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ある秘密の集まりが、初夏のさわやかな夜に催されました。6月7日、第1回 さんさんストラテジックミーティングの開催です。招集されたのは3×3Lab Futureに集う、その濃さでは他の追随を許さない屈指のメンバーたち。声を上げたのは、この人、3×3Lab Futureプロデューサーの田口真司氏です。田口氏は「これは初心に還って、新しい有機的なつながりを喚起するためのもの」だと話しています。設置から3年経った3×3Lab Futureに、再び熱いムーブメントが胎動を始めようとしています。それは一体どんな企みなのでしょうか。
集められたのは3×3Lab Futureではおなじみとなった20数名の人々。丸の内朝大学、丸の内プラチナ大学などでは講師として知られた顔、イベントの常連、3×3Lab Futureを拠点にスタートアップに取り組んでいる人、NPOなどの団体を立ち上げソーシャルアクションに努めている人などその内容はさまざまです。しかし、共通しているのは「熱い」ということ。そして人間性が「濃い」。情熱を持って社会に立ち向かう人々の集まりがこのストラテジックミーティングの実体です。
この集まりの目的は、冒頭の田口氏の挨拶で明らかにされています。
「エコッツェリア協会が設立されて10年、3×3Lab Futureができて3年になろうとしています。ここでは日々いろいろな人が集まってさまざまな取り組みが行われており、その情報量は膨大なもの。3×3Lab Futureの運営に関わるメンバーが毎週1回集まり、情報共有を行っていますが、この濃い、ディープな情報を運営側だけに留めていてはもったいないと思うようになりました。今日お集まりいただいた中には、3×3Lab Futureができた当初からの古株の方もいらっしゃいますし、初めてお越しになったという方もいらっしゃいます。しかし、共通しているのは、ソーシャルアクション、イノベーション、新規事業といった領域の第一線級のプレイヤーであること。今日は、3×3Lab Futureに集まる濃い情報をもとに、濃いメンバーの皆さんと一緒に、新しい有機的つながりを喚起したいと思います」
3×3Lab Futureには、さまざまな団体・事業者が集まり、新たなつながりや活動を求めてイベントを開催しています。地方創生や企業のイノベーション、新規事業、海外進出、インバウンド、環境保護......そのテーマは実に多岐にわたります。しかし、それらのイベントはクローズドのものもあればオープンのものもあり、一般の人がそのすべてを把握することは難しい状態です。そこで、3×3Lab Future屈指のメンバーたちにその情報をインプットし、ジョイントさせたらどうなるか――それがこのストラテジックミーティングの狙いです。
そのため、(1)運営側が持っている情報をストラテジックミーティングのメンバーと共有する (2)その情報をもとに、新たなつながり、ビジネスチャンスを探る という2点が、ストラテジックミーティングの現場で行われることになります。
また、もうひとつのテーマが、ストラテジックミーティングのメンバーが3×3Lab Futureを「自分たちの場」として活用の場を広げる契機とするということ。田口氏は、「3×3Lab Futureに集まる情報だけではなく、この場、ここにあるリソースを活用して、大きな動きを生み出していってほしい」と述べています。これは、さりげない一言ですが、3×3Lab Futureの新しい「使い方」を探ろうとする、意欲的な取り組みと言えるかもしれません。
この日は、まず改めてエコッツェリア協会、3×3Lab Futureの役割、目的を紹介した後、20数名集まったストラテジックミーティングのメンバーの自己紹介を行いました。1人1分の短い自己紹介でしたが、参加者全員の濃さはすぐさま全員が理解するところとなったようでした。
後半は、今後のストラテジックミーティングの核となるであろう情報の共有とワークショップに当てられました。
まずは田口氏から、今後3×3Lab Futureで開催される予定の各種イベントを紹介。3×3Lab Futureの自主企画、外部とのコラボイベントが中心で、「地方」「ビジネス創発」「まちづくり」「食」といったテーマが目立ちます。地方関連では、富山市、島根県松江市といった地域とのコラボプロジェクトが予定されているそうです。
