8,9,11
2年ぶりの開催となった逆参勤交代フィールドワークの小諸市編。「丸の内プラチナ大学とは、行政のイノベーションである」と表現した方がいましたが、小諸市では受講生たちとの化学反応が著しく、充実したフィールドワークとなりました。江戸時代からの歴史景観、商都としてのDNA、新興ワイナリーの繁栄など、重層化した歴史と進取の気風が入り交じる小諸市。受講生たちはそこで何を見て、何を感じたのでしょうか。
10月22日(金)停車場ガーデン→懐古園→市役所オリエンテーション→粂屋
10月23日(土)ワイナリー「テールドシエル」→「ジオヒルズワイナリー」→あぐりの湯直売所→氷風穴→KOMORO WINE DAYS(停車場ガーデン)
10月24日(日)市長プレゼン→マンズワイン
※後編はこちら
懐古園の様子
初日、一行は名所・懐古園の散策へ。懐古園とは小諸城址のことで、千曲川の断崖など地形を活かした要害の名城として知られています。城下町よりも低い「穴城」としても有名な城。江戸時代中期に名門・牧野氏が国替えとなり、明治時代は藩庁が設置されました。それ以降、城は家臣団の子孫によって守られてきたという歴史もあり、小諸市の中心的存在とも言えるでしょう。園内には大正15年に開園した小諸市動物園がありますが、これは長野県で最古、日本全国でも五指に入る古さで、小諸市民の進取の気風の現れであるとも言われています。懐古園では天守の石垣や、東日本では2つしか現存しない大手門などを見学。また、展望台からは千曲川や地形を活かした堀を眼下に見る雄大な景色も堪能しました。
懐古園展望台から
その後、懐古園三の門脇にある蕎麦屋「草笛」で昼食をとったのち、市役所でのレクチャーへ。市役所までの駅前商店街の道中、その味わいのある町並みにも目を見張ります。小諸市は長野新幹線の駅から外れたことで、大規模な開発の手が入っておらず長野冬季五輪(1998)当時のまちなみをそのまま残しており、受講生たちはそのレトロさに感動していました。
レトロな駅前・相生町の一角
市役所では、移住促進ビデオ『KOMOLOG』を視聴し、早速移住に関する質疑応答を行いました。議論から見えてきたのは、小諸市が積極的に進める移住促進が実情に噛み合って奏功し始めている現状と、移住者から見た小諸の魅力です。移住者は子育て世代、創業・起業目的の人々が多いそうです。近隣の軽井沢町、御代田市は、その気候やブランドによってコロナ禍で移住が加速していますが、小諸市の場合は行政や地元団体提供する手厚い起業支援や子育て支援が実を結び、移住者増につながっているとのこと。IT企業が2社、首都圏から移転してくるなど企業移転も進んでいます。IT企業が地方移転に難色を示す理由が、地方のIT人材不足にあると聞いた小諸市が人材育成スクールを設立するなど、移転後のサポートがあることも企業移転の後押しになっているようです。
<コンパクトシティについて>
五十嵐係長
続いて、都市計画課都市計画係 五十嵐均係長から、小諸市が目指す「多極ネットワーク型コンパクトシティ」についてご説明いただきました。
多極ネットワーク型コンパクトシティとは、積極的に市域への移住を誘導した富山市とは異なり、小諸駅・市役所周辺への都市機能の集約とともに、市内コミュニティ交通・広域幹線的公共交通の整備を推進するモデルで、現在の居住エリアを維持しながら市全体のQOLを向上させようというものです。「駅から500メートル圏内に、人々の毎日の生活に必要な機能を集約させ、適切な移動ができる交通網を整備する」と五十嵐係長は説明します。
都市機能集約では、市中心部を市庁舎エリア、小諸駅エリア、北国街道沿いの3つに分け、機能も分散。市庁舎エリアは商工会議所、こもろ医療センター、市立図書館、交流センターなど、行政と医療、生活にまつわる機能を集中させています。市役所すぐそばの複合型中心拠点誘導施設『こもテラス』には、小諸発祥のスーパー『ツルヤ』が核家族・単身向けの小規模実験店として再びオープンしたほか、交流スペースやボランティアセンター、病児病後児保育施設を設け、あいおい公園では市内飲食事業者によるテイクアウト市を開催、にぎわいを創出しています。
