
2016年から本格始動した、「丸の内プラチナ大学」。
3×3Lab Futureを拠点にして開催される主に40~50代のビジネスパーソンを対象としたキャリア講座で、創造性を高め、人とつながることで、組織での再活躍、起業、社会貢献など、参加者の様々な可能性を広げます。また、現地でのフィールドワークなども体験し、リアルな"社会課題"に取り組んでいきます。
講座は3~4ヵ月間、4~8日間のカリキュラムで、以下の7コースが設定されています。
(1)ヨソモノ街おこしコース
(2)農業ビジネスコース
(3)観光おもてなしコース
(4)CSV実践コース
(5)パラレルキャリア実践コース
(6)SDGsビシネスコース
(7)Social SHIFTテーブルコース
7月14日、その第2期がスタートし、基調講演とオリエンテーションが行われました。20代、30代の参加者が何人もいて、いわゆる「プラチナ世代」にとどまらず若い世代からも関心を集めている講座であることがうかがえました。
この日は、丸の内プラチナ大学の"学長"を務める三菱総研の小宮山宏理事長による基調講演で、幕を開けました。
小宮山学長は、まず人類が現在、大きな転換期を迎えていることに触れました。
「長い人類史のうち、ここ100年で急激に平均寿命が延び、"人生100年時代"に突入しようとしています。食物が豊かになり、モノも情報もすぐ手に入り、移動も思いのまま。そんな21世紀に、人類がこれから求めるのは質的な豊かさでしょう」
そうした「モノも心も豊かな社会」を、小宮山学長は「プラチナ社会」と呼びます。そして、今後の社会の本質を理解するためのキーワードは、「飽和」であると言います。
「22世紀までには世界の人口が大きく減りますから、モノ飽和し、売れる量が減少します。例えば車は、所有台数の世界平均を見ると、一人当たりの所有台数が0.5台くらいになったら、そこから販売台数が伸びなくなります。いわば市場に車がいきわたり、飽和した状態といえます。こうした飽和が、建物などあらゆる人工物で起きてきます。現実的には、中国とインドが飽和をむかえたら、量的な意味での世界の成長が止まるでしょう」
もはや、これまでのような成長は望めない世界。しかしだからこそ、新たな視点、あらたなアイデアが生まれると小宮山学長は話します。
日本の国内市場において、ビジネスの鍵を握るのは、「自然共生社会」と「一次産業の復活」とのことです。
「静岡県三島市では、1980年代にNPOが声をあげ、源兵衛川という川を浄化する活動を始めました。それに地域社会が追随し、企業も応えた結果、自然が回復し、現在では三島駅から徒歩10分の川べりでホタルの群舞が見られるようになっています。それを目当てとして観光客も増え、25年前の4倍の人が訪れるようになり空き店舗も消えました。自然が観光の目玉として大きなビジネスになりうる証明です。一次産業では、例えば日本の林業は、世界的に見ると土地当たりの生産性が低くなっています。機械化、大規模化、効率化をすれば、5兆円産業へ成長し50万人の雇用を創出するとともに、国土の強靭化ができると私は試算しています」
また、今後の世界においても日本が果たすべき役割は大きいと小宮山学長は考えます。
「日本は、どの国よりも最初に少子高齢化が進む、いわばモデルケースです。したがって、日本は世界の課題を先取りして解決することができる、課題先進国であると私は考えています。先進国では今後、人口が減るため税収も減り、国の補償や保護は望めなくなってきます。まずは日本人が、自分たちで新しいビジネスを創出し、展開していかねばなりません。平均寿命が100歳に近づき、質的な豊かさが重視されるこれからの社会では、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)にまつわる新たなビジネスが勃興してくるはずです。プラチナ世代はそのイノベーションの担い手となりうる存在なのです。とにかく積極的に行動を起こし、自分たちでデファクトスタンダードを作っていきましょう」
丸の内プラチナ大学も、まさにそんな新たなイノベーションのきっかけを作ることを目指しています。
小宮山学長の講演のあとは、各コースの講師が紹介され、会場に散って各コースのオリエンテーションが行われました。
参加者の中には、2014年から行われていた「丸の内プラチナ大学」の前身となるプレ講座から、受講を続けてきた人もいました。また、「第1期を受講したところ、講師も参加者もとても熱い思いを持っていて、おもしろかったので今回も参加した」と参加動機を述べる受講生もおり、"リピーター"が目立ちました。
参加者のバックボーンは多彩。例えば「ヨソモノ街おこしコース」では、銀行マン、町役場勤務の公務員から、大学で政治学を教えているという外国人の方まで揃いました。異分野で活躍する人々の出会いで化学反応が起き、新たなアイデアが生まれる。その土壌は十分に整っているようです。
各コースは、おおむね7月からスタートし、10月末~11月初旬の最終講座まで一気に走り抜けます。講座を通じた新たな人との出会い、知識との出会いが、未来の世界をよりよく変える種となるかもしれない。そんな予感を抱く、充実したオリエンテーションでした。
丸の内プラチナ大学では、ビジネスパーソンを対象としたキャリア講座を提供しています。講座を通じて創造性を高め、人とつながることで、組織での再活躍のほか、起業や地域・社会貢献など、受講生の様々な可能性を広げます。
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2021年9月−3月
大賀暁氏(昭和女子大 現代ビジネス研究所 研究員、橿原市職員)×田口真司(3×3Lab Futureプロデューサー)