また、3×3Lab Futureのコンシェルジュからの特選情報として、最近会員になった団体、人物の中でもユニークなもの、ストラテジック・ミーティングにふさわしそうなものをチョイスしての紹介もありました。
そして、これら情報のインプットを受けてワークショップを実施。「このネタを活かすにはこうしたらいいんじゃないかというアイデアでもいいし、自分たちの取り組みとジョイントしたらこうなるんじゃないか、という期待でもいいです。とにかく、3×3Lab Futureとそこに集まるネタを使って、何か面白いことができないかについて、話し合って下さい」と田口氏が呼びかけます。5、6人ずつのグループになって、この辺りから少しずつアルコールもいれつつ和やかに、しかし熱く語り合う時間となりました。
そして最後には、ワークショップで話し合われた結果を全体でシェア。「この団体のこの取り組みと、うちのこれを合わせたら面白いことができるんじゃないか」「あのイベントとこっちのイベントを組み合わせたら、ステップアップさせることができると思うがどうか」「僕が講師で出演したい」などなど、さまざまな意見が語られ、これからのストラテジック・ミーティングの可能性を感じさせる議論となったのでした。
田口氏は、「ストラテジックミーティングは今後も継続するし、ぜひこの場からコトを起こしていってほしい」と最後に呼びかけています。
「3×3Lab Futureを自分の場として、内側から、外へ活動を広げていってほしい。ストラテジックミーティングはそのためのきっかけの場になると思います。皆さんにも継続して参加してほしいですし、クローズドではありますが、我こそはと思う方にはどんどん参加してほしいとも考えています」(田口氏)
終了後は3×3Lab Future専属の鬼丸シェフプレゼンツの料理で懇親会となりましたが、引き続き熱い議論が交わされていました。
感想を聞くと、ある参加者は「ストラテジックミーティングにすごく期待している。楽しいことができそう」と非常に前向きな姿勢。
「単純に3×3Lab Futureを『使える』ということだけでも可能性がある。小さなアイデアが、3×3Lab Future、エコッツェリア協会を通すことで大きくブーストさせることができるということ。そのうえ、僕らは料理人みたいなもので、3×3Lab Futureに集まる素材をいろんな形に料理していくことができるんだなと。ほんとに面白いと思う。コミュニティの偶発性に依存せずに、旗を立てることも必要かもしれませんね」
別の参加者は、ストラテジックミーティングを面白いと評価しつつ「方向性を明示することと、実際の『活動』を生み出していくことが大事では」と語っています。
「この施設の利用価値を見える化すること、どのように使えばいいのかという原点をもう一度示すことが大事ではないでしょうか。また、とかく社会的な活動は『高貴な』テーマが多いですが、それだけでは何も生まれない。まずここから、足元に根ざした、軸のある活動を始めていくこと。それが大丸有の新しい文化を生み出すことにつながると思う。ストラテジックミーティングは、その源泉になる場所になると思います」
また、田口氏は取材に答えて次のように述べています。
「3×3Lab Futureができて3年、ここで改めて内部と外部をもう一度つなぎ直せたらというのが一番の思いです。中心を再構築すると言ってもいいかもしれません。
エコッツェリアには、ネットワークも含め、さまざまなアセットリソースがあるんですけど、実は内部の人間だけでは使いきれてないんじゃないかと思うんです。それらをどう使えるか、何をすることができるかを伝えて、外部の濃い人たちに入ってもらって活用してもらいたいと思っています。
ここからチームが生まれて、それぞれの本業につながることができてもいい。ここを社内認知の場として活用してもらってもいい。いろいろな使い方があると思います。セミクローズの集まりですが、『我こそは』と思う人には、ぜひ参加してほしいと思います」
田口氏は折りに触れ「制度疲労」という言葉をよく口にします。組織や制度は年月が立つと成熟する一方で、陳腐化もします。また、組織・制度の維持が目的化し、時代の動きに合わせる柔軟性を欠いてしまうこともあるでしょう。ストラテジックミーティングは、3×3Lab Futureがそんな制度疲労に陥らないための取り組みであるのかもしれません。そしてそれは、3×3Lab Futureが新たな時代を切り拓くための、「次なる一歩」となるに違いありません。