交通網整備では、デマンド型あいのりタクシー「こもろ愛のりくん」が運用を開始しており、年間6万人が利用しているそうです。運営は市内交通事業者と、商店街を中心に設立された「株式会社まちづくり小諸」が担っています。
また、特筆すべき取り組みに、小諸駅エリアの大手門公園のさまざまなプレイスメイキング社会実験があります。"朝活"でヨガや朝市、"昼活"では子どものクリエイティビティを育てる遊び、"夕活"では映画鑑賞会、"夜活"では花火大会と多様なイベントが行われており、市民からも好評となっています。
「常に200名規模が集まる人気の催しになっています。小規模事業者にタイムシェアで利用してもらいますが、公園のさまざまな制約、条件を適宜外し、利用しやすくしています」と話す五十嵐氏。
公共空間のリノベーション、リデザインは全国でも差し迫った課題だ。小諸での意欲的な取り組みは面白いモデルケースと言えるでしょう。
実は小諸は、このような社会的な取り組みにも事欠きません。官民連携まちなか再生推進事業「こもろ・まちたねプロジェクト」による、ソーシャルグッドな活動の促進が行われています。公共空間の活用と暮らしやすさの実現を目的に、さまざまなソーシャルグッド活動のタネ=まちたねを育て、まちたねが自立自走できる仕組みを構築しています。現在、地元高校・市民団体・商店街が大手門公園を自由に使える仕組み「まちタネひろば」を運営する事業のほか、スマートカート「egg」を使った観光客の回遊、市民の外出機会の創出、新たな出会い・交流のきっかけづくりの事業、駅周辺の多様なコミュニケーションを創出する、フォトフェス事業などが行われているそうです。
五十嵐係長のコンパクトシティの説明は、まちづくりの一丁目一番地の話題だけに、質疑応答も専門的な内容に及びました。行政の対応がほかの自治体ではなかなか見られない柔軟性に富んだものであることにも興味が集中し、受講生たちから熱のこもった質問が飛び交いました。
<市長の言葉>
小泉市長
小泉俊博市長も受講生の激励に訪れ、逆参勤交代FWへの期待を語りました。小泉市長は、現在の小諸市が、「さまざまな分野で取り組んできたことが、かなり噛み合って動き始めている」と話しています。
「コンパクトシティは"選ばれるまち"になるために。移住で新しい店舗もオープンしているし、コロナ禍で閉店倒産したお店もない。近隣自治体からの評価も高く、移住定住も増え、ようやく社会増がプラスに転じてきた。個性豊かな人たちが集まり始め、面白いことが起こる空気がある」
市長はそのような活動を支えるものが「小諸のDNA」だと話します。ひとつは、外部の人との交流をいとわず、化学反応を起こしてきた心性。もうひとつは、ファーストペンギンとして活動する進取の気風です。県内最古の動物園に見られるように、常に良いもの・新しいものにはいち早く取り組む気質があるのが小諸市の特徴です。
「チャレンジ精神が旺盛なまちなので、今回、逆参勤交代の皆さんが外から見た小諸を評することも、すごく前向きに受け入れると思います。みなさんがどんな提案をしてくれるのか、プレゼンを楽しみにしています。この3日間、充実したフィールドワークになるよう祈っています」
北国街道沿いの建物の例
続いて、北国街道沿いの古い町並みを眺めながら、脇本陣の宿「粂屋」へ。ちなみに北国街道沿いは、江戸時代から昭和初期にかけての古い建造物が立ち並び、えも言われぬ雰囲気を醸し出しています。そこここの古い建物には、新しい店舗――コーヒーの彩本堂、デリカテッセン山吹などが出店しており、古いだけの町並みなのではなく、生きた、新しい空気が吹き込んでいます。その町並みの西側のはずれにある粂屋も、歴史と新しい暮らしの息吹が混じり合う、そんな宿屋です。
粂屋
粂屋は江戸時代後期に脇本陣として建てられた旅籠。唐破風に庵看板、式台のある大きな土間など格式が高いのはさすが脇本陣。かつては百万石の加賀藩の定宿でもあったとか。粂屋は昭和20年ころまで宿屋として利用されたのち、一旦は売却解体の危機にさらされたものの小諸市が買い上げてリノベーション。新たに設立された日本版DMO「一般社団法人 こもろ観光局」が指定管理業者となって、宿泊、カフェを運営しています。ここでは、こもろ観光局事務局長の小室孝明さんに、観光から見た小諸市について解説していただきました。
