流入が抑えられているこの間に、軽症者の受け入れホテルの整備や、検査件数増加等の医療体制の整備を進めている段階なので、このマスクは非常にありがたい物資支援となる」と感謝の意を伝えました。
※ 現下の医療用マスク逼迫を受け、2020年4月に厚生労働省より「N95マスクの例外的取扱い」として、必要に応じ有効期限に関わらず活用するよう通達が出されたことを勘案し、期限後のマスクについて保存状況を3者確認のもと宮崎県へ寄贈。

贈呈式後の懇談で福嶋所長は、農林水産業を主力とする同県が、経済活動の自粛の中で苦境を強いられている状況を改めて語っています。
「農業、水産業全般が苦しい状況だが、特に畜産が厳しい。牛肉の価格は3割程度、仔牛の競り価格も大きく落ち込んでいる。マンゴーもピークを迎える季節だが、デパートが閉まっているために贈答品が動かない状況だ。花きも魚も野菜も、飲食店などの出口がなくなり生産者は悩んでいる」(福嶋所長)
外食産業の被害も甚大で、新聞報道によると、宮崎市の繁華街「ニシタチ」で1割にあたる約120店が廃業するとみられる、との調査結果もあります。宮崎県では、緊急事態宣言前から自主的に休業した店舗が多く、その危機管理に対する姿勢が感染防止に大きく寄与したと考えられる反面、経営的には苦しい状況が生じています。
また、宮崎県からオンラインで懇談に参加した産業政策課の甲斐慎一郎課長は、産業振興の観点からの現地の状況を次のように述べています。
「外食、観光、交通産業の被害は甚大。新たな感染者が確認されていないことから事業者は徐々に営業を再開しているが、客が戻らない状況が続いている。段階的に被害が発生するであろう製造業については、肌感覚としては被害が出始めていることを感じているが、統計的な把握はこれからの課題となるだろう」(甲斐課長)
続けて、今後ウィズ/アフターコロナに向けては、「地域内経済」を回すところから着手したいと話します。
「街に人が戻っていない状況ではあるが、地域の中での経済を回すところから始めるべく、まずは飲食店の活況を取り戻していく。そのためには政府が提唱する『新しい生活様式』に対応している飲食事業者への支援を最初の小さなスタートにしたい」(甲斐課長)
また、今後の見通しとして福嶋所長からは「改めて宮崎の魅力を軸に、新しいワーケーションや二地域居住のあり方を模索していきたい」と、三菱地所、エコッツェリア協会との連携を今後もさらに強めたいと語りました。
谷澤副社長は、宮崎県の食の魅力が強いコンテンツになると話し、今後について期待を述べています。
「宮崎県はとにかく食べるものがおいしいし、地域の方がとてもフレンドリー。エコッツェリア協会が運営する3×3Lab Futureでイベントを開催すると、宮崎県のファンが増え、実際に足を運ぶ人も多い。アフターコロナの世界では、移動の仕方、ワーケーションのやり方、働き方改革のあり方も大きく変わることが予想される。宮崎県で新しいモデルを、一緒に構築していきたい」(谷澤副社長)

働き方改革や地方創生に関連して、移動費用を補助しようという政府の動きもあります。福嶋所長も「二地域居住やワーケーションなどでは、積極的に手を挙げて取り組みたい」と語りました。
当協会の田口は、「2017年の連携協定締結以降、宮崎と東京でのイベントや交流を重ねてきた。直近での同様の取り組みは難しいが、オンラインを活用したイベント実施や、ワーケーション・二拠点居住などアフターコロナに向けた新しい生活スタイルを一緒に検討していきたい」とし、より一層の連携強化に向けて思いを語りました。今後、オンオフ両面でさまざまな取り組みを展開していく予定です。
