イベント食農プロジェクト・レポート

【レポート】大丸有「マルシェ部」が日本の農業においしく切り込む!

JA大丸有 マルシェ部!「国産パプリカの会」 2018年1月29日(月)開催

食べるのが大好き!で農業にも興味あり!という大丸有やその周辺のワーカーたちが中心になって結成されたヒミツ?の組織「JA大丸有マルシェ部!」(以下マルシェ部)。JAまるしぇの販売応援をしたり、JAのアンテナショップでPR活動を手伝ったり。3×3Lab Futureに集まって、美味しいものを食べる悪だくみならぬ"美味だくみ"をしているとのこと。そんな活動に潜入取材してみました。

これはJA全中、農林中金、三菱地所、エコッツェリア協会の4者連携協定でスタートした「JA大丸有」に触発され結成されたもので、メンバーは3×3Lab Futureの個人会員や、丸の内朝大学の参加者、大丸有のオフィスワーカーが中心。ここに生産者や飲食店・物販店の関係者が加わり、生産者との交流や、都市が求める農作物を考えて生産者・生産地域にフィードバックする等、さまざまな活動をしています。

1月29日夕刻に開催されたマルシェ部では総勢30名のメンバーが集まりました。テーマは「パプリカ」で、料理&試食、検討会を行います。

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料理は楽し。パプリカは美し

料理は楽し。パプリカは美し

17時ころからメンバーが三々五々集まり始めて、少しずつ料理の準備が始まります。この日は国産パプリカをメインとした料理で、「パプリカのグリル」「ピペラードとチキンのパスタ」を部員たちで料理。そしてJA全農の厚意で、JA香川から金時ニンジン、アスパラ「さぬきのめざめ」、レタス、さつまいもをご提供いただき、「生姜入りにんじんしりしり」「きんぴらスティック」、野菜サラダを作っています。レシピ監修は3×3Lab Futureのカリスマシェフ? 鬼丸美穂氏、岩渕美華氏(コミュニティキッチン・イニシアチブ)のお二人です。

包丁さばきに慣れない男性陣も、女性陣に励まされてだんだん積極的に料理に参加、熱心に包丁の使い方をならったりしています。

まったく見ず知らずの人同士でも、なぜか料理をしているとごくごく自然に打ち解けて会話も弾むようになる。「料理の力ってすごい」「楽しい」。そんな声も聞こえてきます。

生産者のTedy・林さん

今日の主役のパプリカは赤、黄色、オレンジの3種。鮮やかな色が可愛らしくもおいしそう。赤いパプリカは「クプラ」、黄色は「フェアウェイ」、オレンジは「オレンジーナ」という品種だそうです。品種名を知るとステップアップした気分になります。よね?

そもそもなぜパプリカ、そして国産パプリカなのか。今回の企画者の一人、JA全農生産資材部園芸資材課の澁谷卓也氏によると、パプリカが国産野菜収量アップの取り組みの象徴的存在だからだそうです。今、JAでは収量アップのための「ゆめファーム全農」プロジェクトを推進中で、トマト、ナスなどのいわゆる「果菜類」の営農実証施設を全国で建設しています。パプリカも当プロジェクトのひとつ。農場は現在建設を検討中ですが、パプリカのように輸入に依存している作物の国内生産量を上げることは、食料自給率を向上させ、将来的な食の安全を担保することにつながります。

19時30分ころにはすべての料理が完成し、全員揃って、パプリカを使った野菜スムージーで乾杯! ここから試食がスタート。プロモーション方法や、提案するレシピについてなどを、食べながら話し合います。

国産パプリカの現状と課題

今回試食用のパプリカを提供してくれた、茨城県水戸市の生産者「Tedy」の林大地さんがパプリカについてショートセミナーを行いました。

林さんのTedyは、日本で2番目、2000年からパプリカの生産を始めた先駆的パプリカ農家で、現在は2.3haの施設を持ち、常時4~5種を栽培しています。林さんによると、日本では1990年代からパプリカを食べるようになり、2000年代から生産が本格化。現在は生産者が全国で500軒いるものの、生産量の70%を10軒の大手が生産している寡占状態です。国産野菜としては珍しい状況とのこと。また、施設園芸のため初期導入・運用コストが高いことや、施設の運用に難しさがあり、新規参入のハードルが高いことを紹介しました。