こもろ観光局事務局長 小室孝明さん
「小諸市は山岳都市のひとつで、山岳標高680メートルから2000メートルまで幅広いエリアを持ち、多様な観光資源にも恵まれています。東京から2時間前後、山岳県・長野の入り口にあると言えるでしょう。晴天率が高く台風も少ないなど気候にも恵まれています。太陽が出ると暑く、隠れると寒い。そんな土地柄です」
平成28年に観光地域づくりビジョン「詩情あふれる高原の城下町 ~ようこそ!スケッチ文化都市へ~」が制定され、「浅間の噴煙」「小諸の古城」「清流 千曲」が3つのDNAとして掲げられました。移住・定住の促進の一歩手前、「交流人口」としての観光客の増加を図るとともに、観光産業の促進、観光を通じたシビックプライドの醸成など、ビジョンの目的は一義的なものではないそうです。
「ひとことで言えば、観光という手法を使った『地域づくり』をしようということ。物見遊山ではなくその地域の『光』を見るという本当の意味での観光が広まりつつある今、小諸に来なければできない経験を商品化することが必要ですが、これは事業者だけでできるものではありません。市民全員が地域を誇りに思い参加し、オール小諸で取り組んでいく必要があると考えています」
とはいえ、取り組みはまだ端緒についたばかりで課題も多い。小室事務局長は、ビジョンは策定されたものの方向性が定まらない、各団体・組織の連携が不十分、受け入れ・おもてなしの意識が希薄、ビジョン推進の舵取り役がいないなどの課題を指摘していますが、同時に、解決に向けた基本戦略も立案し、活動に取り組んでいることも紹介。その中心的な役割を果たすのがこもろ観光局です。地域の関係各社・諸団体を束ねるとともにマーケティングを入念に行い、エビデンスに基づいた観光施策を打ち出そうとしています。
「マーケティング調査で、高齢者の知名度は高いものの、若年層にはあまり知られていないことが分かりました。歴史もあって気候も良くてのんびりリラックスするには良い土地だが、逆に交通の便が悪く、見どころが少なく、活気がないという改善点も浮き彫りになっています」
すでにこもろ観光局では、民間事業者とデータに基づいた観光施策の実施、外部とのコラボなど、さまざまな取り組みを実施。今後は、さらに30代以下の取り込み、小諸市の知名度向上、若年層向けコンテンツの造成、個人観光事業者の若返り化などに努めていくとしています。
小室事務局長からのインプットの後、受講生から「"そば"はどうなのか」という質問が。しかし、「小諸そば」自体が、小諸市の名称を使っているものの小諸とは直接関係がなく、市域でそばを栽培しているところもないため、実際にはそばによるブランド化は難しいとのことでした。他にも、インバウンドの対象や、観光ビジョンの方向性の是々非々など、さまざまな議論が交わされました。また、小室事務局長の案内で、歴史ある建物を有効活用している粂屋内部を見学させていただきました。
2日目はある意味で、本番でもあったと言えるかもしれません。ワインを中心とした市内の視察です。小諸西部の高原近く、標高950メートルでワインぶどうを栽培する「テールドシエル」から見学ツアーが始まりました。
テールドシエル 池田さん
テールドシエルは自社醸造所も持つワイナリー。小諸市街地に暮らしていた池田岳雄さんが「人生を閉じるまでに気に入ったピノ・ノワールのビンテージを生み出したい」と、55歳のときにワイングロワーに転身。「絶対に無理だからやめておけ」と言われた標高950メートルでのヴィンヤードを始めました。急峻な地形、冬季の厳しい寒さなど、決してワイン栽培に適しているとは言い難い立地。
「剪定や摘果、収穫などは平地の畑に比べればはるかに重労働だし、冬本番になるまえに木には藁を巻かないといけないし、仕事は本当に大変だ」と池田さん。しかし、「ワインぶどうはストレスがかかったほうが良い味になる」こともあり、自社醸造が始まる前から世界中から注目され、注文も相次いでいるそう。注目が集まるもうひとつの理由が、野生酵母での醸造です。
テールドシエル 桒原さん
「ナチュラルワインを作りたいわけじゃなく、この土地の景色が思い浮かべられるワインを作りたい。だから野生酵母を使う。ぶどうを絞って、待って、熟成させる」
と話すのは、醸造責任者の桒原一斗さん。補糖、補酸もしない。酸化防止剤も入れない。ぶどうだけで、その土地を表すワインを作りたい。桒原さんは栃木のココファームでワインづくりを学んでおり、土地の風土、気候に敬意を払うワインづくりを志してきたそうです。その一方で、自然なワインづくりは非常に難しいのも事実。そのため、一般的なプレス機が2、3時間で絞るところ、特殊なプレス機で48時間、72時間とゆっくりと絞る。樽へ移すにも、ポンプを使わずに重力だけで移すグラビティー・フローという手法を取るなど、繊細なワインづくりをしています。
受講生たちは池田さん、桒原さんの解説を聞いて、急峻なヴィンヤードをぐるりと見学。メインのヴィンヤードのほかに3カ所畑があり、全体で4.2ha。ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・グリ、カベルネソーヴィニヨン、サヴァニャン、メルローなどを栽培しているそうです。「電話が鳴ったら家に戻るだけでも一苦労」だという傾斜は、ほんの少し歩くだけで息切れがするほど。しかし、どこまでも広い青い空と美しいぶどう畑に、たしかに心が洗われる気がします。また、豊かな自然が残る糠地地区は、オオムラサキが生息するほか、旅する蝶のアサギマダラが秋に多数飛来するとも。「蝶にも優しい里山をつくりたい」と池田さんは話しています。
糠地地区には池田さんをパイオニアに、ワイングロワーの参入が相次いでいます。このエリアには市の農林観光課が運営する西小諸活性化施設「みはらし交流館」があり、農業体験や研修、ボランティアの活動拠点などに利用することもできるそうです(宿泊は不可)。
つづいて2軒目の「ジオヒルズワイナリー」へ。テールドシエルのあった浅間山側から千曲川を挟んだ向かいの御牧ヶ原台地の上、天空のワイナリーと呼ぶにふさわしい、泣きたくなるような美しい空の下にあります。「ジオ」はベトナム語の「風」。まったくその名にふさわしい明媚さです。
ベトナム語が使われているのは、ジオヒルズワイナリーの醸造責任者の富岡隼人さんがベトナムでボランティアを経験し、伴侶も同国で得たことにちなむそう。昼食にはエキゾジックなガパオ風ライスをいただき、もちろんワインも開けました。ジオヒルズの看板は「カム・オン・シャルドネ」「カム・オン・メルロー」。カム・オンは、ベトナム語の「ありがとう」の意味だそう。小諸市に来て当地のワインを飲むのはこれが初めてとあって、受講生たちは気分も上々、存分に小諸の土地の味を知ることができたようでした。
カム・オン・シャルドネは豊かな風味と香り、そして腰の強さが秀逸。値段も手頃なのでワイン好きなら一度は飲むべきワインです。もちろんメルローも素晴らしいが、ランチの食中酒にはカム・オン・シャルドネがファーストチョイスで間違いないでしょう。女性陣はシードルにも手を出してさらに上機嫌。ワイン片手にテラスに出て、風を受けながら、浅間山が描く広大で緩やかな裾野を遠くに見やるのも贅沢な楽しみでした。
ジオヒルズワイナリー 富岡さん(右)
ジオヒルズを出ると、次は観光名所のひとつ、布引観音へ。「牛に引かれて善光寺参り」の説話の由来がここで、少し離れた崖には老婆が持ち帰った白い布が張り付き岩になったという「布岩」がある。正式名称は「布引山釈尊寺」。断崖絶壁に掛けられた観音堂が景勝として有名で、寺から崖を回り込むようにして観音堂へと至る。受講生たちも、寺から観音堂を臨んで思わず「おおっ」と歓声を上げてしまう圧巻の景色です。
その後、直売所を併設する日帰り温泉施設「あぐりの湯」に立ち寄り、各自お土産を購入。すでにジオヒルズでワインを買い込んでいたため、飽和状態になっている受講生もいるほど。「あぐり」の名は日本語ではなく、アグリカルチャーのアグリかも?と思うほど農産物が揃っており、地元の方々も日常的に使っていることが伺えました。そこから、すぐ近くの「氷風穴」、物語の中に出てきそうな、森の中の小さなギャラリー「てずくな楽」などを見学。氷風穴は、江戸時代から使われている天然の冷蔵庫で、江戸時代には氷室として、明治時代には蚕の卵の保存に利用され、明治期の養蚕業を支えたという。