続いては、パプリカ増産のプロジェクトにを進める、前出のJA全農・澁谷氏が、ゆめファーム全農の取り組みの紹介とともに、全国的なパプリカの状況を解説しました。

課題は収量アップ。日本では10アール当たりの平均生産量が13トンで、オランダの30トン、韓国の25トンに比べ大きく劣っています。収量の技術的改善と平行して、売り先を広げていくことも課題となっており、昨年には国産パプリカネットワーク(NPA)を設立、生産者間で生産リレーを行い、通年で市場に供給できる体制を整えるとともに、外食産業を中心に需要を開拓しようとしています。

一般消費者に対しては、何よりも「国産品への意識を高めてほしい」というのが全農の願い。また、パプリカが目に良い、抗酸化作用があるなどの機能性の部分にも着目していきたいとしています。

セミナー後は、林さん、澁谷さんも交えて活発な議論が交わされており、今後のパプリカプロモーションにつながるヒントが大いに出されていたようでした。

これからのパプリカ、これからのマルシェ部

参加者に感想を聞くと、「あまり意識してこなかったパプリカだが、いろいろな料理に使えることが分かった」と話しています。もともとパプリカの「自宅での登場回数」は少なかったものの、「火を通すと甘くなることが分かったのは大きい。単なる添え物じゃなく、メイン料理の一部として使う可能性が見えてきた」と、例えばピーマンの肉詰めのような料理を例に挙げていました。

別の参加者は、パプリカのおいしさの再発見とともに、マルシェ部のこの場に大いに触発されたと話しています。「生産者と触れ合うこと、農業や食に関係する人と語り合うのが新鮮で刺激的だった。仕事には直接関係はしないものの、新規事業を考えるヒント、発想の方法も教えられた気分」と、料理と食と、さらにはコミュニケーションの効果を評価していました。

生産者である林さんも、このような場は初めてだそう。「消費者のみなさんが何を考え、何を求めているのか、直接手応えを得ることができたように思う」と話しています。今後は「こうした場を通して、売り先やビジネス的なパートナーを探すことができたら、次のステップにつながる」と期待も見せました。

マルシェ部の企画者の一人である、JA全農総合企画部事業開発課の黒崎裕介氏は、テーマとなる食材を決めて、その生産者とメンバーが交流することがマルシェ部の本来の目的であったと話し、「今回の場は非常に良い交流の場になったのでは」と手応えを感じている様子です。
「収量アップや消費拡大には、まず足元の認知拡大が大事。ここに来ているマルシェ部のメンバーのみなさんは、みな食と農への意識が高く、ポジティブかつアグレシップ。インフルエンサーとしての力もあるので、このマルシェ部から、流行が生まれていくことに期待している」(黒崎氏)

さらりとご紹介してきましたが、このマルシェ部、国内の優れた農産物を使って料理して食べて、生産者から話を聞いて、もしかしたら、何か新しいことを始めるヒントやきっかけにもなるかもしれない。なんというか「食の宝箱」のような集まりです。もし興味ある方は、エコッツェリアWEB事務局にお問合せしてみて下さい。
2月8日には4回目となる大手町マルシェ×JAまるしぇも開催されるのでそちらもお楽しみに!

会場では、JAのアンテナショップ「いちごいちえ」の店長が、ふろしきの使い方をレクチャーするコーナーも


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大丸有エリアにおいて、日本各地の生産者とエリア就業者・飲食店舗等が連携して、「食」「農」をテーマにしたコミュニティ形成を行います。地方創生を「食」「農」に注目して日本各地を継続的に応援し、これらを通じて新たな価値創造につながる仕組み・活動づくりに取り組みます。

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