氷風穴
この日最後の視察が、駅前の「停車場ガーデン」で開催されていた「KOMORO WINE DAYS 2021」です。小諸市・小諸ワイン委員会が主催するワインの試飲イベントで、市内を中心に11ワイナリーが出店。軽井沢、御代田などからもワインファンが詰めかけるという人気イベントですが、何よりも地元市民が楽しみに集まっているのがすばらしい。
<出店ワイナリー>
マンズワイン小諸ワイナリー
ジオヒルズワイナリー
アンワイナリー
テールドシエル
ドメーヌ・フジタ
ミリ・ボーテ
グラン・ミュール
たてしなップルワイナリー
ヴィンヤードカラリア
プチポム
輪果ファーム
小諸市内には着々とワイングロワー(ワインぶどうを育て、ワインを作る人)が育っており、ワイナリーも市内5軒となりました。ワイン産業を推進する長野県にあるワインバレーのうち「千曲川ワインバレー」に属しており、老舗かつ大手のマンズワイン以外は"後発"と言っていいでしょう。しかしその分、意識の高い生産者が集中している印象があり、作られるワインもいい意味でアクが強く、個性的。受講生たちも、日が落ち肌寒くなるまで、熱心にワインを飲み、生産者の皆さんからお話を伺っていました。
KOMORO WINE DAYSは、2018年に第1回が開催され、2020年はコロナ禍のため中止となりましたが、「2年続けてやらないのは避けたい」という思いから、市を挙げて万全の体制を整えての開催となりました。農林課佐藤工課長はこう話しています。
「もともと、マンズワインの収穫祭に合わせて開催を決めたもの。マンズワイン収穫祭には遠方からも多くの来場者がありますが、こちらは地元の皆さんが多く集まるエリアで、小諸の美味しいワインを自慢し、味わってもらい、発信するために行うもの。試飲がメインで、この場でたくさんのワインが売れるわけではありませんが、商業ベースに乗らない情報が口コミで広まる機会にしてもらえたら。成果の見えにくい取り組みかもしれませんが『まずやってみる』という心構えで取り組んでいます」
ワイン産業は、日本各地どこでも、地元よりも外部で評価され、地元民の認知が低いという逆転現象が起きることが多い。KOMORO WINE DAYSはワインツーリズムの実証実験、外部からの観光客の誘客という観光産業の意味合いはもちろんありますが、行政、ワイングロワー、地域の皆さんが一体となって作り上げており、未来を感じさせるイベントでした。
2日目の夜、翌日の市長プレゼンを前に受講生たちが感想や意気込みを語り合いました。共通していたのは「コンテンツが豊富」「リアルに見られて良かった」という声。また、行政の皆さんのやる気、意気込みに心打たれたという声も多く聞かれました。
一方で、いくつかの『ギャップ』に気付いたという声も。ある受講生は、前日の夜に繁華街に繰り出したがワインを扱っているお店がなかったと話しています。また別の受講生は、子育て世代に推しているものと、コンテンツが合っていないという感想を述べていました。翌日のプレゼンでは、この辺のギャップに着目した意見が聞かれることになりそうです。
その他、それぞれの立場、職種など、自分自身に依って立つところからの感想や意見も交わされました。こうした意見交換を聞いて講師の松田氏は、「明日のプレゼンは"私主語"で」と伝えました。
「私にとっても、丸の内プラチナ大学、逆参勤交代はライフワーク。自分の人生を賭けるに値する取り組みだと思っています。ぜひ、明日のプレゼンでは、自分主語、私主語で、小諸市で何ができるのかを話すようにしてください」
レポート後編では、最終日の様子について紹介します。
丸の内プラチナ大学では、ビジネスパーソンを対象としたキャリア講座を提供しています。講座を通じて創造性を高め、人とつながることで、組織での再活躍のほか、起業や地域・社会貢献など、受講生の様々な可能性を広げます。